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有りのままのリアル 2
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台所にいたのは森川兄弟。漂う香りからして…豚汁用にだろう、大量にネギを刻むのが兄。味噌を溶くのが弟。
「どこ開けてもいいよ」
兄の声に、そっと冷蔵庫や戸棚を開け閉めしていると
「何を使っても大丈夫ですよ」
弟の声もした。肉か魚はあるはずだから副菜を作ればいいか…purururu…
「悠仁」
‘玖未、大丈夫か?’
「…何が…かな?」
‘屋敷が不自由だったり居心地悪けりゃ、マンションに戻れよ’
「…食堂にいる」
‘もうか?’
「お父さんが帰って来て、太郎に夕食はダイニングか食堂かどうする?って聞かれて…食堂…暇だから何か作る…」
‘一人で動けたのか?’
「ん。GPSは起動してるよ…大西さんと津川さんが私の迷子の気配は察知するはず…でも大丈夫だった」
‘ん、食堂には?’
「…ぇっと…森川兄弟…がいる」
‘そうか’
「あ…次郎が来た…ぇ…津川さんも…何?」
「クミ、問題ねぇか?」
「ここもお好きに使ってください、玖未さん」
「…聞こえた?」
‘ん。迷子じゃないのに追っ手が来たな’
「そうだね…とりあえず何か作るよ。悠仁は今から食事?」
‘そうだ、移動中。いい子で待ってろよ、玖未’
悠仁も津川さんも次郎も私の様子うかがいらしい…屋敷内なのに過保護だ。
「…ゴマ、ある?」
「多分…この引き出しか、この下…あった…新品」
「誰かが買ったまま使ってないんだろ」
森川兄弟が出してくれたゴマは
「賞味期限…先月…」
「ヤバい?」
「大丈夫…開封してないから…使う」
賞味期限が切れている。
「クミ、いいぞ。そんなもんで具合悪くなるデリケートな奴はいねぇ」
津川さんがニヤリと笑って満足そうに出て行った。それから私は人参4本を千切りにしてごま油で炒めしんなりさせると、醤油とみりんを加えてさっと炒め、溶き卵4個を回し入れた。卵が固まったら菜箸で全体を混ぜ、ごまを加えて混ぜて完成。大きな器に盛ってかつお節をかけた。人参しりしり…奈保先生のお気に入りだ。
「どこ開けてもいいよ」
兄の声に、そっと冷蔵庫や戸棚を開け閉めしていると
「何を使っても大丈夫ですよ」
弟の声もした。肉か魚はあるはずだから副菜を作ればいいか…purururu…
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‘玖未、大丈夫か?’
「…何が…かな?」
‘屋敷が不自由だったり居心地悪けりゃ、マンションに戻れよ’
「…食堂にいる」
‘もうか?’
「お父さんが帰って来て、太郎に夕食はダイニングか食堂かどうする?って聞かれて…食堂…暇だから何か作る…」
‘一人で動けたのか?’
「ん。GPSは起動してるよ…大西さんと津川さんが私の迷子の気配は察知するはず…でも大丈夫だった」
‘ん、食堂には?’
「…ぇっと…森川兄弟…がいる」
‘そうか’
「あ…次郎が来た…ぇ…津川さんも…何?」
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「ここもお好きに使ってください、玖未さん」
「…聞こえた?」
‘ん。迷子じゃないのに追っ手が来たな’
「そうだね…とりあえず何か作るよ。悠仁は今から食事?」
‘そうだ、移動中。いい子で待ってろよ、玖未’
悠仁も津川さんも次郎も私の様子うかがいらしい…屋敷内なのに過保護だ。
「…ゴマ、ある?」
「多分…この引き出しか、この下…あった…新品」
「誰かが買ったまま使ってないんだろ」
森川兄弟が出してくれたゴマは
「賞味期限…先月…」
「ヤバい?」
「大丈夫…開封してないから…使う」
賞味期限が切れている。
「クミ、いいぞ。そんなもんで具合悪くなるデリケートな奴はいねぇ」
津川さんがニヤリと笑って満足そうに出て行った。それから私は人参4本を千切りにしてごま油で炒めしんなりさせると、醤油とみりんを加えてさっと炒め、溶き卵4個を回し入れた。卵が固まったら菜箸で全体を混ぜ、ごまを加えて混ぜて完成。大きな器に盛ってかつお節をかけた。人参しりしり…奈保先生のお気に入りだ。
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