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暗暗裏に進むのはどちらか 5
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皆が待つ部屋へ入る前
「右京、踏ん張れよ」
ドッ…ン…ガンッ…
「っ…っ…ん」
俺の蹴りを腹に受けた右京がドアに当たって止まると
「若…申し訳ございませんでした」
腹を抱えることなく、深く腰を折る。
理由は分かっているのだろう。音にドアを開けた森川たちが見ている前で
「若、右京だけでなく私も…おそらく玖未さんが何かを感じられたかと…申し訳ございません」
まだ深く頭を下げたままの右京の隣で同じように野沢も頭を下げる。
「二人とも、この件から降りろ。部屋で休んでくれ」
「若っ、二度と同じことのないようにします」
「このような失態は二度とありません。降りるのだけはご容赦下さい」
二人には玖未も慣れているからこそ、徹底してもらわないと俺の玖未が心を痛めることが起こり得る。
「チッ…玖未の前で本職丸出しの空気、出してんじゃねぇ。玖未が気にするに決まってるだろうが」
今、この俺の言葉を聞いている者は多い。
「ケガしなければ守ったということでもねぇ。女を玖未に接触させずに消したから守ったということにもならねぇ。玖未がいつものように穏やかに過ごせて守れたと言えるんだろうが。玖未に心配させた時点で守れてねぇんだよ」
そう伝えてから部屋に入ると
「新しいアカウントは今のところ確認なしです」
「玖未さんの方へはどうでしたか?」
森川が兄弟で俺に声を掛けながら、1台のパソコン画面をこちらへ向けた。
「…肋骨イッたかな…」
右京が呟きながら腹を擦り、野沢と俺の後ろに立つ。事情を把握しないままの大西と津川も立つが、そうすると見にくいのだろう。野沢が津川に俺の隣に座るよう示しながら言った。
「玖未さんへの接触はありませんでした」
「直接的に攻撃するつもりはない…目的は須藤か…?途中でクローズさせているので裏垢の最終目的は分かりませんが、2時間ちょっとである程度の人間がアクセスしてます」
千田の説明のあと
「そいつらのアカウントも表、裏関係なく押さえに行ってるんで…」
「新しいアカウントも見張りつつ…もう押さえ終わります」
森川兄弟がそれぞれ一人で2台のパソコンを叩きながら報告するのを聞きながら目の前の画面を見る。
「これをあの女がかましやがった、と?」
「由々しき事態です」
津川と大西も事態を把握したようだ。
「右京、踏ん張れよ」
ドッ…ン…ガンッ…
「っ…っ…ん」
俺の蹴りを腹に受けた右京がドアに当たって止まると
「若…申し訳ございませんでした」
腹を抱えることなく、深く腰を折る。
理由は分かっているのだろう。音にドアを開けた森川たちが見ている前で
「若、右京だけでなく私も…おそらく玖未さんが何かを感じられたかと…申し訳ございません」
まだ深く頭を下げたままの右京の隣で同じように野沢も頭を下げる。
「二人とも、この件から降りろ。部屋で休んでくれ」
「若っ、二度と同じことのないようにします」
「このような失態は二度とありません。降りるのだけはご容赦下さい」
二人には玖未も慣れているからこそ、徹底してもらわないと俺の玖未が心を痛めることが起こり得る。
「チッ…玖未の前で本職丸出しの空気、出してんじゃねぇ。玖未が気にするに決まってるだろうが」
今、この俺の言葉を聞いている者は多い。
「ケガしなければ守ったということでもねぇ。女を玖未に接触させずに消したから守ったということにもならねぇ。玖未がいつものように穏やかに過ごせて守れたと言えるんだろうが。玖未に心配させた時点で守れてねぇんだよ」
そう伝えてから部屋に入ると
「新しいアカウントは今のところ確認なしです」
「玖未さんの方へはどうでしたか?」
森川が兄弟で俺に声を掛けながら、1台のパソコン画面をこちらへ向けた。
「…肋骨イッたかな…」
右京が呟きながら腹を擦り、野沢と俺の後ろに立つ。事情を把握しないままの大西と津川も立つが、そうすると見にくいのだろう。野沢が津川に俺の隣に座るよう示しながら言った。
「玖未さんへの接触はありませんでした」
「直接的に攻撃するつもりはない…目的は須藤か…?途中でクローズさせているので裏垢の最終目的は分かりませんが、2時間ちょっとである程度の人間がアクセスしてます」
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「そいつらのアカウントも表、裏関係なく押さえに行ってるんで…」
「新しいアカウントも見張りつつ…もう押さえ終わります」
森川兄弟がそれぞれ一人で2台のパソコンを叩きながら報告するのを聞きながら目の前の画面を見る。
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「由々しき事態です」
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