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組と会社そして家 14
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そこから玖未は可笑しいほど真面目に入籍日を考え始めた。難しい宿題を与えられた子どものように真剣に答えを出そうと…真剣すぎて可愛すぎる。
そして、これは今年初めて感じたと玖未も言っているが、玖未は暑さに弱いように感じる。これまでは仕事を休めば生活に響くから気力で乗りきっていたのだろうが、外を歩く生活でもないのに食欲が落ちているのは明らかだ。
だからバーベキューは秋に延期。結婚式ももちろん秋以降だ。
「部屋はエアコンといっても、屋敷の廊下にエアコンはありません。それに毎日のように買い物へ行かれても、その都度、体は気温差に対応しなければならないですよね。玖未さんはだるさなどの自覚はまだなくて、食欲が落ちているだけ。でも食べないと何となく元気が出ないですよね。気温差に対応するのに体力を使って、消化機能が低下気味なのでしょう。でも薬は出しませんよ?病気ではないので自分の体が対応出来るように工夫しましょう」
玖未を心配して灰谷のところへ二人で行くと、灰谷兄がいて丁寧に説明してくれた。
「まず今のようなTシャツ。袖が長めの半袖ではありますが肘や手首を触ってみて冷たくありませんか?」
俺と玖未が確認すると…
「「冷たい」」
「悠仁は冷たくないのに…」
「人は人、自分の体とは違います」
「…はぃ…」
「いま気づいたのですから、今日からはそこをカバーすることが大事です」
「「ん」」
「スーパーへ行ったり、廊下に出ると必ず汗をかきますね?その後、部屋に戻ってお腹を触ってみると汗が冷えて肌が冷たいはずです」
「…着替える?」
「濡れた物を着替えるのは当然ですが、出来れば体にフィットした肌着…タンクトップやキャミソールといったものをその時は着てからもう1枚着る。これでお腹を冷やさないように温めるようにすると、胃はずいぶんと守られます。あとは温かい物をよく噛んで食べて胃の負担を減らす。薬なしで3日目には回復するはずです」
「先生、ありがと…よくわかった。部屋で靴下は履くようにしてたんだけど…それだけではダメだった…」
「靴下は正解ですよ、玖未さん」
コクン…誰にも教えてもらえなかったことばかりの玖未に手を差し伸べる者は多い。
そして、これは今年初めて感じたと玖未も言っているが、玖未は暑さに弱いように感じる。これまでは仕事を休めば生活に響くから気力で乗りきっていたのだろうが、外を歩く生活でもないのに食欲が落ちているのは明らかだ。
だからバーベキューは秋に延期。結婚式ももちろん秋以降だ。
「部屋はエアコンといっても、屋敷の廊下にエアコンはありません。それに毎日のように買い物へ行かれても、その都度、体は気温差に対応しなければならないですよね。玖未さんはだるさなどの自覚はまだなくて、食欲が落ちているだけ。でも食べないと何となく元気が出ないですよね。気温差に対応するのに体力を使って、消化機能が低下気味なのでしょう。でも薬は出しませんよ?病気ではないので自分の体が対応出来るように工夫しましょう」
玖未を心配して灰谷のところへ二人で行くと、灰谷兄がいて丁寧に説明してくれた。
「まず今のようなTシャツ。袖が長めの半袖ではありますが肘や手首を触ってみて冷たくありませんか?」
俺と玖未が確認すると…
「「冷たい」」
「悠仁は冷たくないのに…」
「人は人、自分の体とは違います」
「…はぃ…」
「いま気づいたのですから、今日からはそこをカバーすることが大事です」
「「ん」」
「スーパーへ行ったり、廊下に出ると必ず汗をかきますね?その後、部屋に戻ってお腹を触ってみると汗が冷えて肌が冷たいはずです」
「…着替える?」
「濡れた物を着替えるのは当然ですが、出来れば体にフィットした肌着…タンクトップやキャミソールといったものをその時は着てからもう1枚着る。これでお腹を冷やさないように温めるようにすると、胃はずいぶんと守られます。あとは温かい物をよく噛んで食べて胃の負担を減らす。薬なしで3日目には回復するはずです」
「先生、ありがと…よくわかった。部屋で靴下は履くようにしてたんだけど…それだけではダメだった…」
「靴下は正解ですよ、玖未さん」
コクン…誰にも教えてもらえなかったことばかりの玖未に手を差し伸べる者は多い。
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