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part 16-22
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「俺たちが帰ると言えば帰る。運転する奴以外は一緒に飲んでるかもな」
「紗栄子はいろいろ周りを気遣ってくれるから周りはありがたいだろうけれど、頼られてワガママなお願いのいくつかをしてもらえて、やっと側近だと認めてもらえたと感じる者が多い。それは明日かもしれないし、何年後かもしれないが紗栄子が作っていく関係だからな。こちらも龍之介も見守る立場だ」
「はい…全部は分からないですけど…また教えて下さい」
と言った私の前にドンと置かれたアルバムと、一番上にはちりめんの化粧表紙の写真がある。
「わぁ…綺麗…白無垢ですか?紅白だから違う?」
「紅白の白無垢だよ」
「すごく素敵。普通の白無垢より好きです。これはポーズしてるから…全容はこっち?」
龍之介の前にそれを置いてアルバムを開くと、広い和室にたくさんの人がいて、前に紋付きと紅白白無垢で新郎新婦が座る様子などがある。
「組員を前に結婚を宣言して、酒を飲んだだけだ」
「全員が祝ってくれる形でベストなのかもしれないですね。どの写真からも、おめでとうって聞こえてきそうです」
皆、頷くくらいで姐さんまで黙った。私次第か…
「私も…こんな感じがいいな…私がここに来て“よろしくお願いします”って認めてもらえて、おめでとうっていう以上の…ドライアイスとかはいらない…」
「ん、決まり。正月にここでする」
と言う龍之介に被せ気味に、待ってましたという様子の姐さんが
「その白無垢ならここにあるよ」
顎をクイクイとした。
「…白無垢がある家ってあるの?」
「うち。サエコになら喜んで譲るよ」
「ちょっと待って…譲るって…お借りするよね、龍之介?レンタル?え、そんな大切な白い物を借りて汚したらどうしよ…このタオルってワケにはいかないし…」
崎さんからもらったタオルで手汗を拭く私に
「紗栄子はこの着物でいいのか?」
ポニーテールの髪を撫でながら龍之介が聞く。
「着物は…全然知らないけれど、真っ白の白無垢よりこの紅白が素敵だと思う」
「じゃあ、これを着れば姐さんも喜ぶ。もらっても借りても、ここで保管するのは同じ。こだわらなくていい」
「うん」
「それじゃ、近々出しておくから一度見てくれたらいいよ。肌着類なんかは新品を揃えるように呉服屋に連絡しておくから、任せなさい」
「ありがとうございます」
「うちは紗栄子のご両親の代わりにもなって、紗栄子の支度を整える」
やっぱり龍之介の両親だと改めて思う。懐が深いんだ。
「紗栄子はいろいろ周りを気遣ってくれるから周りはありがたいだろうけれど、頼られてワガママなお願いのいくつかをしてもらえて、やっと側近だと認めてもらえたと感じる者が多い。それは明日かもしれないし、何年後かもしれないが紗栄子が作っていく関係だからな。こちらも龍之介も見守る立場だ」
「はい…全部は分からないですけど…また教えて下さい」
と言った私の前にドンと置かれたアルバムと、一番上にはちりめんの化粧表紙の写真がある。
「わぁ…綺麗…白無垢ですか?紅白だから違う?」
「紅白の白無垢だよ」
「すごく素敵。普通の白無垢より好きです。これはポーズしてるから…全容はこっち?」
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「組員を前に結婚を宣言して、酒を飲んだだけだ」
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皆、頷くくらいで姐さんまで黙った。私次第か…
「私も…こんな感じがいいな…私がここに来て“よろしくお願いします”って認めてもらえて、おめでとうっていう以上の…ドライアイスとかはいらない…」
「ん、決まり。正月にここでする」
と言う龍之介に被せ気味に、待ってましたという様子の姐さんが
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顎をクイクイとした。
「…白無垢がある家ってあるの?」
「うち。サエコになら喜んで譲るよ」
「ちょっと待って…譲るって…お借りするよね、龍之介?レンタル?え、そんな大切な白い物を借りて汚したらどうしよ…このタオルってワケにはいかないし…」
崎さんからもらったタオルで手汗を拭く私に
「紗栄子はこの着物でいいのか?」
ポニーテールの髪を撫でながら龍之介が聞く。
「着物は…全然知らないけれど、真っ白の白無垢よりこの紅白が素敵だと思う」
「じゃあ、これを着れば姐さんも喜ぶ。もらっても借りても、ここで保管するのは同じ。こだわらなくていい」
「うん」
「それじゃ、近々出しておくから一度見てくれたらいいよ。肌着類なんかは新品を揃えるように呉服屋に連絡しておくから、任せなさい」
「ありがとうございます」
「うちは紗栄子のご両親の代わりにもなって、紗栄子の支度を整える」
やっぱり龍之介の両親だと改めて思う。懐が深いんだ。
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