彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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差し響く 13

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「治療を邪魔するとキレるのが灰谷兄妹だが、俺が最初から一緒にいるべきだった。目覚めたら、知らない奴に治療されていたんだからな。返事も出来るはずないな。着替えは、どうした?」
「…自分」

目覚めたら知らない部屋で知らない人に覗き込まれていたんだもの…返事なんて出来ない。

須藤の医者って言われても、集団ストーカーメンバーの一人もいないから信じられなかった。

私が何も言ってないのにわかってくれるの?

「そうか。でも背中とか、灰谷妹に診てもらわないか?」

彼は手当てが専門らしい…最初の夜からそうだった。今も私の後頭部に大きな手のひらが当ててある。

「…全部…動かせるから大丈夫」
「レントゲンは連れて行く」

どうせ固定するだけなんだからこれで十分だ、と思い首を振る。

「ふっ…わかるが…どうするかなぁ…」

彼はふっと表情を緩めてから、重くなったのか…私の頭と背中にある手と腕を動かした…っ…ぃたっ…

「背中と頭の打ち身を今診てもらうなら、レントゲンは無しにするか?どうせ固定するだけだから、その程度なら結果は同じと言えば同じ。一応確かめるってだけだ。どちらか玖未が選べ」

声は出してないのに痛いのがバレた…レントゲンはいらない…

「いまにする…」
「ん、俺がこうしててやる」
「…それはいい…」
「ん?遠慮すんな。軽いな、玖未」


パタン……

「目覚めた時に知らない奴しかいなかったから返事出来なかっただけ。レントゲンも拒否してるのではなく、ヒビでも骨折でも固定しておくしかないと分かっているから必要ないと思っているだけ。玖未は何も悪くないから」

彼は私を子どものように片手で抱っこしてドアを開けると、いきなりそう言う。

「若が長文喋るの久しぶりに聞いたわ」
「本当に。骨折が複雑そうだったらレントゲンは必要ですけど、場所と腫れと触診からややこしいものではないと思います。打った、捻った…どんな力がかかったのかが分かれば確信も得られるのですが…玖未さん、揉み合っているうちに知らず知らずなら仕方ないですが、記憶にある部分なら教えてもらえませんか?改めまして、僕は灰谷和範です。よろしくお願いします」

私から見える位置に来た、灰谷兄先生が頭を下げてニコリと笑う。

笑っているが私の様子を注意深く見ている雰囲気だ。
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