彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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現在とか未来とか 15

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「津川オサムです。身命を賭してお守り致します」

そう言い深く頭を下げる。困った…いきなり困った。とにかく…

「ぁあたまっ…上げてください。天野玖未です」

そこまでは良かったけれど、どうしよう…大きな大西さんと小さな津川さんをキョロキョロ見る不審者になっている。

「玖未さん、ご質問ですか?」

大西さんにコクコクと頷くと

「なんだ?質問くらい遠慮すんなよ」

野沢さんより年上らしき津川さんが私に言う。ああ、この人も集団ストーカーの一員だったよ。一番小さいのに一番ヤクザみたいな人って思ってた人だ。

「では…ですね…しんめいをとして、と言ったでしょ?」
「言った」
「意味を教えてください」
「命懸けってことだ」
「…そうですか…それなら…そんなことのないように気をつけますね」
「ははっ、面白いこと言うな。クミでいいか?」
「はい」

眉間に切り傷痕がある津川さんが鋭い眼光のまま笑って先に歩き始めた。

津川さんはベーカリーの前、大西さんが私と一緒に店内に入る。

わぁ…この香り…吸い込んでみよう。たまに行くベーカリーでは呼吸も最小限に、割引の食パンがあるかないかをチェックしていた。

「玖未さん、どうぞ」

私にトングとトレイを手渡した大西さんもトレイだけを持つ。

「全員分ですからトレイふたつがいっぱいになるくらいか、それ以上を選んでください。手…持てますか?」

コクン…おおぉぉ…大量購入、買い占め…これは端から端まで全部ゆっくり見て…いやいや、津川さんを外で待たせているから手早く選ばないと。

カレーパンはまず右京に。それを見て他の人が欲しくなるかも、だから2個。プレッツェルクロワッサン…普通のクロワッサンより固めのザクザクとした噛み応えがクセに?欲しいかも、2個。わぉ、メロンパンは大小2サイズある。クロワッサン·ア·ラ·クレームって、ケーキだね。タイ風焼きそばパン、くるみフランスは大きいからカット…誰かにしてもらおう。じゃがバタベーコンフランス…

「大西さんの好きなのは、どれですか?」
「断トツでコーンです」
「このたっぷりコーン、でいいですか?」
「はい」

広くない店内で場所を取っている大西さんは少年のような声にぴったりのスィートコーンがたっぷり乗ったパンが好きらしい。今日はこれでいいか…お会計をお願いしてすぐに、大西さんをレジに残して表の津川さんのところに行く。

「津川さん、好きなパンは?」
「クリームパン」

タバコを吸いながら即答したのを聞いて店内に戻ると、アーモンドスライスが乗ったクリームパンをひとつ追加した。ヤクザな顔で迷わずクリームパンって言ったよね。悠仁に報告しよう。

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