彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

暗暗裏に進むのはどちらか 3

「身の危険は全くねぇ。明日も明後日も玖未と飯食って、仕事して、玖未と眠る…それは俺だけじゃなく、この仕事に誰の身の危険もねぇよ」
「もおぉ…玖未ちゃん、可愛すぎだろ？ムカつくことが予期せず起こってはいる。だから、ちょっと考え事はしてたけど危ないことではないよ」
「そうです。玖未さんはよだれを垂れて寝ておられても問題ありません」

危ないことでなければいい。

でも、きっと大変なことなのだろうと右京の雰囲気と野沢さんの‘よだれ’発言でも感じる。普通なら言わないけれど、何かに対して‘ねちょ’が発動しているから普段と違う言葉が入るのだと思う。

「みんな、お仕事頑張ってね」

彼らの仕事で私の出来ることはない。わざわざここに連れて来たのは時間がかかることなのだろう。この時間に大西さんと津川さんも別の車に乗って来ている。だから私はそう言うしかなかったのだけれど…車を降りると

「若、失礼します」

と野沢さんにハグされ、続けて

「玖未ちゃん…ありがと」

右京にハグされた。

そして悠仁に抱っこされて屋敷の廊下を進むという異常事態だが今夜は抵抗せずにいた。

「ダイニング？ミーティングってダイニング？」
「いや、飲み物を取りに行くだけ。玖未も部屋に送ってやる」

悠仁がそう言ったけれど、ダイニングに行ってみれば続くリビングで里くんが映画を見ていた。