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part 1-2
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住宅の数が減ると道が開けて駅がすぐだ。
ここはバイクがビュンと来てしまう通りだから急がないと。バイクは駅を横断出来ないのだからここを逃げ切れば、しばらく一人の時間を確保出来る。
後ろや横道を見ながら軽く走っていたのだけれど、もう前を向いて駅まで一気に走ることにした。この時間でさえ、あの家から解放された気分になっている自分が可笑しくなってくる。
走る私の後ろからバイクの音が聞こえたようで、急いで歩道を降りて駅側へと道路を横断する…と…
あっ…
路駐している車で見えていなかった…車のヘッドライトが私のダークグリーンのセットアップを照らしたと思うと明らかに急停止しようと減速する。
運転手さん、ごめんなさい…飛び出したのは私です…本当にごめんなさい…
と思うけれど足は動かず、ドンッ…いや……車はトンッと私に当たって停止し、撥ね飛ばされるはずだった私はポテンとそこに転けた。
いたっ…けど、転けただけだよね。
周りにいる人々が息を飲んだのか、どの車も停止したのか、静寂の中心にいる気がする。ゆっくりと起き上がろうとした私のすぐ側で、重いドアの閉まる音が続けて静寂を破り、複数の靴音が私の真横で止まった。
「運転手さん…本当にごめんなさい…私が悪いんです…」
とアスファルトに手をつきながら言うと
「動くな」
重厚感のあるバリトンボイスに動きを止められた。
「頭を打っていないか?」
私に触れそうな位置に膝をついたバリトンの彼が、起き上がり掛けて動きを止めた私の背中に腕を回し、上腕で頭を支える。
この男の声は…屈折しないで真っ直ぐ私に届く。
「触れるぞ」
私の頭を注意深くゆっくりと撫でる彼の黒シャツだけが視界に入る中で、屈折しないで届く声に思いを巡らせる。
私は時折、自分が水のように…丁寧に言うと自分の肌が水のように感じることがある。
それはみずみずしいなどという意味とは全く異なるもので、自分の肌が声やことば、光などを屈折させて取り込むような気持ちになることがある。
「っ…」
「これは傷だな。アスファルトで傷ついた傷。左腕と左足、動かしてみろ」
言われるままに彼の体に触れていない左腕と左足を動かしてみる。左肘に傷があるようだけれど動くし、足も動かせる。
「ご迷惑お掛けしました。お時間取らせてすみません」
そう私が言うのと
「警察が到着するようです」
と高い所から別の声がするのは同時だった。
「余計なことを…」
黒シャツの彼の呟き声は聞いたことがあるようで、また思いを巡らせる。あ、でも…
「すみません、警察には私が飛び出して全面的に私が悪いと説明します」
「気持ちはありがたいが、それは聞いてもらえねぇだろうな。悪い、抱き上げるぞ。移動する」
「「承知」」「「「はい」」」
ここはバイクがビュンと来てしまう通りだから急がないと。バイクは駅を横断出来ないのだからここを逃げ切れば、しばらく一人の時間を確保出来る。
後ろや横道を見ながら軽く走っていたのだけれど、もう前を向いて駅まで一気に走ることにした。この時間でさえ、あの家から解放された気分になっている自分が可笑しくなってくる。
走る私の後ろからバイクの音が聞こえたようで、急いで歩道を降りて駅側へと道路を横断する…と…
あっ…
路駐している車で見えていなかった…車のヘッドライトが私のダークグリーンのセットアップを照らしたと思うと明らかに急停止しようと減速する。
運転手さん、ごめんなさい…飛び出したのは私です…本当にごめんなさい…
と思うけれど足は動かず、ドンッ…いや……車はトンッと私に当たって停止し、撥ね飛ばされるはずだった私はポテンとそこに転けた。
いたっ…けど、転けただけだよね。
周りにいる人々が息を飲んだのか、どの車も停止したのか、静寂の中心にいる気がする。ゆっくりと起き上がろうとした私のすぐ側で、重いドアの閉まる音が続けて静寂を破り、複数の靴音が私の真横で止まった。
「運転手さん…本当にごめんなさい…私が悪いんです…」
とアスファルトに手をつきながら言うと
「動くな」
重厚感のあるバリトンボイスに動きを止められた。
「頭を打っていないか?」
私に触れそうな位置に膝をついたバリトンの彼が、起き上がり掛けて動きを止めた私の背中に腕を回し、上腕で頭を支える。
この男の声は…屈折しないで真っ直ぐ私に届く。
「触れるぞ」
私の頭を注意深くゆっくりと撫でる彼の黒シャツだけが視界に入る中で、屈折しないで届く声に思いを巡らせる。
私は時折、自分が水のように…丁寧に言うと自分の肌が水のように感じることがある。
それはみずみずしいなどという意味とは全く異なるもので、自分の肌が声やことば、光などを屈折させて取り込むような気持ちになることがある。
「っ…」
「これは傷だな。アスファルトで傷ついた傷。左腕と左足、動かしてみろ」
言われるままに彼の体に触れていない左腕と左足を動かしてみる。左肘に傷があるようだけれど動くし、足も動かせる。
「ご迷惑お掛けしました。お時間取らせてすみません」
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「警察が到着するようです」
と高い所から別の声がするのは同時だった。
「余計なことを…」
黒シャツの彼の呟き声は聞いたことがあるようで、また思いを巡らせる。あ、でも…
「すみません、警察には私が飛び出して全面的に私が悪いと説明します」
「気持ちはありがたいが、それは聞いてもらえねぇだろうな。悪い、抱き上げるぞ。移動する」
「「承知」」「「「はい」」」
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