彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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大切な枝葉たち 18

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「うさ、そんなことより…ネットで箱買い教えてくれるんでしょ?パトロールに出るなら、それまでに教えて…ってどうして突っ立ってるの?」
「姫ちゃん…なんで…黒?」
「えっ?まだそこ?」

私が椎茸や豆腐と挽き肉を混ぜ合わせた手を丁寧に洗ってから見たうさは、姫ちゃーんと呼んだ時から動いていない。

「なんでって…パトロールのためなら変装じゃないの?」
「…そう」
「だったら黒が一番イメージ変わりそうかな?って思っただけ…」
「…」
「ダメなの?似合うと思うけど?野沢さんみたいに眼鏡掛けても…」
「似合う?」
「…たぶん?見たことないから適当だけど…」
「はぁ?適当?」
「ってことでもない…ちゃんと考えたよ。みんなに聞いてみてよ、黒髪どう?って」

面倒くさくなってきたのでリビングの6人に話を投げて、冷ましていたキャベツにタネを乗せて巻き始めた。

「黒で行け」「男に二言はない」「丸刈りイメチェンよりいいよな」

右京…丸刈りはうさが可哀想だと思うよ?

「よし、分かった。野沢さん、眼鏡一個ちょうだい」
「いいですよ」
「ぇえ…ぇ…?」

驚いたのは私だ。

「玖未?」
「…ゆぅ…じん…野沢眼鏡って…だて?」
「あらあら?姫ちゃん、野沢さんの眼鏡に食い付いた?眼鏡フェチ?」

急に元通りの面倒くささを取り戻したうさが私に聞きながら、じゃがいもの鍋を開けた。

「玖未さんは以前、右京の面白い噂を口にしておられましたが…」
「ぇ…ぇえ…っ…野沢さんって…地獄耳?」
「通路側でしたからね、全ては聞こえていませんがそこだけは」
「…」
「もしかして…私のこともこの眼鏡で何か噂されているんでしょうかね?」

ねちょ入りで言いながら眼鏡を取った野沢さんは

「今日のは伊達です。由佐、これでいいですか?」

と眼鏡を差し出す。おおぉぉ…野沢さん、お美しい…

「姫ちゃん、一緒に行こう」

うさは両手で私の背中を押してリビングまで連れて来ると、野沢さんの前に二人で立つ。そしてさっと眼鏡を掛けて

「どう?」

って聞くけど…野沢さんの視線が私にあるんだよ。

「あははっ、姫ちゃん、教頭先生に怒られる生徒みたいだよ?」

なぜ教頭先生?

「言っちゃえ。楽になれるよ?」
「…」
「私はそんなに言いづらいことを言われてますか?右京は確か…クールな表情からのキラースマイルウインクつきは想像だけで悶絶、イケそう…でしたね?」

怖っ、記憶力どうなってんの?でも何だか逆らえない…みんながクスクス笑うのを聞きながら催眠術にかかった人のように…コクン…野沢さんの切れ長の目を見ながら頷く。今日はってことは、今日はこの瞳にコンタクトありってことか…
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