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暗暗裏に進むのはどちらか 12
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「右京…どうしたの?湿布?」
「おはよ、玖未ちゃん。ごめんね、におう?朝から若いのと格闘技してたら肋骨、ヒビかな?」
「…先生のとこ?」
「行ってない。玖未ちゃんみたいに指なら常に動くから行くけど、肋骨なんて内臓に刺さらなきゃ引っ付くのを待つだけだよ。湿布で治らないけど周辺のキズを冷やしてるだけで明日からはいらない。このサラシで固定だけだね」
「ふーん…お大事に」
アップルシナモンロールを食べていると、肩甲骨の下あたりからサラシをぐるぐる巻いた右京がシャツを手にダイニングへやって来た。
「昨日遅かったのに…元気だね、右京」
私がそう言うと悠仁が
「俺の元気…もっと見せようか?」
と私の耳を舐めるのでマグカップとパンを持ってお父さんのところへ行くと太郎が席を譲ってくれた。
「ありがと」
「いえ、どうぞ。10時前にここを出ましょうか?」
コクン…お父さんと一緒ってことは太郎と次郎も一緒だ。
「お父さん、仕事は?」
「この前の日曜に働いたから代休だ」
「……ゴルフだったよね?」
「ビジネスゴルフ。玖未もゴルフするか?打ちっぱなしから付き合うし、専属トレーナー付けてやるぞ?」
「…いらない…と思う」
「いつでも遠慮なく言えよ?その日のうちに道具もトレーナーも揃えてやる」
「…………」
百貨店では丹野さんに迎えられたが、今日は女性外商さんはいなかった。
「川中の店でなくレディースフロアで玖未の物を見る」
「かしこまりました。ごゆっくりお買いまわり下さい」
開店直後の店内には先に入っていた組員さんがおらず、お父さんと私の少し前にぞろぞろと入って行くのが見え、私たちの周りには太郎、次郎、大西さん、津川さんが張り付いている。
「夏物真っ盛りだ、玖未。どんなのが好きだ?」
お父さんがマネキンと私を見比べながら聞くので
「そういうノースリーブは…寒い。春物でいいんだけど…」
と正直に答える。
「ああ、エアコンか…じゃあ、袖の有るものと羽織るものがいるな」
それを聞いた丹野さんが各ブランドに伝えて回り、どのブランドのマネキンにもカーディガンやストールが掛けられ、通路側の棚にサマーニットなど夏物の中でもボリュームあるものが急いで置かれた。
「おはよ、玖未ちゃん。ごめんね、におう?朝から若いのと格闘技してたら肋骨、ヒビかな?」
「…先生のとこ?」
「行ってない。玖未ちゃんみたいに指なら常に動くから行くけど、肋骨なんて内臓に刺さらなきゃ引っ付くのを待つだけだよ。湿布で治らないけど周辺のキズを冷やしてるだけで明日からはいらない。このサラシで固定だけだね」
「ふーん…お大事に」
アップルシナモンロールを食べていると、肩甲骨の下あたりからサラシをぐるぐる巻いた右京がシャツを手にダイニングへやって来た。
「昨日遅かったのに…元気だね、右京」
私がそう言うと悠仁が
「俺の元気…もっと見せようか?」
と私の耳を舐めるのでマグカップとパンを持ってお父さんのところへ行くと太郎が席を譲ってくれた。
「ありがと」
「いえ、どうぞ。10時前にここを出ましょうか?」
コクン…お父さんと一緒ってことは太郎と次郎も一緒だ。
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「……ゴルフだったよね?」
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「…いらない…と思う」
「いつでも遠慮なく言えよ?その日のうちに道具もトレーナーも揃えてやる」
「…………」
百貨店では丹野さんに迎えられたが、今日は女性外商さんはいなかった。
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開店直後の店内には先に入っていた組員さんがおらず、お父さんと私の少し前にぞろぞろと入って行くのが見え、私たちの周りには太郎、次郎、大西さん、津川さんが張り付いている。
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お父さんがマネキンと私を見比べながら聞くので
「そういうノースリーブは…寒い。春物でいいんだけど…」
と正直に答える。
「ああ、エアコンか…じゃあ、袖の有るものと羽織るものがいるな」
それを聞いた丹野さんが各ブランドに伝えて回り、どのブランドのマネキンにもカーディガンやストールが掛けられ、通路側の棚にサマーニットなど夏物の中でもボリュームあるものが急いで置かれた。
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