彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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現在とか未来とか 3

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俺たちが少しだけ会社の仕事に対応した僅か10分間、17時半という時間だが玖未はソファーで寝てしまった。

「よほどお疲れでしたね」
「言葉を出して気持ちが大きく動いて忙しいからな」
「おかえり、に動揺してたね」

手元を片付けながら

「若、今のうちにシャワーを。まだ墨のケアが必要ですし、玖未さんがいつ起きるかわからないので」
「ん」

今の玖未が慣れない場所で起きて一人ではいけないと立ち上がったときブーブー…

「アイツだ…きたね」
「玖未が応える時に助けてやるだけだ。今、俺たちが対応してもややこしい」
「だね」

日野からの電話のコール音の長さが執着を感じさせる。

玖未には一気に押し寄せる過去と変化と痛みとを遥かに上回る温もりと愛情を与えてやる、と鏡で見る鮮やかな荒獅子に誓った。

そしてたっぷり2時間ほど眠った玖未が起きた時、俺たち3人は数種類の中華デリを広げてビールを飲んでいた。

「腹が減って先に食ってた、悪いな」
「…大丈夫…寝た…」
「寝てたな、2時間だ」
「…うん…」

寝起きは体が痛そうなので起き上がるのを手伝ってやると

「え?…寝た?2時間?」

少々おかしな反応が返ってくる。

「玖未ちゃん、ケガが治ったら一緒に飲もうな。今日は我慢だよ」
「…起きた…おはよう…」
「大丈夫か?」
「今朝より深く…落ちてた眠りで…びっくりした…」

疲れを隠さず、そうして伝えればいい…ブーブー…またきたか。

「さっきも鳴ってた。日野からだ」

表情を変えることなく一切の驚きも見せない玖未は、日野とずっと無表情、心を無くして接してきたのかもしれない。

「玖未さん、どうぞ。スープ、温めました」
「…ありがと…いただきます」
「玖未、次の電話に出られるか?」

一口スープを飲んだ玖未が頷く。

「部屋は今月中に解約。来週月曜、1週間後に鍵の返却」
「うん」
「それまでに貴重品、大切な物だけ取りに行く。あとは新しい玖未に新しい物を全部買ってやる」
「…」
「返すことを考えるな。対価は求めない。俺がただ大事に…これまでの頑張りが報われる未来に踏み出す玖未をサポートしたいだけだ」
「ありがと、悠仁」
「ん。あとは仕事のことを聞かれるだろうが紹介してもらえると言えばいい。今の状況も聞かれるだろうが玖未の得意な‘ゆーじん’の家と答えておけ」
「ん」
「ぶっ…玖未ちゃん、悠仁の真似?ウケるって」

スープからチラッと俺を見た玖未は笑う右京を無視して

「それで…終わる?」

と俺に問う。
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