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組と会社そして家 10

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それから森川兄弟と千田さんと一緒に珈琲を飲みながら話をしていたうさは、皆が戻ると

「姫ちゃん、オレ、ホームセンターに行ってくるけど買って来るものある?」

と4つのマグカップを洗いながら、ナスを揚げる私に聞いた。

「ない」
「じゃあ、いってきまぁす。大西ちゃんと津川さんには言っておくから」
「…何を?」
「オレが姫ちゃんから離れて外出するってこと」

わざわざ?別に大西さんたちもうさに頼んでないと思うんだけど…

「あのね、屋敷内で姫ちゃんは一人で自由にしてるんだろ?姫ちゃんには、いつも誰かがついて外出するんだから屋敷内やマンションで一人で何かする時間も必要だよね」

うさ、それはわかっているんだね…新たにナスを油の中へ投入しながら、コクン…頷いた。

「でもどこにいるのかはGPSで分かるようにされてるだろ?」

コクン…

「それは広い屋敷で用事があって探せるようにってだけではないよ」

ん?

「もし屋敷に大勢で踏み込まれたり、何かを投げ入れられて火災が発生するとする。そういう場合に姫ちゃんの居場所は瞬時に特定できないと守れない」
「ん」
「そして今みたいにオレが姫ちゃんと一緒にいると思っているか、姫ちゃんが一人だとわかっているかで、大西ちゃんと津川さんの初動は大きく変わるんだ」
「ごめん…しょどう…分からない」
「最初の動きということだよ」
「ん」
「姫ちゃんは何も気にせず好きにしてて大丈夫だよ。この屋敷にも慣れていて親父とも仲良くやってそうだし、古原さんや桝井さんにも‘太郎、次郎’ってね」

そこでふっと笑ってから、うさが続けた。

「‘玖未ちゃん’は悠仁が大切にしている女で、須藤のお姫様。当然オレも、僅かな緩みもミスもなく守って当たり前なんだよね。だから責任持って連絡を取り合う、それだけだよ」
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