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欲は大罪なのか 2
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「玖未、ここ…キッチン雑貨みたいだな。見ないか?」
「いいの?たくさん待たせちゃってるよね?」
「喜んで荷物を持つのを待ってるぞ」
「…そうなの?」
「ん?見てみ?」
インカムで‘待たせちゃってる’あたりから流したので、玖未が周りを見ると何人もが腕で大きく丸を作って見せている。
「じゃあ…入る。ここね、モールに来たらいつも見るお店なの」
「行きつけか?」
「見ているだけ」
「今日は買う。服もあるのか?」
「それ、エプロンワンピース」
「ん。奥からゆっくり見る」
ゆっくり奥へ進みながら見ると、キッチン道具からマット類や部屋着っぽいものまで北欧中心の雑貨屋のようだ。繋いだ手が小刻みに動くのは玖未が体ごと、あっちを向いたりこっちを向いたりするせいだ。きっと好きなもの、魅力的なものがたくさん目に入るのだろう。俺が全部買ってやる。
「玖未、いいか?ここで玖未の欲しい物を買うのは玖未の物欲を満たすだけのためじゃねぇ。玖未と俺の部屋で使うなら、玖未と俺の未来を作る一部だ。俺を満たす物にもなるってことだ。楽しみだな」
「悠仁」
「ん?どれがいい?」
「うん…私がマンションでご飯を作っていいってこと?」
「作りたい時にはな」
「今のところ…暇すぎて作りたいと思ってる」
「ん。俺の部屋、こんなのないだろ?この前みたいに鍋するとか、温めるためのちょっとしたものだけしかねぇ」
「グラスはたくさんあるよね」
手を繋いでいると、玖未が好きなものに手を伸ばせないな…固定してある手で割れ物に手を出せないだろうと手を放して腰を抱く。あの女…そういえば、この大袈裟なほど巻いてある包帯を見てもどこがヒビなのか、いつ治るのか…聞かなかったな。
「この…取っ手が天然木の琺瑯のミルクパンとソースパン、いい?」
「ん、色は?」
「白?黄色?うーん…中は白で外が黄色いこれが可愛いかな?」
「いいな」
「これでゆで卵作ったら、中が黄色で外が白だよ…あはっ」
思わず出たであろう笑い声に玖未が自分で驚いたように固まった。
「玖未ちゃ~ん、お待たせ~俺、荷物持ち志願者」
右京が両手にかごを持って来ると
「私も買い物予定だったから一緒にいい、玖未?」
後ろから女もついて来やがった。
「いいの?たくさん待たせちゃってるよね?」
「喜んで荷物を持つのを待ってるぞ」
「…そうなの?」
「ん?見てみ?」
インカムで‘待たせちゃってる’あたりから流したので、玖未が周りを見ると何人もが腕で大きく丸を作って見せている。
「じゃあ…入る。ここね、モールに来たらいつも見るお店なの」
「行きつけか?」
「見ているだけ」
「今日は買う。服もあるのか?」
「それ、エプロンワンピース」
「ん。奥からゆっくり見る」
ゆっくり奥へ進みながら見ると、キッチン道具からマット類や部屋着っぽいものまで北欧中心の雑貨屋のようだ。繋いだ手が小刻みに動くのは玖未が体ごと、あっちを向いたりこっちを向いたりするせいだ。きっと好きなもの、魅力的なものがたくさん目に入るのだろう。俺が全部買ってやる。
「玖未、いいか?ここで玖未の欲しい物を買うのは玖未の物欲を満たすだけのためじゃねぇ。玖未と俺の部屋で使うなら、玖未と俺の未来を作る一部だ。俺を満たす物にもなるってことだ。楽しみだな」
「悠仁」
「ん?どれがいい?」
「うん…私がマンションでご飯を作っていいってこと?」
「作りたい時にはな」
「今のところ…暇すぎて作りたいと思ってる」
「ん。俺の部屋、こんなのないだろ?この前みたいに鍋するとか、温めるためのちょっとしたものだけしかねぇ」
「グラスはたくさんあるよね」
手を繋いでいると、玖未が好きなものに手を伸ばせないな…固定してある手で割れ物に手を出せないだろうと手を放して腰を抱く。あの女…そういえば、この大袈裟なほど巻いてある包帯を見てもどこがヒビなのか、いつ治るのか…聞かなかったな。
「この…取っ手が天然木の琺瑯のミルクパンとソースパン、いい?」
「ん、色は?」
「白?黄色?うーん…中は白で外が黄色いこれが可愛いかな?」
「いいな」
「これでゆで卵作ったら、中が黄色で外が白だよ…あはっ」
思わず出たであろう笑い声に玖未が自分で驚いたように固まった。
「玖未ちゃ~ん、お待たせ~俺、荷物持ち志願者」
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「私も買い物予定だったから一緒にいい、玖未?」
後ろから女もついて来やがった。
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