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プロテクション 14

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広いマンションに悠仁と二人…ソファーだって大きいのに、彼は私を足の間に挟み込んで座る。私が前にいるのだから、乾杯するのも、お箸を使うのもやりづらいと思うけれど、彼の左腕はぐるりと私のお腹に回っていた。

「玖未の家族はすでにたくさんいるが、夫婦…夫と妻はお互いだけ」
「ん」
「お互いの唯一だ」
「ん」

言いたいことは分かるので頷くけれど、上手な返事は思いつかなかった。それでも悠仁は機嫌よく

「うまい…うまいな」

と鯛のカルパッチョを食べる。

「今日な、牛丼食ったって言っただろ?」
「うん」
「牛丼と味噌汁に豆腐がついてたんだ」
「豆腐?冷奴?」
「そう。小皿にチョンと乗っていて、刻んだネギとチューブのしょうがが置いてあった」

各自の好みでってことだね。

「それは今までにはなかったことで、その冷奴の一皿を組員たちは‘クミイズム’と言ってるらしいぞ」
「…一品増えたことについてだよね?」
「ん」
「ごめん…クミイズムがわからない」

イズムって何?

「クミイズムのクミは玖未と須藤組の組、どちらものこと」
「ん」
「イズムってのは、主義」
「…主義?」
「持っている考えや方針、態度ってことだ」
「うん…何となく…」
「3品目を準備するのは玖未から始まって組のやり方や当たり前の考えになった。だからクミイズム」
「ぅおぉ…」
「さっきの俺と玖未が‘お互いのことを思い合って、少しずつ何かを与え合って’と言っていたのは、家族や他人との関わりでも同じように言える。玖未はすでに周りの人間にもたくさんの思いを届けてるぞ」
「…うん…ひとつ分かれば、またひとつ難しいけれど…何となく分かる」

私がそう頷くと

「分かりやすいコミュニケーションを取ろうか…玖未」

悠仁の手が私のパフスリーブTシャツの中に手を入れてくる。そして

「うまかった…ごちそうさま」

と耳たぶを食みながら言うと、ゆっくりブラごと胸を揉み始めた。

「デザートは玖未…な?」
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