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part 7-12
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「空腹を感じて、食って、寝て笑って…それだけでいいから、紗栄子…ここで俺と一緒に生活するんだ」
「うん」
「そしていつか必ず愛し合う。それも俺と一緒にな」
彼は私の肩を撫でると、また腕を撫で降りて…肘辺りでグイッと私を抱き寄せた。
「今日から始まる…俺は紗栄子をもっと好きになる」
そして片腕を私の腰にぐるりと回し、もう片方の手で私の頬を包んだ彼はふっと微笑んだあとゆっくりと…とてもゆっくりと顔を近づけ、唇が触れるという瞬間に
「離さない…大切にする」
そう囁いた。唇の重なった感触にドキドキするのか、彼の言葉にドキドキするのか…この日の私には分からなかった。
でもそのドキドキが威力を発揮するのはその場ではなく、夜眠る時になってからだった。
「暑いのか?」
いや…そういうワケではないけれど…
「水?」
いや…そういうワケでもないけれど…
「具合悪いか?」
いや…そういうワケでもないけれど…
「ん?」
ドキドキが大きくて眠れそうにない。ここへ来て初めて見た大きなサイズのベッドだから、もう少し離れて眠る作戦ならマシかな。
「どうして離れる?俺が眠れない」
「へっ?」
「紗栄子なしじゃ無理」
「……ドキドキ…聞こえてちょっとだけうるさい…」
「横向きはやめるか?」
「ぅわっ…っ…」
いきなり仰向けになり、私を自分の上に乗せた龍之介は
「耳を押さえつけなきゃ、マシじゃね?」
と私の背中に軽く腕を回す。
いや…そういうワケでもないけれど…
「龍之介が…いろいろ言ったから…」
「あれくらいで眠れなきゃ、俺と一緒に生活出来ない」
そう言って私の髪を撫でる大きな手には安心する。
「パジャマ…龍之介は着ないの?」
「今さらだな」
「……もういいや…ちょっと…疲れた」
「ゴロゴロ生活を脱出したばかりだからな。おやすみ、紗栄子」
「うん…おやすみなさい…眠れるかも…」
「うん」
「そしていつか必ず愛し合う。それも俺と一緒にな」
彼は私の肩を撫でると、また腕を撫で降りて…肘辺りでグイッと私を抱き寄せた。
「今日から始まる…俺は紗栄子をもっと好きになる」
そして片腕を私の腰にぐるりと回し、もう片方の手で私の頬を包んだ彼はふっと微笑んだあとゆっくりと…とてもゆっくりと顔を近づけ、唇が触れるという瞬間に
「離さない…大切にする」
そう囁いた。唇の重なった感触にドキドキするのか、彼の言葉にドキドキするのか…この日の私には分からなかった。
でもそのドキドキが威力を発揮するのはその場ではなく、夜眠る時になってからだった。
「暑いのか?」
いや…そういうワケではないけれど…
「水?」
いや…そういうワケでもないけれど…
「具合悪いか?」
いや…そういうワケでもないけれど…
「ん?」
ドキドキが大きくて眠れそうにない。ここへ来て初めて見た大きなサイズのベッドだから、もう少し離れて眠る作戦ならマシかな。
「どうして離れる?俺が眠れない」
「へっ?」
「紗栄子なしじゃ無理」
「……ドキドキ…聞こえてちょっとだけうるさい…」
「横向きはやめるか?」
「ぅわっ…っ…」
いきなり仰向けになり、私を自分の上に乗せた龍之介は
「耳を押さえつけなきゃ、マシじゃね?」
と私の背中に軽く腕を回す。
いや…そういうワケでもないけれど…
「龍之介が…いろいろ言ったから…」
「あれくらいで眠れなきゃ、俺と一緒に生活出来ない」
そう言って私の髪を撫でる大きな手には安心する。
「パジャマ…龍之介は着ないの?」
「今さらだな」
「……もういいや…ちょっと…疲れた」
「ゴロゴロ生活を脱出したばかりだからな。おやすみ、紗栄子」
「うん…おやすみなさい…眠れるかも…」
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