彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

文字の大きさ
上 下
201 / 284

プロテクション 12

しおりを挟む
玖未を迎えに行くと

「若、まだ早いって~帰って」

と灰谷妹が俺を睨む。だがすぐ後ろに玖未が来ており、立ちはだかる灰谷妹を越えて玖未の頬を撫でた。

「髪、どうした?」

暑いからと、最近よくまるで見た時のようにオールバックポニーテールにしている玖未だが、今は雰囲気が違う。

「…裕子さん」

そう言って少し横を向いた玖未はアップにしてもらった髪を見せているのだろう。

「可愛いな…髪でなく玖未がな」
「はいはい、社長。お疲れ様でした~シャンパンもワインもごちそうさまでした」
「美味しく頂きました」

俺がまだ玖未に触れていて、他の二人から声が掛かっているのにも関わらず灰谷妹は腕を組んで仁王立ちだ。

「奈保ちゃん、いいじゃない。またすぐにランチ会しましょ」
「先月オープンの肉カフェに行きたいわ」
「よし、乗った。玖未ちゃんも絶対参加よ」

ぐいっと片手で背中を押された玖未がその力に驚いた顔で俺の胸に飛び込んで来るのを抱きしめる。

「若、今日はこれで返すわ。玖未ちゃん、またね」

灰谷妹…誰とどこにいても一番偉そうな奴だ。

「悠仁、ご飯食べたよね?」
「牛丼食ってきた」
「ぇ…っと…」

シャツを脱ぐ俺の少し後ろで玖未が可愛く言い淀む。

「ん?もうベッドに入るか?遠慮はいらねぇ」

違うと言いたげにキッと俺を見た玖未の唇にチュッ…チュッ…チュッ…ペロッ…

「どうした?」

と子どものように抱き上げた。

「…………」

片手を俺の首に回し、片手では無言の指差しをする玖未の顔中にキスをしながら指差しの方向へと進む。

「冷蔵庫?」
「…食べる?」
「冷蔵庫は食えねぇから玖未を食う」
「…………」

俺に抱き上げられたまま冷蔵庫を開けた玖未は

「…ちょっと…悠仁の…置いておいた…ちょっと…飲むかなって」

冷蔵庫の扉を握ったまま照れた。可愛い過ぎるだろ。

「カルパッチョ、俺のつまみに置いておいてくれたってことな?」
「ん…」
「すげぇ、嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい…玖未がそうして生活してるのがめちゃくちゃ嬉しい…自分から周りと関わって生きてるのがな…嬉しい。俺への愛も感じて…今朝の電話もこのカルパッチョも幸せを感じる」

玖未には丁寧に言葉で伝えてやらないと伝わらない。

だから口にしたことのない台詞も躊躇いなく、玖未を見て伝える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜

白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳 yayoi × 月城尊 29歳 takeru 母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司 彼は、母が持っていた指輪を探しているという。 指輪を巡る秘密を探し、 私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...