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仮定の真否 5

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‘玖未か、どうした?’

おお…こうやって聞こえるのか…感心している様子の彼女に、斜め前の右京が、喋れとジェスチャーで示す。

‘玖未?’
「あ…おはようございます、ゲンさん」
‘どうした?’
「あの…すみません。本当に申し訳ないんですけど…手をケガしてしまって…しばらくお休みを…」
‘ケガ?いつ?どこで?病院は?’

ここで俺が玖未の手をポンポンと軽く叩き口を開いた。

「ゲンさん、須藤です。俺から説明させてください」

‘何で若さんと玖未が一緒にいる?’

いきなり喧嘩腰のゲンさんに玖未の瞳が温度を失う。

懸命に言葉を吐き続けているうちに自然と温度を持つのが瞳だ。

起きた時、玖未に伝えた言葉の働き、機能…それを子どものような素直さで実践している玖未だが言葉は返ってもくる。

心配ないと玖未の左手をきゅっと握ると、相手の喧嘩腰が際立つように落ち着きある対応をする。これで‘煽られた’と思う奴と、自分勝手なヒートアップに気づく奴とで力量が量れる。

「そこも含めて順に説明させて頂いてよろしいですか?」
‘いい’
「ありがとうございます。深夜、繁華街脇で玖未は男に襲われました。何とか助けに入りましたが、揉み合う中でケガをしています。全治3週間」
‘3週間?’
「はい。右手の指のヒビのため固定しているので、3週間に加えて少しリハビリ期間も必要だと思います」
‘若さんが玖未に近づいたことが原因で襲われたのか?’

ここで玖未が僅かに眉を動かした。

「いえ。男は西でも同じような前科のある者だと報告がありました。この辺りの者でもなければ、誰とも面識はありません」
‘状況はわかった。治療は受けているんだな?’
「はい。そこは最後までご心配なく」
‘玖未は?仕事のことは玖未と話す’
「…ゲンさん…私が暗い路地を通ったのがいけないの…助けてもらっただけです」
‘そうか。仕事にはならないな’
「はい…すみません。ちょうど期限が来てしまいます」

期限?

俺たちは3人でチラッと視線を交わしてから二人の会話に集中した。
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