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part 11-20
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「カフェバーの勤務もしてますけど、本家の仕事がメインで若に付くことはなくなった。俺の思い描いていた将来は紗栄子さんが塗りつぶしたんですよ」
そんな簡単に塗りつぶされるの?本家の仕事って藤堂のメインと言えるんじゃないの?
「俺、親父より若が好きなんで…若の仕事一本でやりたいのに、今は若と関係ないポジションになった。紗栄子さんが来たからです」
若と関係ないポジションって、悲観するには早い期間じゃない?私付きを選ばせてくれるくらい、龍之介たちはいい意味で流動的に進んで行くのだからまた変わるでしょ?
彼らの言い分も、私への感情も、強い言葉も、何の恐怖も生み出さない。
すでに私は囚われているのだ…声も出せず、手も動かせず。そこへ向かってくる大きなハサミを手にした女と、倒れる私の両サイドに立つ2人、ビデオカメラの隣の男…この状況だけで恐怖というのは満杯で、彼らの言葉が恐怖を生み出す余白がない。
ハサミの女は
「コレ」
と黒い物をお義母さんと伊坂さんに渡すと、自分もその黒い物を頭から被った…保温のためじゃないよね…強盗とかの格好だよ…目出し帽というのだと思う。
3人がそれを被ると
「オン」
ビデオカメラの男が言い、ハサミが私の胸に向けられ足をバタバタして抵抗すると伸びて来た誰かの腕に当たってスニーカーが片方飛んだ。
3人は声を出さないらしい。お義母さんと伊坂さんが私の足に乗ると、もう動けなかった…真後ろで下敷きになっている腕が痛い。ハサミで痛いのは嫌…龍之介っ…ジョッ…キン…エプロンの胸元に大きくハサミが入れられると女は私の前から体を避ける。私は目を閉じカメラから顔を背けるのが精一杯だ、と…女と伊坂さんの手が切れたエプロンの左右をそれぞれ持ち…ビッ…ビビッ…ビッ…左右に引き裂き…ッドン…グラッ…地面が揺れたの?
ドスドス、ドカドカという足音と、聞いたことのない怒声が聞こえ…でもその中に空雅さんと舞生さんの声が聞こえたので助かった…と思った。
絶対に龍之介もいる…間に合ったよ…ありがとう。
そんな簡単に塗りつぶされるの?本家の仕事って藤堂のメインと言えるんじゃないの?
「俺、親父より若が好きなんで…若の仕事一本でやりたいのに、今は若と関係ないポジションになった。紗栄子さんが来たからです」
若と関係ないポジションって、悲観するには早い期間じゃない?私付きを選ばせてくれるくらい、龍之介たちはいい意味で流動的に進んで行くのだからまた変わるでしょ?
彼らの言い分も、私への感情も、強い言葉も、何の恐怖も生み出さない。
すでに私は囚われているのだ…声も出せず、手も動かせず。そこへ向かってくる大きなハサミを手にした女と、倒れる私の両サイドに立つ2人、ビデオカメラの隣の男…この状況だけで恐怖というのは満杯で、彼らの言葉が恐怖を生み出す余白がない。
ハサミの女は
「コレ」
と黒い物をお義母さんと伊坂さんに渡すと、自分もその黒い物を頭から被った…保温のためじゃないよね…強盗とかの格好だよ…目出し帽というのだと思う。
3人がそれを被ると
「オン」
ビデオカメラの男が言い、ハサミが私の胸に向けられ足をバタバタして抵抗すると伸びて来た誰かの腕に当たってスニーカーが片方飛んだ。
3人は声を出さないらしい。お義母さんと伊坂さんが私の足に乗ると、もう動けなかった…真後ろで下敷きになっている腕が痛い。ハサミで痛いのは嫌…龍之介っ…ジョッ…キン…エプロンの胸元に大きくハサミが入れられると女は私の前から体を避ける。私は目を閉じカメラから顔を背けるのが精一杯だ、と…女と伊坂さんの手が切れたエプロンの左右をそれぞれ持ち…ビッ…ビビッ…ビッ…左右に引き裂き…ッドン…グラッ…地面が揺れたの?
ドスドス、ドカドカという足音と、聞いたことのない怒声が聞こえ…でもその中に空雅さんと舞生さんの声が聞こえたので助かった…と思った。
絶対に龍之介もいる…間に合ったよ…ありがとう。
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