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欲は大罪なのか 9

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アパートの解約や住所変更は大西さんと津川さんが教えてくれる通りに完了した。

そうやって私が動く間に悠仁は会社に行く日もある。ずっとマンションにいたけれど当然だよね。

右手首はぐるぐる包帯から解放され、指の固定のためだけの包帯になり人差し指が自由になったのでとても楽になった。

「玖未ちゃん、ちゃんと毎日治療に来てくれたし、お薬のついた絆創膏も徹底してつけてくれたし顎の傷、今はまだ見えるけど、これから痕は残らないように薄くなっていくからね。この塞がり方なら大丈夫」
「ありがとう、奈保先生」
「顔の絆創膏って勝手に取ってしまう人がいるのよ。でもちゃんとつけてた玖未ちゃんの勝ち。もう何もしなくて普通でいいよ」

コクン…

「固定は取り外し不可でこのまま1週間すれば曲げ伸ばしが痛みなく出来る、曲げきったときの痛みが残っている程度になります。その時には1本の固定にして他は動かしていきましょう」

灰谷兄先生に頷いたとき…purururu…

「仕事中の若じゃない?治療どうだった?って」
「どうぞ、出て下さい。珈琲を淹れますね。ご一緒に…」
「…悠仁じゃないけど…」
「誰?」
「友達…」
「うん、出ていいよ。それからラスクもらったの一緒に食べよ」

二人はお茶の準備に立つ。非常勤の勤務がなければこうして珈琲をご馳走になってから帰るのも日課になった。

「もしもし舞…」
‘玖未、ニュース見たっ?’
「何のニュース?」
‘日野先生って覚えてる?施設にいた先生。逮捕されたって’
「…逮捕…?」
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