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仮定の真否 2
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「俺はそのライトグレーにオレンジボアがイチオシだったよ、玖未ちゃん。あとで灰谷んとこにそれで行けばいいよ」
「妹がお騒がせしました。食べましょうか?しっかりと食べて筋肉も皮膚も骨も回復させましょう、玖未さん」
やっぱりみんな優しく、たくさんの言葉を向けてくれるんだね…私も…もう一言、頑張れるかな…と思った時、座るかと思っていた悠仁が座らずに私の腕を撫でた。
「…どれも…黒以外は初めてだけど…他の色もいいなって思ったこともあるし、嬉しい…です」
私がそう言うと、悠仁は私の頭をそっと引き寄せチュッ…と額に唇を落とした。
「すげぇ、進歩中だな、玖未。めちゃくちゃ嬉しい」
「私も嬉しいですね。妹の暴走かと思いましたが、玖未さんの言葉で大丈夫だと思えますから」
「さあ、玖未ちゃん。どれを食べる?」
私が少し言葉を足せば、ここの人はみんなこんなに嬉しそうにしてくれるんだ…まだ少し怖いけれど…
「ありがと…おはぎは…?」
「玖未さん、おはぎはデザートかおやつです」
「…」
「反論の余地はいつでもありますよ?どうぞ、遠慮なく」
「…ぁの…野沢さん」
「私の名前も覚えて下さって良かったです」
「……」
「玖未、頑張れ」
「あの、ですね…おはぎはお米…」
「なるほど、そうですね」
「……」
「玖未ちゃん、もう一押し」
「…裕子さんも‘食べて’と」
「言ってましたね」
「……食べ…たぃ」
「今日のところはいいでしょう。どうぞ」
やった…でも…
「悠仁…」
「ん?」
「1ヶ月分…一気に喋ったら疲れた…」
「急いで甘いもの補給だな。左手で掴んで齧るか?」
コクン…私は七穀おはぎと書かれた、おにぎりのように見えるおはぎを手に持って
「いただきます」
かじりついた。中身は粒あんでお米の食感がすごくいい。
こうして始まった食事中
「玖未ちゃん、ゲンさんに連絡しないといけないだろ?何時なら連絡取れるか知ってる?」
豪華な巻き寿司を手にした右京が私を見た。
そうだった…鈍痛があちこちにあるせいか、仕事のことを忘れていた。
「妹がお騒がせしました。食べましょうか?しっかりと食べて筋肉も皮膚も骨も回復させましょう、玖未さん」
やっぱりみんな優しく、たくさんの言葉を向けてくれるんだね…私も…もう一言、頑張れるかな…と思った時、座るかと思っていた悠仁が座らずに私の腕を撫でた。
「…どれも…黒以外は初めてだけど…他の色もいいなって思ったこともあるし、嬉しい…です」
私がそう言うと、悠仁は私の頭をそっと引き寄せチュッ…と額に唇を落とした。
「すげぇ、進歩中だな、玖未。めちゃくちゃ嬉しい」
「私も嬉しいですね。妹の暴走かと思いましたが、玖未さんの言葉で大丈夫だと思えますから」
「さあ、玖未ちゃん。どれを食べる?」
私が少し言葉を足せば、ここの人はみんなこんなに嬉しそうにしてくれるんだ…まだ少し怖いけれど…
「ありがと…おはぎは…?」
「玖未さん、おはぎはデザートかおやつです」
「…」
「反論の余地はいつでもありますよ?どうぞ、遠慮なく」
「…ぁの…野沢さん」
「私の名前も覚えて下さって良かったです」
「……」
「玖未、頑張れ」
「あの、ですね…おはぎはお米…」
「なるほど、そうですね」
「……」
「玖未ちゃん、もう一押し」
「…裕子さんも‘食べて’と」
「言ってましたね」
「……食べ…たぃ」
「今日のところはいいでしょう。どうぞ」
やった…でも…
「悠仁…」
「ん?」
「1ヶ月分…一気に喋ったら疲れた…」
「急いで甘いもの補給だな。左手で掴んで齧るか?」
コクン…私は七穀おはぎと書かれた、おにぎりのように見えるおはぎを手に持って
「いただきます」
かじりついた。中身は粒あんでお米の食感がすごくいい。
こうして始まった食事中
「玖未ちゃん、ゲンさんに連絡しないといけないだろ?何時なら連絡取れるか知ってる?」
豪華な巻き寿司を手にした右京が私を見た。
そうだった…鈍痛があちこちにあるせいか、仕事のことを忘れていた。
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