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who they really are and he really is*彼らの本性と彼の本性

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「頑張ったな、紫乃。相手の出方を見ないといけないが、紫乃の意思表示は出来たわけだ。よく頑張った」

 俺が抱きしめて言うと一拍置いてすぐに紫乃が体を離し椅子を下げた。弱っているからといって、このまましなだれかかるような女ではないか…

「紫乃、いくつか聞く。ヤバそうな奴から身を守るために」

 紫乃はデスク上のスマホを見つめたまま頷いた。

「部屋は知られているわけだ。そいつ鍵は持ってるのか?」
「…持ってません」
「じゃあ紫乃が在宅中に押し掛けて来て、ドアを開けるまでゴテるパターンだな」

 紫乃はうつ向いてしまった。

「女の方は?紫乃が見かけたようだが、女も紫乃の部屋を知っている?」
「…同じ…」

 そこで初めて瞳を潤ませた紫乃は

「…部屋…同じ階…」

 信じがたい事実を呟き、一切の表情を消した。

 近くで浮気する人の意味が‘友人’という意味だけでなく、物理的にも近くの人という意味があると知り、紫乃の傷口の大きさを理解する。

 傷が深くならないようにしないとな。浅い傷を俺が舐めてやる。

「その部屋に帰れるか?眠れる?」

 一気に責め立てる、もしくは攻め立てるようになってはいけないと、俺は先ほどセットしたまま放置していた珈琲を小さなシンクで流し、カップを濯ぐと

「紫乃、飯食ってないんだろ?出るか?ここがいい?何か腹に入れないと頭が動かないだろ」

 と一度思考を変えさせようとした。ずっとあの椅子に座ったまま奴らのことを考えていては堕ちていくだろう。そうさせないように俺がいる。

「立ってみろ、紫乃」

 よほど参っているのだろう…気力も体力もなさそうなヨロヨロとした動きで言われるままに立ち上がった彼女に

「来い」

 と言ったが紫乃はスマホを凝視して固まった。チッ…もう動きやがったか?
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