甘い支配の始まり~愛に従え 愛に身を委ねろ~【完結】

まぁ

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a bond of love*愛の絆

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「ひとつ仕事を頼めるか…っていう軽い案件じゃないですね。今後日本の法人は相手にしないってことですか?」
「いや全くということではないが、メインを外資にしたいから今の日本語表記が一番に出て英語選択するというのを逆転させたい」
「単純に逆転は簡単ですけど、英語表記の内容をメインにふさわしい内容に変えるんでしょ?」
「その通り」
「自分で出来るでしょ?」
「俺には俺の仕事がある」

 そのままミーティングに入った二人は珈琲を飲むと

「榊原さんのところへ行ってくる」
「紫乃さん、ごちそうさまでした」

 と出て行った。壱の周りはすごい人ばかりで驚かされる。

 榊原さんには会ったことがあるけど、この前は下のオフィスにテレビ取材が入っていた。

 先日の花火大会の日に行ったまこちゃんのマンションも、壱の部屋よりは狭いけど立地と造りから私でも高級だとわかるマンションだった。

 あのアパートに一人で住んでいたのが何年前のこと?と思える程に世界が変わったな。

 デパートの外商さんの話を聞いてすごい人たちがいるなぁと思ったことがあるが、ここにもそういう人たちがたくさんいるんだ。自分の珈琲を入れ、窓際のテーブルにカップを置き外を眺める。

 アパートはこっち方向…ちょっと右寄りに真っ直ぐかな…デパートはこの窓の方向のはず。まこちゃんのお店は左手方向。大学は…実家だって…全部、空はもちろん、道だって繋がっているんだよね…

 言葉だって通じる。何も不安になることはないよね…私は私の言葉を飲み込むことなく、きちんと壱に伝える。そして壱の周りにも同じように誠実に向き合っていこう。

 華やかで勢いのある人たちに飲み込まれそうになることもあるけど、私は私。

 空を見つめて口角を上げると珈琲を飲む。

「うん、美味しい。仕事しよ」

 仕事を再開し、Web郵便で見積書と請求書を送付する。いくつも作成するうちにミスのないように宛先と金額を指さし確認してからポチッとするのはいつものことだ。

「ただいま」
「おかえりなさい」

 一瞬目が合ったけど、壱はお仕事モードのままパソコンを窓際へ持って行き立ったまま作業を始める。入ってるね。自分の仕事に入り込むだけでなく榊原さんと聖さんに感化される部分もあるのかもしれない。私もこのオフィス長谷川の一員として頑張ろう。

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