彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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有りのままのリアル 4

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「玖未のポテトと人参で豪華定食になってんな…揚げたて…ん、何も付けなくてもうまい」

お父さんは揚げただけのじゃがいもを頷きながら食べる。塩を振れば美味しいけれど、焼き肉炒めと豚汁がどちらもしっかりとした味だから全体には塩をしなかった。手元で掛けている人はいるだろうけれど。

「賞味期限切れのゴマがうまいな、クミ」

おかしな褒め方をする津川さんだが、これにはゴマが欠かせない。

「こういう一皿があると、わざわざ外に出ないで食堂で食べる者が増えるでしょうね」
「間違いないですね」

食べ始めてから私は少し頷くだけで皆が喋ってくれるから、ゆっくりとモグモグする。うん…少し荒い刻み方のネギが豚汁にちょうど合ってる、美味しい…大鍋の豚汁とかカレーって施設でも定番だったけれど…何か違う…味が違って当たり前で、そういうことが言いたいのとは違うの…何だろう?

と考えているうちに、ここではワンパターンになりがちだから、味がパワー系になりがちだから、という理由でわざわざ外食する人がいること。特に中年以降の年齢の人は週の半分ほど外食していること。そんな食堂事情が耳に入ってくる。

「玖未さん?大丈夫ですか?」

その話の途中でお箸を置いた右隣の大西さんが私の横顔をじっと見るのが分かった。

コクン…

「頷くのはいいが、玖未。悠仁がいなくても、玖未の周りにはこれだけの家族がいるだろ?玖未の話を真面目に聞いて受け止める奴ばかりだ。分かるか?」

…コクン…お父さんの言葉は続く。

「頭で分かるというだけで、まだ玖未は実践していないだろ?何でも言ってみろ。そしてここにいる玖未の兄ちゃんや弟、父親は俺だけだが…おじか?とにかく家族がどう応えるのか試してみろ。俺たちが‘信頼できる奴だ’と押し付けるのではなく、些細なことでも玖未自身が‘信頼できる、頼れる’と感じることが大切だ」
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