彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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大切な枝葉たち 2

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「玖未…時間を気にせずに眠れ」

そう言いキスした時にはもう半分眠っているようだ。今が正午くらい…どれだけ眠れるかだな、俺の強く可愛い新妻は…

彼女の荒い呼吸が徐々に寝息に変わるのに合わせて俺も微睡む。

何もかも予定通り、出来過ぎの結果だ。こういう仕事は頻繁に有るわけではないが、有ると誰かがケガをしたり、誰かが暴走し過ぎたりすることは避けられない。

それが今日は一切なく…こんなに落ち着いて踏み込むことは、過去にもこれから先にもないのではないか、と思うほど全組員が熱くなりすぎず落ち着いていた。

玖未効果だ…俺だけでなく、皆が玖未に心配を掛けないようにと動いた結果だ。

玖未の生きていく場所も俺と同じ須藤だと証明することになった日だな。

4時頃、俺の腕の中でもぞもぞと動き始めた玖未に気づかないフリで目を閉じたままでいると、腕からの脱出を諦めたらしく腕だけを頭の上に伸ばして手探りで…たぶんスマホで時間を見たいのだろうが…

「…全然届いてな…ぃ…」

そりゃそうだろうな…俺の胸に頭がある位置からじゃ、玖未の手はボードに届かない。

「…4時くらいだ」
「ん…」

それで済ます玖未が可愛くて腕の中で抱きしめ直す。どうして探しているのが時間だとわかったのかも、どうして時間がわかるのかも聞き返すことなく俺の言葉を納得声で受け止めて体を俺に預けてくる愛しい存在。

「俺は…玖未を愛してる以上に愛してる…もっとぴったりの言葉がありそうで伝えたい気がして…でももうこれ以上の言葉がなくてもいいとも感じて…ただ玖未自身を愛してる…言葉も吐息も声も…仕草も匂いも体温も…視線やここにあるホクロも全てが俺の愛でる対象…好きでどうしようもない…」

抱きしめた腕を少しずらして、肩甲骨の下にあるホクロを撫でると

「…見たの?」

想定外の返事に自分の頬が緩む。14時間前にひとつの組を潰して来たと思えない穏やかな時間だ。

「見た、どころか…毎日見てるな」
「私は一度も見たことないのに…」
「その代わり、獅子を見てるだろ?」
「ん…荒獅子も…」
「そういうことだ」
「…今朝は初めての…すごいカラフルなのも見た…」
「ああ…北斎とか孔雀か?」
「孔雀…ん…北斎はどれか分からない…」
「波」
「ん、それ…波…バッシャーンってなってたね…海に行かなくても波あるよね…ふふっ…」

まだ起きるつもりはないのか、俺の胸に頬をつけてゆっくりと話す玖未の頭を撫でる。
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