彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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諭し説き口説く 10

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「痛みは?」
「…何となく全部」
「今日、明日が一番痛いはずだ。痛み止め飲むか?」

ううん…それほどでもない。

「歩く」
「大怪我してんのに無理」

そう言ってそっと背中を撫でた彼は

「俺がこうしていたいから、甘えとけ」

と甘い声を吐く。そして部屋の外に出ると

「玖未、先に挨拶してみろ」

私の目を見てそれだけ伝えて、話し声の方へゆっくりと歩いた。

夜に座っていたソファーのあるリビングに3人が見えると、一斉に皆と目が合った。

え…一斉だよ…

「ぉはよ…ございま…す」
「おはようございます、玖未さん。ケガの具合はいかがですか?って、まだわからないくらいですね。眠れましたか?」

コクン…

「おっはよう、玖未ちゃん。歯ブラシあるよ?昨日寝ちゃったから使う?」

コクン…

「綺麗なお嬢さんねぇ、社長。玖未さん、おはようございます。野沢の妹の岡田裕子です。包帯が痛々しいわね…皮膚の自然治癒力を信じてビタミン多めに摂るのがいいわ。買って来たからね」

コクン…あ…

「…ありがとうございます…」

みんな、挨拶にいっぱい話すんだね…そうなんだ。でも…

「若さんは…挨拶しないの?」
「「「ぶっ…」」」

私の質問に3人が爆笑して、若さんは

「悠仁」

と嬉しそうに背中を撫でながら、的外れなことを言った。

「…悠仁は挨拶しないの?」
「俺と一心同体の玖未がしたからいい」

コクン…

「えぇ?玖未ちゃん、そこ納得?まあいいか…俺の名前は?」
「ゆーじんの…右京」
「えぇ?悠仁の右京より、私の右京って言ってよ…はい」

おかしなことを言いつつ、私に歯ブラシを手渡してくれた右京と悠仁を見比べると

「右京には聞き取れねぇんだ、玖未の言葉のニュアンスが」

と言い悠仁が歩き出す。そうだよね…

「悠仁…ぁ…と…」
「トイレはここ。一人で出来るか?」

コクコク…っ…ぃた…

「首か?」
「…ぅん」
「動かさないのが一番だ。隣がバスルーム。ゆっくり来い」

トイレの中で私を下ろした彼は私の歯ブラシを持って消えた。

うん…そうだよね…真ん前で待たれると…ちょっと…

利き手が固定されていると不便だ。自分の左手がこんなに不器用だったとは知らなかった。こういうボソッと被るワンピースじゃないと大変だ。奈保先生はそれをわかっていて、これを貸してくれたのかな。

ここはみんながとても優しくて…怖いくらいだ。
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