彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

感情、知性の複合体 21

「じゃあ…参加させていただきますね」
「どうぞ」

女と俺の声を聞きながら、ふと思い出した様子の玖未が女に聞いた。

「舞花のお仕事は、そろそろ探す頃？」

失業手当てについて前に聞いているから気になったのだろう。

「もう仕事してるよぉ、3週間になるね」
「知らなかった…どこ？」
「ケーキ屋さん」
「そうなんだ。よかったね、すぐに見つかって」
「私、ツイてるのよねぇ。友達からの紹介ですぐに決まったの」
「さすが、舞花」
「でしょ？」
「製造？販売？」
「販売」
「春、忙しそうだね。お祝い事が多いから」

こういう会話が普通なのだが…玖未のヘアスタイルやピアス、これまでと違った装いであることに不自然なほど全く触れない女の感情、知性、人間性、本質は恐ろしい。

セミフレッドと溢れんばかりに添えられた果物のプレートを嬉しそうに眺める玖未の頭をそっと引き寄せ唇を落とすと

「キレイで…食べるのがもったいないね」

彼女はそう呟き

「悠仁、今日はありがとう。どれも初めてで…素敵な美味しい経験だったよ」

と俺を見た。

ほら…玖未の感情と知性、人間性と本質は徐々に見えてきただろ？どこまでいい女になるんだか…