彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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差し響く 2

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夕方、部屋着にコートを着て、繁華街へ向かういつもの道とは反対側のスーパーへ行く。

こうやってたくさんの食材を見ると、あれこれと食べてみたいものや、作ってみたいものもあるけれど試すならまるでだ。

朝食か昼食程度の物を一人分作れば十分生きていけるのだから余分な物は買わない。ご馳走になることも多いけど、深夜の繁華街で飲むのは結構お高いから、そこにお金を残しておかないといけない。安心できる穏やかな夜のためだ。

部屋に帰ると洗濯機を回して、買ってきた5本入りの細いさつまいものうち2本をレンジでふかしいもにする。1本はそのまま食べて、もう1本はハチミツとゴマを振りかけて‘なんちゃって大学芋’にして食べる。これもまあまあ好き。

洗濯物を狭い部屋のあちこちにぶら下げると、何だか眠く感じる。生理前だからか…まだ7時ごろなので30分くらい昼寝してから繁華街へ行こう。と、横になると…目覚めたのは1時間半くらい経ってからだった。

夜を短くしてくれるものは大歓迎だよ、ありがとう、今日のお昼寝。

そんなことを思いながらホットミルクを作る。お腹が減ったわけではないけれど、今日買った豆乳ドーナツとホットミルクでアルコール摂取前の空腹を避ける。

手にしたコーデュロイ素材のワンピースは、細うねだからカジュアルすぎず、高めのウエスト位置と前後左右のタックで、ほどよくウエストシェイプされたフレアーラインがなかなかきれいで、今夜も来週舞花と会うときにもこれでいいかと思う。前回舞花と会った時も同じだったか…まあいいや。

コートは毎日着ているコートと違いウエストラインまでのショートコートにした。この方がスカートに合う…と言いつつ5年は着てるものだ。もちろんワンピースもショートコートも黒。準備が出来たのが9時半。いい時間だ。

繁華街へ入る直前、暗い道から明るい繁華街が見える場所で、ふと見上げた空には小さな星ひとつ見えず、それがこの場所のせいか天気のせいかわからないと思う。天気予報を見てないなぁ…

今日は出勤じゃないので、この道から繁華街の真ん中辺りへ出た。繁華街へ続く道はたくさんある、というか、繁華街から横に道がたくさん伸びている。最初はまるの方から繁華街の奥へ向かって歩くばかりだったけれど、今では気分や目的のお店によって横道を使い分けることも出来るようになった。

平日とは客層が違うと思う。日曜日の繁華街は少しいつもと雰囲気が違うように感じる。

今日は真っ直ぐ、壁かと勘違いするドアを開けると22時にオープンしたばかりのバーの店内に入った。極小さく

「いらっしゃいませ」

とカウンター内から呟くように言ったオーナーに会釈だけして、コートを脱いでハンガーにかける。22時に来ても2時に来ても何も変わらない心地よさだ。
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