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part 2-9
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似たようなことの繰り返し。
だけど今は母の状態もあり私は息苦しさを通り越した気持ちでいた。
真っ直ぐに届く声を信じて少しだけ…それに夫と義父が名前も言うなとキツく念押ししていた相手と話すことは、私の二人に対するささやかな抵抗でもあった。
「少しだけでなく、いくらでもいい…紗栄子、聞く」
一口カクテルを飲んでから、とグラスに指を掛けると
コンコン…
マドラースタンドの隣に置かれた大きな手の長い指が、カウンターをタップした。混ぜる頃なんだね。
くるくるとではなく、気持ち…ふんわり一度だけ混ぜて隣を見ると、ポンとカウンターから私の頭に大きな手が乗ってすぐに離れて行く。
一口…さっきより氷が溶けてコクコク飲めてしまいそうなカクテルを、もう一口…そっとグラスをコースターに戻しながら
「母が…もう逝っちゃう…」
出てきたのはそんな言葉だった。
「ここにいていいのか?」
一拍置いて返って来たのは、小さな声で…でも私の心を大きく震わせる言葉だった。
「……日常生活というのがあるでしょう?」
「当然あるな」
「……」
「優先順位というのも存在する」
「自分で全てコントロール出来たなら…どれだけ幸せだろうって…」
そう思いながらカクテルを飲み干すと
「もう帰らないと…」
とバッグを掴んだ。
時間もお金も少しずつ工面して出来るだけ母との時間を持とう。ただその思いだけで頭が一杯になった。
「紗栄子がここに来るのは…そういう思いを少し下ろすためか?」
だけど今は母の状態もあり私は息苦しさを通り越した気持ちでいた。
真っ直ぐに届く声を信じて少しだけ…それに夫と義父が名前も言うなとキツく念押ししていた相手と話すことは、私の二人に対するささやかな抵抗でもあった。
「少しだけでなく、いくらでもいい…紗栄子、聞く」
一口カクテルを飲んでから、とグラスに指を掛けると
コンコン…
マドラースタンドの隣に置かれた大きな手の長い指が、カウンターをタップした。混ぜる頃なんだね。
くるくるとではなく、気持ち…ふんわり一度だけ混ぜて隣を見ると、ポンとカウンターから私の頭に大きな手が乗ってすぐに離れて行く。
一口…さっきより氷が溶けてコクコク飲めてしまいそうなカクテルを、もう一口…そっとグラスをコースターに戻しながら
「母が…もう逝っちゃう…」
出てきたのはそんな言葉だった。
「ここにいていいのか?」
一拍置いて返って来たのは、小さな声で…でも私の心を大きく震わせる言葉だった。
「……日常生活というのがあるでしょう?」
「当然あるな」
「……」
「優先順位というのも存在する」
「自分で全てコントロール出来たなら…どれだけ幸せだろうって…」
そう思いながらカクテルを飲み干すと
「もう帰らないと…」
とバッグを掴んだ。
時間もお金も少しずつ工面して出来るだけ母との時間を持とう。ただその思いだけで頭が一杯になった。
「紗栄子がここに来るのは…そういう思いを少し下ろすためか?」
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