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follow your heart*自分の心に従え

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「細胞だ…人間は60兆個の細胞でできているだろ?」
「…そんなに?」

 俺の腕の中で俺を見上げるように動いた紫乃の頭にチュッと唇を落とし返事する。

「からだ自体が細胞のかたまり…皮膚も口の中の粘膜も血液も…みんな細胞でできている。その細胞の一つひとつが…紫乃の声に、しぐさに、匂いに…こうして触れれば体温に刺激される。紫乃の全てが好きというイージーな言葉でなく…紫乃の全細胞を愛していると言える…それが俺の気持ちに一番ぴったりの言葉だ」
「全細胞を…」

 しばらく黙った紫乃を抱きしめたまま頭を撫でていると、とても小さな声がする。

「細胞って…日々死に続けるんでしょ?新しい細胞が生まれるけど…死んだ細胞とは違うものだよね?」
「不安か?」
「…大丈夫だと何度も考えるんだけど…不安がないわけではない…でもね…」
「うん?」
「壱のこと…好きだから…信じてみたいと思うの」
「信じて…絶対に傷つけない。今よりもっと大切にする。もっと甘えさせる。もっとわがまま言わせる。もっと…」
「壱…十分だから。毎日優しいし大切にしてもらってるよ」
「はっ?今までは俺の片想い状態で遠慮してたが、今から大切にして甘えさせてわがまま言わせるんだ…俺の大切な可愛らしい紫乃を遠慮なく愛でる…今この瞬間からな」

 そう言い少し体を離すと、一目でこの唇だと思った紫乃の唇にキスをした。
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