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現在とか未来とか 16
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「ただいま」
「おかえりなさい。おつかいご苦労様でした」
「おかえり~カレーパンあった?」
「あった」
私が出た時と同じ位置に座っていた3人がこちらを向くと、悠仁が腕を伸ばして私を手招きする。
「ちょい待て、クミ。帰ったら手洗いうがいだ」
後ろからそう言った津川さんが私の隣に並ぶと
「ただいま戻りました、若」
と軽く頭を下げたあと
「大西と共に自分をクミ付きにお願いいたします。身命を賭してクミさんをお守り致します」
クミとかクミさんとか…忙しいけれど深々と頭を下げた。
「玖未、津川でいいか?」
「うん。下でね、同じように言ってくれたから‘そんなことのないように気をつけます’ってもう約束した」
「そんなこと?」
「身命を賭して、の意味を教えてもらったから、そんなことないように気をつけるの。手、洗ってくる」
固定してある方は出ている部分だけだけど…と思いながら洗面所に向かおうとすると
「玖未、津川は厳しいぞ?」
「そうなの?ストーカーみたいについてるだけなら気にならない…よね?」
真面目な悠仁に真面目に答える。
「若…クミに負けないように努めます」
「ふっ…そのようだな。頼む」
仕事を広げていたものを全部退けて、パンと珈琲を並べたテーブルで
「どうだった?」
悠仁が私に聞く。何から話そうか…たった数分の外出だったけれど悠仁に話すことがいろいろある。
「…津川さんのクリームパン」
「おう、クミ。どれだ?」
「アーモンドスライスの…これ…意外な好みだよね」
「ああぁ?顔に似合わずと言いたげだな?」
「ぶっ…玖未ちゃん、津川は酒も一滴も飲まない」
今それは…返答に困る情報だよ、右京。
「次は大西さんが前で津川さんとお店に入った方がいいかも…って思った」
話題を少し変えてみる。
「興味深い意見ですね、玖未さん。どんな理由からでしょう?私はこの焼きそばパンをいただきます」
「うん…津川さんが表にいると…他のお客さんが…」
「ああぁ?クミ、お前とことん失礼だな?」
「いえっ…いえいえ、間違えました…大西さんが大きいからお店が狭い…?」
「どっちにしても失礼だな、クミ」
マズイ…めちゃくちゃ睨まれてるよ…大西さんを見ると、ニコッとコーンのパンにかじりつき、悠仁を見ると頭を撫でられた。
「玖未、偉いぞ。ちゃんと津川と大西と仲良く出来てる」
そうなるの?恐々、津川さんを見ると、ちょうどクリームパンをふたつに割ったところで
「ふわとろクリームじゃねぇか。最高だな。クミ、半分やる」
大きい方を私に差し出してくれた。
「おかえりなさい。おつかいご苦労様でした」
「おかえり~カレーパンあった?」
「あった」
私が出た時と同じ位置に座っていた3人がこちらを向くと、悠仁が腕を伸ばして私を手招きする。
「ちょい待て、クミ。帰ったら手洗いうがいだ」
後ろからそう言った津川さんが私の隣に並ぶと
「ただいま戻りました、若」
と軽く頭を下げたあと
「大西と共に自分をクミ付きにお願いいたします。身命を賭してクミさんをお守り致します」
クミとかクミさんとか…忙しいけれど深々と頭を下げた。
「玖未、津川でいいか?」
「うん。下でね、同じように言ってくれたから‘そんなことのないように気をつけます’ってもう約束した」
「そんなこと?」
「身命を賭して、の意味を教えてもらったから、そんなことないように気をつけるの。手、洗ってくる」
固定してある方は出ている部分だけだけど…と思いながら洗面所に向かおうとすると
「玖未、津川は厳しいぞ?」
「そうなの?ストーカーみたいについてるだけなら気にならない…よね?」
真面目な悠仁に真面目に答える。
「若…クミに負けないように努めます」
「ふっ…そのようだな。頼む」
仕事を広げていたものを全部退けて、パンと珈琲を並べたテーブルで
「どうだった?」
悠仁が私に聞く。何から話そうか…たった数分の外出だったけれど悠仁に話すことがいろいろある。
「…津川さんのクリームパン」
「おう、クミ。どれだ?」
「アーモンドスライスの…これ…意外な好みだよね」
「ああぁ?顔に似合わずと言いたげだな?」
「ぶっ…玖未ちゃん、津川は酒も一滴も飲まない」
今それは…返答に困る情報だよ、右京。
「次は大西さんが前で津川さんとお店に入った方がいいかも…って思った」
話題を少し変えてみる。
「興味深い意見ですね、玖未さん。どんな理由からでしょう?私はこの焼きそばパンをいただきます」
「うん…津川さんが表にいると…他のお客さんが…」
「ああぁ?クミ、お前とことん失礼だな?」
「いえっ…いえいえ、間違えました…大西さんが大きいからお店が狭い…?」
「どっちにしても失礼だな、クミ」
マズイ…めちゃくちゃ睨まれてるよ…大西さんを見ると、ニコッとコーンのパンにかじりつき、悠仁を見ると頭を撫でられた。
「玖未、偉いぞ。ちゃんと津川と大西と仲良く出来てる」
そうなるの?恐々、津川さんを見ると、ちょうどクリームパンをふたつに割ったところで
「ふわとろクリームじゃねぇか。最高だな。クミ、半分やる」
大きい方を私に差し出してくれた。
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