平和への使者

Daisaku

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倭国大乱

144話 ユウキの秘密

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「はあ~、イブが話してしまったんだ、別世界のここで隠す必要もないか」

ユウキは少し頭を整理するようなしぐさをして

「僕達が飛ばされた時間軸から、約1年後、銀河種族連合のパトロール隊が地球を訪れる、かつて絶滅した危険な生命体が使う亜空間送信をこの星から送信されたからだ。
そして、その発信者を捜すべく、地球人の中にとけ込み、発見する様に動き出すのだが、地球人がさまざまな星の異星人が地球に来訪した時の遺物の装置を組み立て使い始め、銀河系のたくさんの種族に危険を及ぼす生命体であることを認定、人間は子供が全くできない体に変化させられ、100年もしないうちに絶滅することになる」

「本当?その話」

「本当だよ。我々は近い未来を見る事が可能なんだ。もちろん、母星のシステムを使わないと無理なんだけど」

「でも、そんな異星人の装置を使い始めたバカは誰なんだろうね」

「元々、地球人は科学技術も低く、あまり、銀河系では動物と同じ様なあつかいで、
誰も気にはしていなかったんだが、異星人の装置を起動させ、宇宙空間にある小惑星をその装置を使って消滅させたのが引き金になる」

「ユウキさん、それは誰なんですか?」

「計画を始める許可をだしたのは現アメリカ大統領ジョージ・トーマス、そして、国家安全保障省が主体となり、世界で最も有能な研究開発責任者が作り上げてしまう・・・」

「誰なんですか、ユウキさん」

ユウキは少し考えて、また話しだした。

「2025年、そいつは工学系のノーベル賞をはじめ、あらゆる賞を総なめにする。そして、有能な部下が協力することから、その男は本来の力を発揮しはじめる」

イブは関心したようにユウキを見て

「ハハハ、お前は随分詳しいのだな。私はだいたいの事は知っていたが、まさか、私が母星に亜空間送信したことから、そんな悲劇が始まるとはな」

ユウキはギロっとイブを見て、

「お前だったのか。イブ、地球から送信したのは」

「そうだ。目覚めてすぐに、サターン星に連絡をした。だが、惑星がなくなっているようで、連絡は取れなかった。だから、銀河全体に向けて発信、サターン人からの返信を待ったが、同じく連絡は取れなかった」

ユウキは当たり前だろといった顔で

「何言ってるんだ。サターン人は約5000年ほど前に絶滅したぞ。銀河系における、侵略行為が原因で連合が星まで消滅させたんだ」

「そこが、よくわからない、私達は侵略行為を禁止しているし、この銀河系でもお前達、ムーに次ぐ、古生物種族であり、銀河惑星連合を作った3英知の種族でもあるのだぞ」

「たしかにかつてはそうだったが、約1万年ほど前から、おかしな行動を取り始め、
種族連合から追放され、何度もその行為をやめるように通告したのに、全く受け入れることもなかった」

「ばかな、そんなことはありえない。いったい、私が眠っている間に何が起きたというのだ。サターン人は銀河系種族連合を統括する立場であったはずなのに」

イブは悲しそうな顔をして下を向いた。マリはイブの背中をさすって

「ねえ、イブ元気を出して、これから、一緒に頑張っていこう。きっと、何かこれから手がかりが見つかるはずよ」

レナードは話を聞いていて、先程のアメリカ大統領の話が気になるようで

「ユウキ兄さん、先程のアメリカが兵器を開発する話ですが、もう少し詳しく教えてくれませんか。そんなおそろしい兵器を作り上げるきっかけを作る人の話を
そして、できることなら、その人間を産まれない様にしなければいけませんね」

ユウキは困った顔をしてレナードをじっと見た。

「なんですか、ユウキ兄さん、私の顔になにかついていますか?」

「レナード、地球を破滅に導くキッカケを作ったのは、お前の孫、クラークだ。そして、その悪魔の兵器の研究開発責任者だが、元フランス治安情報局戦略開発室責任者セドリック・バテンダール・・・」

マリ達はびっくりした顔で

「ウソでしょ。ユウキ!」

「マリ、こんな時代に来てまで、ウソを言ってもしょうがないよ」

イブも含め、ユウキの衝撃的事実に驚愕した。イブは手が震えだして、急激に怒り出した。

「このバカが!お前は、すべて知っていて、あいつらを情報局に呼びこんだのか。そんなことを知っていれば、あいつらを仲間にすることなどしなかっただろ!」

ユウキも負けじと

「バカはお前だ。イブ、結果的には兵器を作り、人類を滅亡させてしまうが、あいつらは人類を救う為に、たくさんの技術や製品を作り出し、何度も世界を救っている。その小惑星も異星人による裏工作により、地球に向けて激突するように軌道修正されたので兵器を開発、爆破させたんだ。だから、彼らは世界のために活躍した英雄であり、決して馬鹿にされたり、悪人だと言われる様な人間ではない」

「ん?何か、おかしくないか、お前はそんな細かいことまで知っていて、私やマリと出会う事を知らなかったと前に言っていたよな、あれもウソなのか?」

「地球で絶滅したはずのサターン人イブやアダム、そしてかつての平和への使者の孫が新たな平和への使者になるなんて、全く知らされていなかった。これは本当だ」

「そうすると、まだ、マリが望む、地球人の繁栄や平和は可能性があるということだな」

ユウキは苦笑いをして

「もう、今となっては、そんな存在しない世界の話をしてもしょうが無いけどね。僕達はこの時代に関わりすぎたから、歴史も大きく変わり、僕もこの地球には来ないかもしれない」

マリは急に思いついた様に

「ねえ、この時代、ユウキは母星で仕事でもしているの?」

「いや、僕は役目が無い時は母星で休止しているよ。仮死状態というか、活動を停止している感じかな。だから、本来同時代に同じ生命体は存在できないけど、僕は存在することができている。イブも現在、棺に入って活動停止状態だから、同じ様に存在することができている」

「ふ~ん、本当にユウキは色々な事を知っているんだね。でも、そんなに知っているなら、今回の私達の爆破事件も知っていたの?」

「知らないというか、僕はマリと行動する、すべての出来事は全く知らないんだ」

「それって、変だよね。私達は世界でも最近知られて、アメリカでは政府が暗殺をしてしまうほどの存在なのにね」

「ユウキ、お前の知識もマリや私、そして、我が配下の者達を知らないなど、どう考えてもおかしい、私の感だが、ユウキお前は、種族連合のスパイとして送り込まれたエージェントではないのか?」

「何を言っているんだ、イブ、僕はマリの祖母のヤエと、死地を乗り越えて来た者だぞ、
そんなスパイだなんて、ありえないよ」

イブは怪しい目つきで

「過去に地球に貢献して、マツやイギリス女王やレナードなど、まだ存命な主要な人間を取り込み、我々を信頼させ、ムーの母星に随時連絡を取り、サターン人を落としめた、悪者と結託しているのではないか?」

「まさか」

マリはイブが話している事がとても明解で論理的に話すことから、マリの第6感もなにやら、ユウキを警戒するように思えてきた。

「ねえ、ユウキ、ちょっと聞いてもいい」

マリはユウキを疑いの目で見ながら

「私と出会ったあの時から、今まで、ムーの母星と連絡を取り合ったことはあるの?」

「ないよ。基本的に任務が完了するまでは」

「そう、でも、前から、なにか、あなたの体から、やさしい心とは別にまがまがしい
物を感じていたんだよね。宇宙人だからかな~と思っていたけど、やっぱり、変な感じがするな、やっぱり」

イブはそれを聞いて

「マリ、私に命じてもらえますか?」

「え、何を?」

「ユウキの身体を調べる事をです。こいつは確かにむかつく奴だし、今でも気に入らない奴ですが、悪人ではない、ですから、マリに調べる事を命じてほしいのです」

「ユウキ、イブに体を調べてもらっていいかな?」

「そうだね、イブは、どうしても好きになれないし、あのいつも勝ち誇ったような目つきは好きになれないけど、こいつは決して悪人ではないと思っている。だから、イブになら、別に調べてもらってもかまわないよ。でも、イブ、僕の本来持っている力を奪う様な事はするなよ」

「こいつは、いちいちうるさいやつだな。お前の身の潔白を手伝ってやるというのに、
普通ならどうか、『調べてください』とか、『お願いします』とか言うだろ、本当にむかつくやつだ」

「じゃあ、イブ、ユウキの身体を調べて、お願い」

「わかった」

イブは体から赤い光を発して、ユウキの体を包み込み、ユウキの身体を調べ始めた。
ユウキの体のあちこちから細かいスパークしたような光が無数に発せられた。
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