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part 5-2

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「「失礼します」」
「ご苦労様です」

二人の男性が入って来ると、福嶋さんが応える。福嶋さんは丁寧な言葉で話すんだなと理解していると

「この二人がデリを買って来てくれたんですよ」

私に教えてくれた。

「あと二人ここに出入りすると言っただろ?」
「うん」

龍之介に頷いてから、朝の家でも見掛けた二人に挨拶する。

「美味しくいただきました、ありがとうございます。清水紗栄子…じゃなくなるんだ…あ、でも母には…」
「ん。ゆっくりでいい」
「ぁの…母には言えない…」
「離婚は言わないでおくんだな?わかった」
「私達も徹底しますが、紗栄子さん旧姓は?」
「上村です」
「分かりました。公的な物で変更が必要な物などについてはサポートさせて頂きます」
「…はい…外に出してもらった何倍もの迷惑を掛けてしまってすみません」

私がそう言って頭を下げると、ポン…大きな手が重さと温かさを伝染させるようにじっと乗ってから、そっと優しく動いた。

「うちのカフェバーに来ていたのも、俺の車の前に飛び出したのも縁があってのことだ。そんな相手が苦しみの中にいるなら、俺たちは最優先で手を差しのべるだけ」

龍之介の言葉は私が頭を上げたあとも続いた。

「今朝、紗栄子が手を伸ばした。それなら…そんなもん、無責任に一度助けて終わりにはしない。ここからの紗栄子は、引っ張り上げられた世界で生きて行く。沈みはしない…俺が藤堂の船は沈ませねぇからな」

甘くて都合のよい言葉が続くと思った。藤堂と言われても分からないことばかりだ。

だけどその船に乗せてくれたのなら、しばらくは乗せてもらっていいのかもしれない。彼の言葉は…彼の言う‘藤堂の船は沈ませねぇ’は私だけに言っているのではなく、今ここにいる皆への宣言にも聞こえ、龍之介が自身に立てる誓いにも聞こえるから。

「しばらく乗せてもらって…でも私、落ちたら泳げないな…」
「俺にしがみついておけ」

フッと頬を緩ませた彼は腕時計を見る。そして

「伊坂と芦田だ」

と二人の男性をチラッと見て私に紹介する。

舞生さんと空雅さんがテーブルを片付け始めるので、もう動く時間なのだろう。
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