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差し響く 4
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「明日は皆、休ませろ。野沢と右京も」
「では、夜の玖未さんだけですね?」
「ん。マンションに帰る」
「了解」
表の会社、藤開発の仕事は基本的に完全週休2日だが、組の仕事が週末に入ることがある。どの組もフロント企業というのを持っていることがほとんどのご時世だから自然なことだ。
その中でも親父、須藤組組長、須藤仁太が出るものと、若頭の俺が出るものとは、恒例のものと組として熟考するものとがあるが、どちらにしても誰かが行けばいいという簡単なものではない。
日曜日の今日も、午後は組の仕事で隣県へ出向いたので、俺と一緒に動く者を明日の月曜日を休みにするため、出勤せずにマンションに籠ることにする。
もちろん、夜に玖未を送るということは欠かすつもりはない。
やっと…初めて
「ありがとう」
と睨むようではあったが、確かに俺に言ってくれたのだから。
時間が掛かろうがゆっくりと大切に攻める。この先の何十年のための何ヵ月になろうがかまわない。
玖未のバリアを俺が越えるだけでなく、玖未の心を俺が色付けて明日や明後日への意欲を持たせてやりたいと…巷で荒獅子と呼ばれることのある俺が強くそう願うほど、毎晩見る玖未の目には色と温度がない。いろいろなもの、数えきれないものを諦めてきた目。
ただその目に僅かに力があるのは、玖未がまるという居場所を確保しているからか…玖未の居場所は俺、須藤悠仁だ。
須藤の屋敷の一部を見下ろすことが出来る場所にあるマンションに車が入った時、車内に着信音が響く。
俺と野沢のスマホが同時に鳴るという事態に、右京は車を駐車場内でUターンさせエンジンを切らずミラー越しに俺を見た。
「「はい」」
「では、夜の玖未さんだけですね?」
「ん。マンションに帰る」
「了解」
表の会社、藤開発の仕事は基本的に完全週休2日だが、組の仕事が週末に入ることがある。どの組もフロント企業というのを持っていることがほとんどのご時世だから自然なことだ。
その中でも親父、須藤組組長、須藤仁太が出るものと、若頭の俺が出るものとは、恒例のものと組として熟考するものとがあるが、どちらにしても誰かが行けばいいという簡単なものではない。
日曜日の今日も、午後は組の仕事で隣県へ出向いたので、俺と一緒に動く者を明日の月曜日を休みにするため、出勤せずにマンションに籠ることにする。
もちろん、夜に玖未を送るということは欠かすつもりはない。
やっと…初めて
「ありがとう」
と睨むようではあったが、確かに俺に言ってくれたのだから。
時間が掛かろうがゆっくりと大切に攻める。この先の何十年のための何ヵ月になろうがかまわない。
玖未のバリアを俺が越えるだけでなく、玖未の心を俺が色付けて明日や明後日への意欲を持たせてやりたいと…巷で荒獅子と呼ばれることのある俺が強くそう願うほど、毎晩見る玖未の目には色と温度がない。いろいろなもの、数えきれないものを諦めてきた目。
ただその目に僅かに力があるのは、玖未がまるという居場所を確保しているからか…玖未の居場所は俺、須藤悠仁だ。
須藤の屋敷の一部を見下ろすことが出来る場所にあるマンションに車が入った時、車内に着信音が響く。
俺と野沢のスマホが同時に鳴るという事態に、右京は車を駐車場内でUターンさせエンジンを切らずミラー越しに俺を見た。
「「はい」」
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