56 / 224
part 6-9
しおりを挟む
「龍之介と福嶋さんと舞生さんと一緒に見てくれて助かったと思うけど…いつまでも、どこまでもこんな迷惑かけてられない…」
紗栄子が出てから2日目に着信が始まっているのを4人で確かめながら紗栄子が漏らす。
「ここにいる家族だとも言ったし、縁があったとも言っただろ?」
コクン…
「それに俺はカフェバーで紗栄子を見てから惹かれる部分があったのも事実。今は詳しく伝えるつもりはないが、安心して甘えておけ」
「そうだよ、紗栄ちゃん。ボクは妹が欲しかったからね、ずーっと。父さんたちが“ヤンチャ二人のあとにはもう育てる気力がない”って言ってボクのあとには引き取ってくれなかったからいないけど。兄貴とボクの妹で、龍の彼女で良くない?」
舞生が暴走気味だが
「清水の父親がホスピスを訪ねたことを、私達は把握しています」
「ぇ…えっ…ウソ…いつ?」
福嶋が紗栄子を引き戻す。今はそれでいい。
「3日前」
「…一度も行ったことも…私を送ってくれたこともないのに…母が亡くなったと知らずに会いに?」
「そういうことです。紗栄子さんにどうしても連絡したかった。もしくは、お母さんから紗栄子さんに清水へ戻るように言わせたかったのでしょう」
「ってことは…この3日間のメッセージは…母が亡くなったと知ったあとだから…書かれていることが予想出来ますね…」
そうなるよな。
「紗栄子のことだけでなく、亡くなった方への冒涜も大いにあり得るな。福嶋に任せるか?」
少し考える様子の紗栄子を急かすことなく、珈琲を飲みながら福嶋と舞生はパソコンとタブレットを操作する。
俺は紗栄子の隣で忙しくするようなことはない。ゆっくりでいい、と彼女の膝を叩くと
「直接見たくないけど…状況がわからないまま丸投げは出来ないかな…」
紗栄子が暗くなっている自分のスマホを見つめて言う。
紗栄子が出てから2日目に着信が始まっているのを4人で確かめながら紗栄子が漏らす。
「ここにいる家族だとも言ったし、縁があったとも言っただろ?」
コクン…
「それに俺はカフェバーで紗栄子を見てから惹かれる部分があったのも事実。今は詳しく伝えるつもりはないが、安心して甘えておけ」
「そうだよ、紗栄ちゃん。ボクは妹が欲しかったからね、ずーっと。父さんたちが“ヤンチャ二人のあとにはもう育てる気力がない”って言ってボクのあとには引き取ってくれなかったからいないけど。兄貴とボクの妹で、龍の彼女で良くない?」
舞生が暴走気味だが
「清水の父親がホスピスを訪ねたことを、私達は把握しています」
「ぇ…えっ…ウソ…いつ?」
福嶋が紗栄子を引き戻す。今はそれでいい。
「3日前」
「…一度も行ったことも…私を送ってくれたこともないのに…母が亡くなったと知らずに会いに?」
「そういうことです。紗栄子さんにどうしても連絡したかった。もしくは、お母さんから紗栄子さんに清水へ戻るように言わせたかったのでしょう」
「ってことは…この3日間のメッセージは…母が亡くなったと知ったあとだから…書かれていることが予想出来ますね…」
そうなるよな。
「紗栄子のことだけでなく、亡くなった方への冒涜も大いにあり得るな。福嶋に任せるか?」
少し考える様子の紗栄子を急かすことなく、珈琲を飲みながら福嶋と舞生はパソコンとタブレットを操作する。
俺は紗栄子の隣で忙しくするようなことはない。ゆっくりでいい、と彼女の膝を叩くと
「直接見たくないけど…状況がわからないまま丸投げは出来ないかな…」
紗栄子が暗くなっている自分のスマホを見つめて言う。
67
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
俺様系和服社長の家庭教師になりました。
蝶野ともえ
恋愛
一葉 翠(いつは すい)は、とある高級ブランドの店員。
ある日、常連である和服のイケメン社長に接客を指名されてしまう。
冷泉 色 (れいぜん しき) 高級和食店や呉服屋を国内に展開する大手企業の社長。普段は人当たりが良いが、オフや自分の会社に戻ると一気に俺様になる。
「君に一目惚れした。バックではなく、おまえ自身と取引をさせろ。」
それから気づくと色の家庭教師になることに!?
期間限定の生徒と先生の関係から、お互いに気持ちが変わっていって、、、
俺様社長に翻弄される日々がスタートした。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる