平和への使者

Daisaku

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フランス犯罪組織編

第122話 転移装置

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レナードはマリからの連絡受け、急いで外の納屋まで歩いて行った。
納屋の左奥には60年前に長官が置いてくれた転移装置が置いてあった。

「ふ~ユウキ兄さんの作った、この装置は本当にすごいな。私が触れると、物体化して、
現われ、私がいなくなるとこの場所から消えてしまう。どういう仕組みかわからないけど、
ジャネットに見つかる前に急いで移動しなければ」

レナードは慌てて、現われた装置のタッチパネルをさわり、移動場所を入力した。20年ぶりに動かすため、レナードは無事に起動するか心配だった。

「よし、これでいいはずだ」

そう言って装置の中に入った。

「シュ~」と音が鳴り、転移装置は正常に作動した。

「マリ!」

「おじいちゃんが危険なのか?」

「そうね、噓を言ってもしょうがないから、はっきり言うわ。ものすごく危険よ」

「マリはなんでそんなことが分かるの?」

「う~ん、なんでかな~、小さい時から、こうなるんじゃないかなとか思ったことは
だいたい、そうなるのよ。私にもよくわからないけど」

ユウキは隣で、自分はリアルタイムでの危険は察知できるけど、未来を予知できる能力は備えていない、やはり、ヤエの力をマリは受け継いでいて、徐々にその力がこの任務を通して
目覚めつつあるなと思った。

「一応、レナードに危険を伝えたわ。あとはうまく、あの家から出られればいいけど、
ユウキ、あなたも、かつての同志なんだから、心配でしょ」

ユウキはケロっとした顔で、マリ達の話を聞いていた。

「レナード?あ~大丈夫だよ。あいつなら」

「ユウキって結構冷たいよね。昔の知り合いが危険なんだよ」

イブは笑いながら、マリを見て

「マリ、こいつは、こういう冷たい男なんだ。あまり、関わらない方がいいぞ」

「冷たくない!あいつには、ある物を昔渡してあるから、問題ないと言っているんだ」

「でも、レナードがいないと、FBIも連絡取れないし、身動きができないな」

「僕はもう、そんなことは、どうでもいいよ。おじいちゃんのことが心配で、何か他にできることはないの?」

クラークはおじいちゃんのことが昔から大好きであり、元大統領であるレナードを小さい時から尊敬していた。

「クラーク、大丈夫だよ。たぶん、そろそろ、ここに来るんじゃないかな、あいつ」

「ここに?」

「そうだよ」

「ユウキ、テキサスはここから、かなり離れているから、そんなにすぐには来れないでしょ」

「いやあ、そんなことないよ。ほら、もう着いたみたいだよ」

ユウキが訳の分からないことを言っているのを不思議そうに皆、見たが、ユウキの指さす方向を見たら、レナードが笑いながら、歩いてきた。クラークは大喜びで

「おじいちゃん!」

思い切り抱き着いた。

「おいおい、クラーク、子供じゃないのだから、あんまり、皆さんの前でみっともない姿を見せるな」

「良かった~おじいちゃん、本当に心配したんだよ」

ユウキも笑いながら

「レナード、装置は正常に可動したみたいだな」

「ありがとう、兄さん、全く問題なかったよ」

「装置?」

「え~、昔、長官からいただいた転移装置ですよ」

「そんな物があったの?」

「はい、自宅の納屋に60年前から」

レナードから、皆、瞬時に現れたことの説明を受けた。

「まあ、無事で何よりですね、それでレナードFBIは手配できそうですか?」

「あ~、もう連絡済みだ。あと15分もすれば、ここに来るはずだ」

「さすが、元情報局の人間、動きは早いですね」

「それで、皆さん、私は、しばらく家に戻れそうにないので、しばらく一緒に行動してもよろしいでしょうか」

マリはいくら昔はおばあちゃんと戦った同士とはいえ、もう80才をゆうに超えているレナードの姿を見て、少し困った顔で

「え~、それは構わないけど、でも、危険が伴うから、クラークと一緒にバックで待機してもらうようになりますけど」

「かまいませんよ。昔、特攻隊長なんて言われましたけど、今はもう80過ぎの老人、とてもみなさんと一緒に戦うなんてことできませんからね」

その頃、FBI捜査官ブラッドリーとカールは
行方不明者の捜索に難航して、頭を抱えていた。

「ふ~、有名大学の生徒や大学の教授、最先端コンピューター開発者など、もう10名ほど、行方不明か、全くこの3年でこれだけ、有能な人達がいなくなるなんて、どうなっているんだ。地元警察も誘拐扱いで24時間過ぎれば、なんでも、かんでもFBIよろしくなんて、たまったもんじゃない、しかも、なんの痕跡も残さずにいなくなるなんて」

かつて、見たこともない、手口に二人だけで対応することに、限界を感じはじめていた。

「ブラッドリー、いなくなった人達は、どれも、仕事や論文など、中途半端な状態であることから、自殺の線はない、だから、皆、誘拐ということだが、共通点は自分から偽造ナンバーの車に乗り込んでいなくなるパターンですね、全く理解できませんよ、なんで知らない車に乗るのか」

「そうだな、だから、仕事や勉強がいやになって、行方をくらましたと思われ、どうも警察も初動捜査があいまいだから、犯罪者の尻尾もつかめるわけがない、カールどうする、そろそろ、3年だ。上に話して、この事件からは手を引くか?」

「いやですよ。ここまでやってきたんですから、それに、この事件は最近でも行方不明者が出てますし、ほっておいたら、まだまだ出ますよ。ブラッドリー、捜査官としての長い経験から霊能者でも超能力者でもいいから、行方不明者を捜索する手がかりになるような強力な助っ人はいないんですか?」

「おいおい、そんな不確かな奴は知らないよ。なーんか、向こうから連絡でもあれば、動きようもあるんだがな」

そんな話をしている中、ブラッドリーに連絡が来た。

「プルルルはい、ブラッドリー捜査官」

「おう、久しぶりだな」

「副長官ですか、どうされました?」

「どうだ、捜査の方は」

「だめですね。ほとんど証拠もないし、プロの犯行ですね。まさに壁にぶち当たってます」

副長官は捜査が難航しているのを聞いて、
笑いながら

「そうか、なら、お前達には、いい知らせだ」

「なんですか?」

「さきほど、私の昔の知り合いから連絡が入ってな、どうやら、お前達が追っている誘拐犯を4人ほど、現行犯で捕まえたらしい。それで、至急、ハーバード大学まで行って、その人達と合流、一緒に行動してくれないか」

「はあ~、まいりましたね。地元警察に先をこされましたか」

「いや、警察じゃないぞ」

「それじゃ、大学の警備員とかですか」

「いや、警備員じゃないぞ」

「まさか、大学生じゃないですよね」

「いや、大学生じゃないぞ」

「副長官、誰なんですか?」

「う~ん、私もよくわからないんだが、15歳の女の子らしい・・・」

「へ?やめてくださいよ。そういう冗談は、こちらはカールと真剣に捜査しているんですよ。副長官のギャグに付き合っている暇なんてないですよ」

「いや、冗談じゃない、これは、私の信頼できる方からの情報だ、いいから、至急、ハーバード大学まで行ってくれ、連絡先も送っておくから、着いたら連絡を取り合い、いいか、協力して犯人を挙げてこい」

「わかりました。これから向かいます」

「ブラッドリー、どうしました。新しい情報ですか?」

「副長官からだ、なんだか、よくわからないが15歳の女の子がこの一連の誘拐犯を捕まえたらしい。現地に向かい、協力して捜査に当たれと言われた」

「は?15歳の女の子!副長官は頭がイカレてしまったのですか?」

「知るか、とにかく、副長官の指示だ。行くしかないだろ。どっちにしたって、我々は手掛かりすら、掴めていなのだから」

カールは車を反転させ、もうスピードで
ハーバード大学に向けてアクセルを踏んだ。
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