彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

プロテクション 7

「結論から言うと、誰の出番もない」

この由佐の言葉にざわつかないところが、さすが俺の兄弟たちだ。

「中山舞花について、オレが受けた報告を最初に精査した。二度繁華街に現れた、その日の繁華街の防犯カメラ、店舗前カメラを確認すると二度目の帰り道に接触者がいた。雨も降っていて車から降りなかった接触者は分からなかったが車のナンバーから特定に成功」

ここで間を取る由佐が求めている声を誰かが掛ける。由佐のショーを成功させてやる小道具になる合いの手だ。

「おっ、誰っすか？」
「桜龍神」

県境のグレーなチーム…ヤクザでもなく、うちにも普通に出入りして遊んでいる凡そ25歳以下の集まりだ。バックに小さな組がついてると聞くが須藤の傘下でもなければ、敵対してもいない。

「皆、時系列はオーケー？オレがここまで調べたのは裏垢に中山がクソ吐いた翌日の15時くらい」
「レベルアップしてるな、由佐」

親父が俺にだけ聞こえるように言う。その通りだ。由佐は須藤の誰よりもIQが高いだろう。だが、誰よりも飽きっぽい。

「オレさ、桜龍神ナンバー3のテンちゃんって子と知り合いなんだ。うちで遊ぶのはいいけど悪さすんなよ、って何度か連絡したことあって。この件に関係したなら‘悪さ’どころじゃないからな、連絡してみた」

ここでキョロキョロした由佐に千田が水のペットボトルを投げる。

「サンキュ…須藤で女に声掛けて何するつもり？ってね。あれ、ちょっと調べてる女なんだけど、あと1時間調べたらテンちゃんとこの名前が出てくるんじゃない？そしたら須藤が今夜のうちにチームもクラブも潰すよ？何か関わったなら先に言っちゃえ、と持ち掛けたわけ。裏垢っていうアイデアが女の単独かどうか疑問だったからな」

それは俺も考えていたことだ。