34 / 224
part 4-5
しおりを挟む
「俺も福嶋たちも、これから紗栄子に家族として言いたいことを言って、教えることは教えていく。紗栄子も言ったあとのことを考えずに何でも言え」
紗栄子は両手に荷物を持って入って来た福嶋と舞生、空雅を見ながら
「藤堂さんじゃなく、何と呼べばいいの?」
と言ってチラッと俺を見る。
「リュウチャンとか、リュウさまとか、おリュウとか何でもいいよ」
舞生が袋の中身をテーブルに並べながら言うと
「今のはふざけてるってわかった…」
「紗栄ちゃん、ボク真面目に言ったんだけど?」
「…福嶋兄弟って分かりづらいの?」
紗栄子が眉間にシワを寄せて俺に聞いてくる。
「血縁関係のない兄弟が年々似てくるのが面白い」
「面白い…のかな…」
「おお、紗栄ちゃん、そこ?ボクと兄貴の血縁関係のないってとこはスルー?」
「ぁ…スルーはしてないです…血縁関係のないって言っても…兄弟は羨ましい」
「そっち?そっちかぁ…」
舞生の言葉に戸惑う紗栄子の前に膝をついた空雅が
「足首、見せてもらいます」
と紗栄子の左足を持ち
「舞生は兄弟になった経緯を聞かれると思ったんですよ」
と教える。
「そっちかぁ…」
「わぉ、ボクの真似?」
「…してない…」
俺を見た紗栄子の眉間のシワを二本の指で伸ばしてやると、彼女の大きな目が瞬きを繰り返した。
「うまく内出血を止められていると思います」
「…紀村さんのご職業は?」
「藤堂組の組員です」
「そうですか…カフェバーは副業ですか?」
「副業とは言えないですね」
そこで不思議そうに少し首を傾げた紗栄子に
「ん?」
と言葉を促す。わからないことは自分で聞け。
救い出す準備は先回りしても、ここでの言葉に誰も先回りはしない。
紗栄子は両手に荷物を持って入って来た福嶋と舞生、空雅を見ながら
「藤堂さんじゃなく、何と呼べばいいの?」
と言ってチラッと俺を見る。
「リュウチャンとか、リュウさまとか、おリュウとか何でもいいよ」
舞生が袋の中身をテーブルに並べながら言うと
「今のはふざけてるってわかった…」
「紗栄ちゃん、ボク真面目に言ったんだけど?」
「…福嶋兄弟って分かりづらいの?」
紗栄子が眉間にシワを寄せて俺に聞いてくる。
「血縁関係のない兄弟が年々似てくるのが面白い」
「面白い…のかな…」
「おお、紗栄ちゃん、そこ?ボクと兄貴の血縁関係のないってとこはスルー?」
「ぁ…スルーはしてないです…血縁関係のないって言っても…兄弟は羨ましい」
「そっち?そっちかぁ…」
舞生の言葉に戸惑う紗栄子の前に膝をついた空雅が
「足首、見せてもらいます」
と紗栄子の左足を持ち
「舞生は兄弟になった経緯を聞かれると思ったんですよ」
と教える。
「そっちかぁ…」
「わぉ、ボクの真似?」
「…してない…」
俺を見た紗栄子の眉間のシワを二本の指で伸ばしてやると、彼女の大きな目が瞬きを繰り返した。
「うまく内出血を止められていると思います」
「…紀村さんのご職業は?」
「藤堂組の組員です」
「そうですか…カフェバーは副業ですか?」
「副業とは言えないですね」
そこで不思議そうに少し首を傾げた紗栄子に
「ん?」
と言葉を促す。わからないことは自分で聞け。
救い出す準備は先回りしても、ここでの言葉に誰も先回りはしない。
64
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。
してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。
そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…
ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。
有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。
美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。
真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。
家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。
こんな私でもやり直せるの?
幸せを願っても…いいの?
動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる