彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

有りのままのリアル 11

「みんな…心配してくれてるんだろうけど大丈夫だよ。私は悠仁から離れないし…みんなとも…多分…家族かな…って思ってるし」
「玖未ちゃん、そこも断言してよ。俺たちも家族だよ」
「ん…だからね、大丈夫…舞花は中山のお父さんとお母さんがいる…普通の家だから」
「玖未さん、よく理解して、よく言って下さいました。私たちも玖未さんから離れませんから」

丁寧な言葉遣いの野沢さんは、うちだからかコットンセーターの袖を少し捲っているので左腕を覆う刺青が10センチほど見えている。

ここだけ見ても明らかにタトゥーではないと分かるものだね。

「野沢さんの…里くんも裕子さんも友達みたいに…お姉さんみたいに連絡くれるし、奈保先生もだね。下のコンビニに行っても…何かね、近所の井戸端会議に参加するみたいになるし…ここがいい。本当に大丈夫だから」

私がそう伝えると、ソファーで隣に座る悠仁が私をぐいっと持ち上げ自分の前に座らせると両手を私のお腹で組んで首筋に顔を埋めた。

「あのさ、玖未ちゃん。万が一、女が自分からすっと離れない時には俺たちはすっぱり離しにかかるよ？そうでないと、組のど真ん中に入ってきた奴のあとの言動で誰かが危ない目に合うのは困る。少なくとも、あのホテルを須藤が使っていることは女がすでに把握しているだろ？」
「そうだね…」
「だから少々脅しを掛けるかもしれないけれど、ごめんね」
「…右京もさ…優しいよね。もう組の話になってきてるって分かるから、私は右京たちのやり方で文句はないよ。舞花に申し訳ないとは思うかもしれないけれど…それは…私が悠仁と一緒にいるなら、いつか通る道だよね」