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part 15-11
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「年齢的に俺に漁師は無理だ」
「俺だって弁護士の家の方がいいに決まっている」
「親を敬って選ばせろ」
「何でも自分って言うなよ」
「俺が口をきかなきゃ、就職だってなかなか決まらなかったお前が今さら偉そうに言うな」
「何度も何度も同じことを恩着せがましく言うなよっ」
「親に向かって口のききかたを考えろっ」
パシッ…
勇の平手が耕介の頭を…と、パンッ…耕介が思い切りその手を払い落とす。
「暴力はいけません。お二人、少し離れて下さい」
福嶋がそう言うと、舞生と空雅が二人をグイッと引きずって距離を取らせた。相手を煽れるいい距離だ、と思った途端
「お前がしっかりしないから、紗栄子があんな偉そうな嫁になったんだろうが」
「舅と姑のイビリが酷いから紗栄子が反発したんだっ…その結果がこれだっ」
「この際はっきりと縁切りをしようじゃないか」
「こちらから切るっ」
こちらの思惑通りに二人が割れた。この世で一人ぼっちという感覚を与えるために仕向けたこと。そして
「まだ紗栄ちゃんのこと言うんだね…地獄を見て来て」
舞生が二人を見下ろして吐き捨てた。
「漁師は嫌だとおっしゃるようですが、年収1500万ほどになることもあるらしいですよ?」
福嶋が優しいフリで説明すると
「「1500万?」」
二人が食いつく。
「どちらが行かれますか?」
「「俺」」
「じゃんけんでもして下さい。私どももこれ以上の時間を取れませんから」
地獄行きを競うようなじゃんけんを見るのは俺の人生で最初で最後だろう。
「っしゃっ、俺が漁師になります」
「耕介さんが漁師に、勇さんは弁護士宅へ行って頂きます」
二人が地獄の入口に立ったことを確かめて俺は立ち上がった。
「では、今後お会いすることはありませんが…命を大切に仕事をしてください。失礼する」
「命?弁護士宅で命を大切に…どういうことだ?」
「もう迎えが来るでしょうが」
俺は入口から二人を振り返り
「お互いの仕事を知りたいのか?」
面倒になって、少しネクタイを緩める。大きく頷く二人は、自分の仕事が相手より良いと確かめたいのだ。
「俺だって弁護士の家の方がいいに決まっている」
「親を敬って選ばせろ」
「何でも自分って言うなよ」
「俺が口をきかなきゃ、就職だってなかなか決まらなかったお前が今さら偉そうに言うな」
「何度も何度も同じことを恩着せがましく言うなよっ」
「親に向かって口のききかたを考えろっ」
パシッ…
勇の平手が耕介の頭を…と、パンッ…耕介が思い切りその手を払い落とす。
「暴力はいけません。お二人、少し離れて下さい」
福嶋がそう言うと、舞生と空雅が二人をグイッと引きずって距離を取らせた。相手を煽れるいい距離だ、と思った途端
「お前がしっかりしないから、紗栄子があんな偉そうな嫁になったんだろうが」
「舅と姑のイビリが酷いから紗栄子が反発したんだっ…その結果がこれだっ」
「この際はっきりと縁切りをしようじゃないか」
「こちらから切るっ」
こちらの思惑通りに二人が割れた。この世で一人ぼっちという感覚を与えるために仕向けたこと。そして
「まだ紗栄ちゃんのこと言うんだね…地獄を見て来て」
舞生が二人を見下ろして吐き捨てた。
「漁師は嫌だとおっしゃるようですが、年収1500万ほどになることもあるらしいですよ?」
福嶋が優しいフリで説明すると
「「1500万?」」
二人が食いつく。
「どちらが行かれますか?」
「「俺」」
「じゃんけんでもして下さい。私どももこれ以上の時間を取れませんから」
地獄行きを競うようなじゃんけんを見るのは俺の人生で最初で最後だろう。
「っしゃっ、俺が漁師になります」
「耕介さんが漁師に、勇さんは弁護士宅へ行って頂きます」
二人が地獄の入口に立ったことを確かめて俺は立ち上がった。
「では、今後お会いすることはありませんが…命を大切に仕事をしてください。失礼する」
「命?弁護士宅で命を大切に…どういうことだ?」
「もう迎えが来るでしょうが」
俺は入口から二人を振り返り
「お互いの仕事を知りたいのか?」
面倒になって、少しネクタイを緩める。大きく頷く二人は、自分の仕事が相手より良いと確かめたいのだ。
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