彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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荒獅子と黒椿 12

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「玖未ちゃんの何がそんなに気に入らない?アンタは優しいパパとママと生きてりゃいいものを…目黒さん、手錠を外してもらっていいですか?この体勢じゃ不自然な怪我になる」

ゆらりと揺れてパンツのポケットに手を入れた。

「右京、怪我で済ませろ。楽に殺んなよ。コイツはここで殺らなくても何年かのムショ生活の間に借金が膨らむ構図が出来てる」
「若のおっしゃる通りです。13年以上の苦痛を与えるべき暴言でしたからね。未来の素晴らしい構図は描けていますが…私も右京のあとに…」

野沢がポケットからペンチを取り出した…そうなるよな…

「目黒さん、失礼しますっ」
「いいぞ」

シートの向こうから分かりやすく声を掛けてから一人の刑事が入ってくると、何やらメモを目黒さんに手渡してすぐに出て行く。

「へぇ…アンタの両親、警察に相談の履歴があるんだな」
「知らないっ」
「相談内容は、家庭内窃盗の立件について。アンタ、パパやママの金を盗んだんだ?」
「仕方ないでしょ?全部玖未が悪いのよっ」
「ほお…さっき、本間くんも聞いてたけど恨みでも?」
「玖未はずっと、ずーっと、不幸なはずなの。私よりも不幸な運命なのよ。私は親を知らないけれど寝る場所にも食事にも困ったことは一度もないわ。ずっと施設暮らしだったけれど、玖未以上に不幸な子を見たことないもの。それなのに不自由なく幸せそうになっちゃって。今の玖未と会ってから私の人生狂ってしまったのよ、ずっと不幸でいてくれればよかったのにっ」

ぐひゃっ…っ…ごほっ…っ…

「目黒さん…コイツは突っ込んだ時にハンドルで胸を強打したようです。よろしくお願いいたします」

女の肺が潰れない程度の蹴りを入れた右京が目黒さんに頭を下げる。

「おお、了解」
「若…俺…玖未ちゃんの今朝の酸っぱいマリネを思い出して軽くで耐えたけど…マジでコイツ殺りてぇ」
「悪いが今日はここまでだ」
「右京、若の心中を思えば私たちの我慢など蚊の涙ですよ」
「…はい…」
「目黒さん、女は酔っ払って錯乱中に暴れて爪が2枚剥がれたようです」
「了解だが…一方で揃えてくれ。話を通しやすくしてくれ」
「はい。では左の中指と薬指でいいでしょうか?」
「了解した」

ぎぇ…ぁ…ゃ…ぁああああぁぁ…
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