彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

心得違い 1

今日も結構忙しい日だ。暇よりもよっぽどいい。

悠仁たちとマンションで朝食を食べたあと、9時オープン直後のスーパーへ行く。

マンションの分、灰谷兄妹の分、屋敷の分…屋敷ではこれまで通りの2品は当番で作っているが、各自と言っていた昼も、当番の夜も、私がプラス1品を作っておくと喜んでもらえるので、出来るだけ作りに行く。でも私が全て作るということは絶対にしない。当番制というのは、これまでの須藤組の大切なルールだと思うから。

私は財布をふたつ持ち、屋敷の分は大西さんが支払いをする。

「クミの頭ん中が覗きたい」

もうカートを押す手が必要となったので、見守るのではなく一緒に通路を歩く津川さんがボソッと言うが意味が分からないので放っておく。

「3つのかごに入れ分ける感じが不思議だって言ってんだよ」
「…適当…全部のメニューを組み立てられてはいない」

買った物をまずマンションへ運び、自室分と灰谷兄妹分はまとめて冷蔵庫に入れてから屋敷へ行く。

大西さん、津川さんと一緒に食堂へ直行すると、二人は私のスマホのGPSの起動を確かめてから自室へ行ったり、仕事をしに他の部屋へ行く。べったりと監視されているのではないので気が楽だ。

冷蔵庫に何かを取りに来る組員さんと一言二言…何とか…多分気を使ってもらいながら話をすると、だんだん名前もわかって来た。

今日のお昼は鶏のチリソースを玉ねぎたっぷりで作っておく。そして

‘おかずでも、鶏チリ丼でも、大丈夫です。玖未’

とメモしてマンションへ帰るという具合だ。