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第1章 異世界転移と旅立ち

第43話 訓練11 ゴブリン集落襲撃

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 目の前には、今にも倒れそうな小屋の回りにゴブリンが30匹程度群がっていて、小屋の入り口にはホブゴブリンと思われるゴブリンよりも一回り大きい固体が3匹見えた。
 目の前のゴブリンと【気配察知】で感じているゴブリンの数を確認すると、まだ上位種が2匹小屋の中にいるようだ。

 「クラリスさん、まだ小屋の中にゴブリンの上位種が潜んでいるようなのですが?」

 「あぁ、そのようだな。 ヤストも【気配察知】持ちか?」

 (ヤスト、隠さなくても大丈夫ですよ。)

 「はい、基本1人なので気配には敏感になりますよ。」

 「そうか、周辺にも潜んでいる可能性はあるから【気配察知】は切らさないでくれよ。 私は熱くなってしまったら周りが見えなくなってしまう時があるからな。」

 笑いながらもみんなの緊張をほぐそうとしてくれている。
 イケメンのカインは何回も頷いていたので相当苦労していそうだが・・・
 
 小屋の中の種類までは分からないが、先ほどの計画に修正を加えて、中央からカインが十分に練った魔力でホブゴブリンに向かって魔法で攻撃すると共に、集団の右からクラリスとDランク冒険者が2名突入する。
 中央は魔法攻撃のカインと回復役のメリダを守るように盾役のギースと残り1名の冒険者で進む。
 ヤストは開始の魔法攻撃の前に左側に移動し、攻撃開始と共に魔法で攻撃し撹乱させる。 その後ゴブリン達に気付かれる前に中央に合流する。
 クラリスは右側を殲滅しながら、小屋を目指す計画だ。 
 
 周囲に他の魔物がいないか再度確認してから、作戦を開始する。

 まずヤストはゴブリン達の左側面へと大きく回り道をして移動する。
 移動し終わり、攻撃態勢が整ったと同時にゴブリン集団の中心に近いところに直径1メートル程のファイアーボールが3つ飛んでいき爆発した。

 〈アリス、行こう!〉

 (はい、気をつけましょうね。)

 ヤストとアリスは先ほどの爆発で慌てふためいているゴブリン達に向かって走り出す。
 近いゴブリンから次元刀で切断していくと、アリスがウインドカッターで追い討ちをかけていく。
 先ほど話し合って、打ちもらしを確認している時間はなさそうなので、ヤストが攻撃しアリスが追撃する事にしていた。

 ゴブリンを3匹ほど倒した時には、反対側からゴブリンと戦う音が聞こえる。 きっとクラリス達だろう。
 もう2匹ヤストが倒している間にカイン達が突撃してくる。 カイン達はさすがBランクな事もあり盾役のギースがカインとメリダを守りながら進んでいく。 カインの先ほどよりも小さめのファイアーボールでゴブリン達は呆気なく倒れて行く、ファイアーボールに当たらないで近づいて行くゴブリンはギースの盾を突破することなく、ギースかもう1人の冒険者に討伐されていく。

 ヤストも乱戦になり始めたので、サーベルと魔法の両方で戦っていく。

 クラリスは右側のゴブリンを殲滅し、小屋にたどり着いていた。
 たどり着いたと同時に小屋入り口が内側から破壊されて、斧が飛び出してきたが、間一髪身をかわしたクラリスが身構えると、小屋から斧を構えたホブゴブリンよりも大きいゴブリンと、ショートソードを構えたゴブリン、最後に杖を持った魔法使いのようなゴブリンが出てきた。

 ゴブリンを討伐しながらも、中央に合流しようとするヤストに向かって、カインが大声で叫ぶ。

 「ヤストさん、ここは大丈夫ですからクラリスをお願いします。」

 「分かりました。」

 叫び返して、クラリスの元へとゴブリンを倒しながら進んでいく。

 その間にも、斧を持ったゴブリンがクラリスに向かっている後ろから、杖を持ったゴブリンがなにやらもごもごとしている。
 ある程度近づいたところで魔物を魔眼で確認してみると、


  種族 : ゴブリンファイター(魔物)
  ランク:   C
  LV : 6
  HP : 110/110
  MP :  12/12
  筋力 :  41
  魔力 :   9
  耐久力 : 40
  敏捷性 : 23
  状態 : 健康
          
  ゴブリンの進化した固体。知能がある程度上昇し、筋力は大幅に上昇している。 ゴブリン等と集団で生活しリーダーになることも出来る。 食用不可能。

  種族 : ホブゴブリン(魔物)
  ランク:   D
  LV : 6
  HP : 52/52
  MP :  7/7
  筋力 :  26
  魔力 :   9
  耐久力 : 27
  敏捷性 : 25
  状態 : 健康
          
  ゴブリンの進化した固体。知能がある程度上昇し、筋力も上昇している。 ゴブリン等と集団で生活しリーダーになることも出来る。 食用不可能。


  種族 : ゴブリンメイジ(魔物)
  ランク:   C
  LV : 7
  HP : 46/46
  MP : 58/58
  筋力 :  20
  魔力 :  42
  耐久力 : 20
  敏捷性 : 31
  状態 : 健康
  スキル : 火魔法 2
        探知 1
          
  ゴブリンの進化した固体。知能が上昇し魔法が使えるようになった固体。 ゴブリン等と集団で生活しリーダーになることも出来る。 食用不可能。


 〈ゴブリンファイターとホブゴブリンは任せても問題ないだろうが、メイジがめんどくさそうだな、速攻で倒すぞ。〉

 「クラリスさん、メイジは私が行きます!」

 アリスに一声かけてから、クラリスにも声をかけて向かっていく。
 メイジは危険なものを感じたのか魔法を唱えようとしてた動作に一瞬の躊躇は感じれたが、すぐに向かってくるヤストを標的に決め30センチほどのファイアーボールを放つ。

 身をかわしたときに熱気が感じられるが、自分の火耐性とワイバーンのマントのおかげでダメージを受けるような事は無かった。
 ゴブリンメイジはファイアーボールを避けられたのを見て再度集中しようとするが、ヤストの次元刀がメイジ首と胴体を切り離した。

 ゴブリンメイジを討伐しすぐにクラリスに目を向けると。
 クラリスがゴブリンファイターを大剣で袈裟懸けに切り落とすのと、Dランク冒険者が2人でホブゴブリンを討伐した直後だった。
 魔物達の生死を確認したクラリスはすぐに叫ぶ。

 「すぐに戻るよ!」

 目の前の3匹は【気配察知】から消えているが、カイン達の方にはまだ魔物が数匹残ってるようだ。

 4人で駆けつけようとするが、駆けつける頃には【気配察知】にはカイン達の反応しかなく無事に殲滅出来たようだ。
 駆けつけたクラリスはカインに話しかける。

 「そっちは大丈夫だったか?」

 「もちろん大丈夫だ。 ギースが少し傷ついたが、メリダにすぐに癒してもらったよ。 そっちの組は誰も怪我をしていないか?」

 「こっちは私以外に少し傷があるから見てやってくれないか。 ヤストは怪我は?」

 「私は大丈夫ですよ。 どこも怪我を受けていません。」

 「それなら良かった。 ヤストはEランクにしては強すぎないか。」

 全員の負傷確認をしながらも、クラリスはヤストにツッコミを入れてくる。

 「確かにこっちから見ていても、魔法も剣も対したものだ。 素早さも相当早かったしな。」

 カインは全体を見ていた事もあり、ヤストの動きに気付いたようだ。

 「いえいえ、まだまだ修行中ですよ。 今回は上手くいきましたけどね。」

 「謙遜するなよ。 ランクが上がった時にはうちのパーティーに来て欲しいくらいだ。 もちろんアリスちゃんとな。」

 クラリスはヤストをバシバシ叩きながらも褒めてくれてパーティーに誘ってくれた。
 きっとアリス目当てではない事を信じながらも、少し寂しい思いをしたヤストだった。
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