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過去の痕跡
155話 中尉のリボルバー
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「お待たせしました」
フランス治安情報局のカミーユ大尉を先頭にダニエル中尉、アンナ軍曹、ベルナール1等兵、そして、マツの孫で日本警察警部補松田葉子がマツ達が食事している室内に入ってきた。
「やっと来たかい、おい、大尉、まずこの方に何か言うことがあるんじゃないか」
カミーユ大尉は申し訳なさそうな顔をして、英語で
「先ほどは、大変失礼をしました。ミス・・・お名前を聞いてもよろしいですか?」
大平まみは昼間に大声で怒鳴られた人だとわかると急に睨みつけて
「こんな人の話もまともに聞けない人に私、なにも話したくありません。できれば、この方は部屋の外に出てもらえませんか」
松田マツは大尉を見て、
「大尉、我々はまみさんの話を聞かせていただく立場だ。まみさんのおっしゃる通り、大尉は外で待機していてくれ」
大尉は、しぶしぶ、部屋の外に出て行った。
「さあ、まみさん、これで、話を聞かせてもらえるかい」
まみは、集まった人達の顔を見て、深呼吸をして、静かに話し始めた。
「2週間ほど前に、日本最古の王朝の王宮の場所を特定することができ調査を始めました。そこは小高い丘で、木や草が生い茂り、とても私一人ではまともに調査できるようなところではありませんでした。しかし、運がいいことに地盤が崩れている崖を発見して、そこを掘り進めていたら、金属探知機に反応がありました。大きな土のかたまりの中に金属反応があり、そして、きれいに洗い流したら、拳銃がでてきました。これが、その発掘した時の写真です」
まみはカバンの中からプリントアウトした紙を取り出し、皆に見せた。そこには、
その時の調査写真がたくさん写っており、数枚めくって、きれいに洗い流した拳銃の写真をまみは皆にみせた。
「この拳銃は2000年近く、土の中にあったのにほとんど劣化しておらず、不思議な物質のようにも思えました、そして、拳銃をよく見るとフランス治安情報局ドニーズ3と記されていました。2000年前には拳銃はもちろん、フランスだってなかったのにおかしいとすぐに思いました。そして、今回フランスまで来て、治安情報局に確認しようとしたわけです」
皆、この信じられない話をまともには受け入れできなかったが、実際に写真には拳銃が映っており、この女性がウソを言っているようにも思えなかった。
「ダニエル中尉、これはドニーズ中尉の拳銃で間違いないのか?」
ダニエルは拳銃をよく見たが、ドニーズがいつも携帯している物と違っていたため、
「いやあ、自分はこの拳銃は見たことがありませんよ。アンナ、べルナールどうだ。見たことあるか?」
銃火器を専門にしているアンナ軍曹は
「アメリカ製のCOLTパイソン357マグナム ステンレスフィニッシュなんて
フランス軍人が携帯する銃じゃありません。私も中尉が携帯しているのを見たことないですね」
ベルナールも知らないそぶりをした。
「そうかい、みんな知らないなら、これはドニーズ中尉の物ではないのかね」
葉子は外に追い出されたカミーユ大尉のことを話した。
「あの~おばあさま、外にいるカミーユ大尉に私、この写真を持って聞いてきましょうか。まみさんはあまり、お会いになりたくないようなので」
「それなら、私達も一緒に行くべきだろ。まみさん、ちょっと外で確認してくるから、この写真を貸してくれるかい」
まみは、ニコっと笑って、
「もちろんです」
そして、その写真を持って、外で待機しているカミーユ大尉のところに行った。
「大尉!」
「あれ、みんな、打ち合わせは終わったんですか?」
「まだですよ。大尉、ちょっと、この拳銃を見てくれますか」
大尉は写真を見た。それで、みんなに内緒にしていた拳銃だとわかると
「みんな、すまん」
皆、何をこの大尉はまた、言い始めたんだと思い
「大尉、何のことですか?」
「1か月ほど前に、局長が特注でCOLTパイソンを購入して、うれしそうにしているところを偶然、私とドニーズが見て、ステンレス製でカッコよく、局長があまりにもこの拳銃はすばらしいと語りだして、話を聞いているうちに我々もどうしても欲しくなり、局長にお願いして買ってもらったんだ。せっかくだから、名前も入れて、局長が1、私が2、そしてドニーズが3のナンバーを入れてもらったんだ。それで、その時、ドニーズが『この銃を使いこんでいくと、こんな小さい文字なんかもそのうち擦り切れたり、劣化したりして、見えなくなってしまうんですよね』なんて、言ってたら、イブさんが、『はあ~本当に地球人の科学技術はお粗末だな。ちょっと貸してみろ、永久的に劣化しないようにわがサターンの技術でコーティングをしてやる』と言って、永久的に劣化しない素材にしてもらったんだ」
アンナ軍曹が急に怒り出し、
「なんですか、大尉それは、局長と3人でそんなナンバーまでつけて、我々だって局の一員なんですよ。自分達だけ、しかも内緒に買ってもらうなんて、私だって、局長とおそろいの銃を欲しかったですよ」
ダニエルとベルナールも同じような顔をしてカミーユを見た。そして、カミーユは腰に携帯している拳銃COLTパイソンを取り出した。
「これが、その銃だ」
みんな写真と見比べ、寸分違わない銃だと確認することができた。葉子が大きい声で
「うそでしょ!これ、どうなってるの?なんで2000年前の遺跡にドニーズ中尉の銃が出てくるの?」
皆、その場で黙ってしまった。
「おい、大尉、中に入れ、やはり、この銃のこと知っているお前がいなければ話にならん」
「いいんですか」
「いいから、入れと言っているんだ」
大尉が室内に入ってくると、また、まみは嫌そうな顔をして
「まみさん、すまない、まみさんの持ってきた写真の拳銃を知っているのは大尉だけなんだ。悪いがここで話しをさせてもらうよ」
まみはそれならしょうがないと思い
「あなた、また、怒鳴らないでくださいよ。わたしは何一つ、うそなんて言ってませんから」
「ハハハ、大丈夫ですよ。それより、まみさん、もう少しこの文字を拡大した写真はありますか?」
「はい、ありますよ。えっと、はいこれです」
カミーユ大尉はすぐに自分の腰から拳銃を抜いて、その写真と見比べた。まみは写真と同じ拳銃を持つ大尉に驚きながら
「カミーユ大尉、私にもその拳銃をよく見せてくれますか?」
「ちょっと待ってください。事故があるといけないので、実弾を抜きますね。ガチャ、ガチャ、はいどうぞご覧ください」
まみはじっくりとカミーユ大尉の拳銃を見た。そして、全く同じものだとわかると
「あの~この番号はどういう意味があるんですか?」
「番号?あ~これは、我々の局のリーダーつまり局長が1、その次の部下が私で2、ドニーズ中尉は
その次だから3、と言うことです」
「なるほど、この話が本当だとすると、考えられることはただひとつですね」
まみは、拳銃を発見した時から思っていたことを口にした。
「ワシントンでのテロ事件直後、情報局の方とレナード元大統領は約2000年前に
時空の壁を越えて、飛ばされたと思われます」
それを聞いていた松田祥子が
「アハハ、まさか、まみさんSF映画の見過ぎじゃない、そんなことあるわけないじゃない」
祥子はあまりにもまじめにおかしなことを言うまみを見てゲラゲラと笑った。他の者も
祥子と同様にそんなことはあるわけないだろとため息をついた。
だが、松田マツだけはまみの話は筋が通っており、実際に2000年前の地層からドニーズ中尉の拳銃がでてきたことや、さっき聞いた神様の話がそれを本当のことだと信じせさせる気持ちにさせていた。
そして
「まみさん、さっきの話の続きを聞かせてくれるかい」
まみは自分の調べた神様の話にまだ興味を持ってくれていることがうれしくて少し笑いながら
話し始めた。
フランス治安情報局のカミーユ大尉を先頭にダニエル中尉、アンナ軍曹、ベルナール1等兵、そして、マツの孫で日本警察警部補松田葉子がマツ達が食事している室内に入ってきた。
「やっと来たかい、おい、大尉、まずこの方に何か言うことがあるんじゃないか」
カミーユ大尉は申し訳なさそうな顔をして、英語で
「先ほどは、大変失礼をしました。ミス・・・お名前を聞いてもよろしいですか?」
大平まみは昼間に大声で怒鳴られた人だとわかると急に睨みつけて
「こんな人の話もまともに聞けない人に私、なにも話したくありません。できれば、この方は部屋の外に出てもらえませんか」
松田マツは大尉を見て、
「大尉、我々はまみさんの話を聞かせていただく立場だ。まみさんのおっしゃる通り、大尉は外で待機していてくれ」
大尉は、しぶしぶ、部屋の外に出て行った。
「さあ、まみさん、これで、話を聞かせてもらえるかい」
まみは、集まった人達の顔を見て、深呼吸をして、静かに話し始めた。
「2週間ほど前に、日本最古の王朝の王宮の場所を特定することができ調査を始めました。そこは小高い丘で、木や草が生い茂り、とても私一人ではまともに調査できるようなところではありませんでした。しかし、運がいいことに地盤が崩れている崖を発見して、そこを掘り進めていたら、金属探知機に反応がありました。大きな土のかたまりの中に金属反応があり、そして、きれいに洗い流したら、拳銃がでてきました。これが、その発掘した時の写真です」
まみはカバンの中からプリントアウトした紙を取り出し、皆に見せた。そこには、
その時の調査写真がたくさん写っており、数枚めくって、きれいに洗い流した拳銃の写真をまみは皆にみせた。
「この拳銃は2000年近く、土の中にあったのにほとんど劣化しておらず、不思議な物質のようにも思えました、そして、拳銃をよく見るとフランス治安情報局ドニーズ3と記されていました。2000年前には拳銃はもちろん、フランスだってなかったのにおかしいとすぐに思いました。そして、今回フランスまで来て、治安情報局に確認しようとしたわけです」
皆、この信じられない話をまともには受け入れできなかったが、実際に写真には拳銃が映っており、この女性がウソを言っているようにも思えなかった。
「ダニエル中尉、これはドニーズ中尉の拳銃で間違いないのか?」
ダニエルは拳銃をよく見たが、ドニーズがいつも携帯している物と違っていたため、
「いやあ、自分はこの拳銃は見たことがありませんよ。アンナ、べルナールどうだ。見たことあるか?」
銃火器を専門にしているアンナ軍曹は
「アメリカ製のCOLTパイソン357マグナム ステンレスフィニッシュなんて
フランス軍人が携帯する銃じゃありません。私も中尉が携帯しているのを見たことないですね」
ベルナールも知らないそぶりをした。
「そうかい、みんな知らないなら、これはドニーズ中尉の物ではないのかね」
葉子は外に追い出されたカミーユ大尉のことを話した。
「あの~おばあさま、外にいるカミーユ大尉に私、この写真を持って聞いてきましょうか。まみさんはあまり、お会いになりたくないようなので」
「それなら、私達も一緒に行くべきだろ。まみさん、ちょっと外で確認してくるから、この写真を貸してくれるかい」
まみは、ニコっと笑って、
「もちろんです」
そして、その写真を持って、外で待機しているカミーユ大尉のところに行った。
「大尉!」
「あれ、みんな、打ち合わせは終わったんですか?」
「まだですよ。大尉、ちょっと、この拳銃を見てくれますか」
大尉は写真を見た。それで、みんなに内緒にしていた拳銃だとわかると
「みんな、すまん」
皆、何をこの大尉はまた、言い始めたんだと思い
「大尉、何のことですか?」
「1か月ほど前に、局長が特注でCOLTパイソンを購入して、うれしそうにしているところを偶然、私とドニーズが見て、ステンレス製でカッコよく、局長があまりにもこの拳銃はすばらしいと語りだして、話を聞いているうちに我々もどうしても欲しくなり、局長にお願いして買ってもらったんだ。せっかくだから、名前も入れて、局長が1、私が2、そしてドニーズが3のナンバーを入れてもらったんだ。それで、その時、ドニーズが『この銃を使いこんでいくと、こんな小さい文字なんかもそのうち擦り切れたり、劣化したりして、見えなくなってしまうんですよね』なんて、言ってたら、イブさんが、『はあ~本当に地球人の科学技術はお粗末だな。ちょっと貸してみろ、永久的に劣化しないようにわがサターンの技術でコーティングをしてやる』と言って、永久的に劣化しない素材にしてもらったんだ」
アンナ軍曹が急に怒り出し、
「なんですか、大尉それは、局長と3人でそんなナンバーまでつけて、我々だって局の一員なんですよ。自分達だけ、しかも内緒に買ってもらうなんて、私だって、局長とおそろいの銃を欲しかったですよ」
ダニエルとベルナールも同じような顔をしてカミーユを見た。そして、カミーユは腰に携帯している拳銃COLTパイソンを取り出した。
「これが、その銃だ」
みんな写真と見比べ、寸分違わない銃だと確認することができた。葉子が大きい声で
「うそでしょ!これ、どうなってるの?なんで2000年前の遺跡にドニーズ中尉の銃が出てくるの?」
皆、その場で黙ってしまった。
「おい、大尉、中に入れ、やはり、この銃のこと知っているお前がいなければ話にならん」
「いいんですか」
「いいから、入れと言っているんだ」
大尉が室内に入ってくると、また、まみは嫌そうな顔をして
「まみさん、すまない、まみさんの持ってきた写真の拳銃を知っているのは大尉だけなんだ。悪いがここで話しをさせてもらうよ」
まみはそれならしょうがないと思い
「あなた、また、怒鳴らないでくださいよ。わたしは何一つ、うそなんて言ってませんから」
「ハハハ、大丈夫ですよ。それより、まみさん、もう少しこの文字を拡大した写真はありますか?」
「はい、ありますよ。えっと、はいこれです」
カミーユ大尉はすぐに自分の腰から拳銃を抜いて、その写真と見比べた。まみは写真と同じ拳銃を持つ大尉に驚きながら
「カミーユ大尉、私にもその拳銃をよく見せてくれますか?」
「ちょっと待ってください。事故があるといけないので、実弾を抜きますね。ガチャ、ガチャ、はいどうぞご覧ください」
まみはじっくりとカミーユ大尉の拳銃を見た。そして、全く同じものだとわかると
「あの~この番号はどういう意味があるんですか?」
「番号?あ~これは、我々の局のリーダーつまり局長が1、その次の部下が私で2、ドニーズ中尉は
その次だから3、と言うことです」
「なるほど、この話が本当だとすると、考えられることはただひとつですね」
まみは、拳銃を発見した時から思っていたことを口にした。
「ワシントンでのテロ事件直後、情報局の方とレナード元大統領は約2000年前に
時空の壁を越えて、飛ばされたと思われます」
それを聞いていた松田祥子が
「アハハ、まさか、まみさんSF映画の見過ぎじゃない、そんなことあるわけないじゃない」
祥子はあまりにもまじめにおかしなことを言うまみを見てゲラゲラと笑った。他の者も
祥子と同様にそんなことはあるわけないだろとため息をついた。
だが、松田マツだけはまみの話は筋が通っており、実際に2000年前の地層からドニーズ中尉の拳銃がでてきたことや、さっき聞いた神様の話がそれを本当のことだと信じせさせる気持ちにさせていた。
そして
「まみさん、さっきの話の続きを聞かせてくれるかい」
まみは自分の調べた神様の話にまだ興味を持ってくれていることがうれしくて少し笑いながら
話し始めた。
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