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double punch*ダブルパンチ

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 突然決まった仕事だが、世間に名前の知られた人だし、あのオフィス空間には弁護士と税理士がよく出入りすると言っておられたので、ずっと二人ということもなさそうだから怪しい会社ではないだろう。

 長谷川さんは制作に没頭して時間を忘れるから、私が彼に昼などの時間を教えることも仕事に含んでと言われたので一人で黙々と作業し続ける人だと想像ができる。食事も忘れるようじゃ…そりゃ、体力の限界とも言いたくなるよね。

 帰って洗濯機を回していると電話が鳴る。早速、長谷川さんだ。

「花園です」
 ‘長谷川です。先ほどはお疲れ様’
「いえ。こちらこそ、ありがとうございました」
 ‘明日、印鑑だけ持って来て下さい’
「わかりました」
 ‘では…’
「すみません、あの…制服ではないですよね?決まりは…」
 ‘全くないなぁ。好きな服でいいですよ。改まった客も来ませんし…俺もスーツなんてほとんど着ないしね’

 俺?面談中に聞かなかった言葉が心の隅に引っ掛かりはしたが、彼はずっと一人で仕事をしている人で、普段はそういう感じなのかと思うことにした。

 そしてその夜、私は征二にメッセージを送る。

 ‘仕事、決まったよ’

 朝が早いと言っていたので、今日は遠方での仕事かもしれない。電気設備会社の下請け会社で働く征二は、レストランの定休日に作業するなどで日帰り出張の範囲で遠方の仕事が入ることも多い。11時40分までは時刻を確認していたが、私はそのまま寝てしまった。

 ‘おめでとう。良かった’

 12時直前の征二からのメッセージは朝になって読んだ。
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