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アメリカ1
116話 農家のおじいさん
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ここは、アメリカテキサス州、広大な土地に乾燥した空気、地平線が見え、はるかかなたまで平坦な土地が広がっていた。
「お~い、じいさん、もう年も年なんだから、そんなに無理しちゃだめだろ」
「な~に、もう8月だ、とうもろこしがだめになっちまうから、収穫しないとな~」
「それにしたって、こんなにとうもろこしがなっているんだから、一人じゃ無理だろ」
「ふ~、ばあさんも、去年、亡くなっちまって、孫も街に出ちまったから、たしかに今年はきついな~」
「まったく、世話がかかるじいさんだ。こんなトウモロコシを取らなきゃ、生活できないのかい、待ってろ、午後から、手伝いをしてやるから、じいさんは家で少し休んでな」
「いつも、悪いな、ブライアン」
「何を言ってやがる。あんたには昔、うちの家族が世話になったからな、こんなことぐらい、気にしないでくれ」
「よっこらしょ」
そういって、運転してきた古いトラックの座席に座って、おじいさんは少し目を閉じて一休みをした。そうして、かつて、憧れた女性へ思いを巡らせていた。
『長官、もう、あれから、50年は経ちました。私もそろそろ、体も思うように動けなくなり、
長官のところへ行けそうです。わたしは、あなたのおかげで、本当にすばらしい人生を送れました。こうして、身分を隠して、人知れず農夫として、死ぬことが私の希望でしたから、この10年、楽しかったですよ。でも・・・あなたが亡くなる前に最後に一度お会いしたかった。そして、私の武勇伝をたくさん話して、昔のように笑顔で頭をなでて、「特攻隊長よくやった」と言ってほしかったな』
おじいさんは目から涙を流した。
そんな時だった、太陽の日差しがまぶしいこの時間だったが、それ以上に目の前が赤く光り、
目をあけると5人の男女がそこに立っていた。
「なんだ~、何が起きた」
おじいさんは車から、ゆっくりと降りて、その5人の前に立った。
「誰だ、あんた達は!」
「レナード元大統領ですか?」
「ちがう、わたしは、この畑をやっているもんだ」
マリはボロボロのつなぎを着た老人を見て
「ユウキ、この人が本当に元大統領なの?」
「そうだよ。身分を隠して、好きだった、畑仕事をしているんだ」
一緒に来た、イブや大介、ドニーズ中尉も驚いた様子でその老人を見た。
「おい、ユウキ、こんな農家のおじいさんが、元大統領なわけあるか、お前、間違えているんじゃないのか」
ごちゃごちゃ話している、若い連中にレナードは
「お前達、おれの畑から出て行け、今はとうもろこしの収穫で忙しんだ!」
ユウキはその様子を見てうれしそうに
「相変わらず、面白い趣味だな、レナード、いや、特攻野郎レナード」
ユウキは笑いながら、大きい声でレナードに声をかけた。
レナードはびっくりした顔でユウキを見て
「誰だ、お前は!」
「なんだよ~、現場じゃあ、こわいもの知らずのお前が長官の前では怒られるのが怖くていつも僕の後ろでこそこそしてたくせに」
レナードはまた、驚いて、ユウキに近づいて、その容姿を見て
「ユウキさんなのかい?」
「まったく、気が付くのが遅いんだよ、レナード、本当に久しぶりだな」
レナードは目から涙があふれでてきて
「ユウキ兄さんなのかい」
レナードはユウキに抱き着いた。それを見ていたイブが
「ユウキ兄さん・・・気持ち悪いな、その呼び方」
「兄さん、どうしたんだい、こんなところまで来て」
「ちょっと、お前の力を借りたくってさ」
「そうかい、その話は急ぎなのかい?」
「いや、そこまで、急ぎではないけど」
「だったら、このトウモロコシを収穫するまで、ちょっと、待っててくれるかな」
マリ達はちょっと待ってと言われたが、トウモロコシの収穫ってこんな広大な土地にいっぱいなっていてすぐに終わるように見えなかった。ダイスケが
「レナード、すぐに終わる量に見えませんが」
「この農耕機械でやるんだよ。午後には近所の人が手伝いにきてくれるんだけど、少しでも自分でやっておかないと悪いからね」
マリは農耕機械がとても大きくて、一緒に乗ってみたくなり
「レナード、私も一緒に乗って、教えてもらえませんか」
「お嬢ちゃんがやるような仕事じゃないし、子供の遊びじゃあないし、運転なんてできるわけないだろ。ユウキ兄さんと向こうの家で待ってな」
マリはなんか、少しバカにされたように感じて、負けじと
「教えてくれれば、できますよ。わたし、これでも、いろいろなことをおばあちゃんから教わってきたんだから」
「やさしいおばあちゃんに教わったか。そうか。かわいい孫を甘やかすのはおばあちゃんはうまいからな~」
マリはふくれた顔をして
「うちのおばあちゃんは鬼のようでした。頑張った時だけは、優しかったけど」
「ふ~ん、あんまりかかわりたくないおばあちゃんだな。それは」
レナードは笑いながら、黙々と農耕機械の準備をはじめて作業に入ろうとしていた。
「お~い、レナード!」
「なんですか?」
「あまり、その人を怒らせない方がいいぞ」
「どうしてですか?」
「その人は僕らの大将だ。たくさんの人たちがその人に従って、世界を救おうとしているからね」
「大将?」
「そう、ぼくも彼女の部下だからね」
「部下?」
レナードは目が悪く、近づかないと、人の容姿がまるで、見えなかった。そして、マリに近づいてきて、よ~く見た。
「ま・ま・まさか、長官!」
さっきまでなめた態度をしていた、レナードが急に直立不動になり、マリに敬礼をした。
「し・失礼しました。長官、私はてっきりどこか知らない子供かと思いました。ここのところ目の調子が悪くて、お顔が良く確認できませんでした」
ユウキはその様子を見て、大笑いをした。
「レナード、長官じゃないよ。彼女は」
「え、長官ではない。たしかにだいぶお若いですが、長官と容姿が全く変わりませんよ」
マリも少し笑いながら
「レナード、私は飛島マリ、ヤエおばあちゃんの孫ですよ」
「孫ですか、こんなにそっくりな人がいるんですか?」
レナードが目を細めて、自分を見ていることに気づき
「ユウキ、レナードの目を少し良くすることできないかな?」
「了解、直せるかやってみる」
そういうと、ユウキはレナードの目に手を当てて治療に集中した。
「あ~、農業を長くしていたせいで、目の中に細かいゴミや、日差しの影響で少し白内障を患っているね、これなら、直せそうだ」
ユウキの手が光り、1分もしないうちに治療は終わった。
「レナード、もう目を開けていいよ」
レナードは静かに目を開けた。
「兄さん、良く見えるよ。ありがとう」
レナードは周囲を見渡し、5人の来訪者の容姿を確認した。そして
「マリさん、さきほどは失礼しました。まさか長官のお孫さんだとは知らなかったもので、無礼をお許しください」
「いえ、かまいませんよ。私も、家でただ待っているより、なにか、手伝って、少しでも早く畑仕事を終わらせて、相談したいことがありましたから」
「そうですか、それならば、畑仕事は中断して、あちらの家でお話をお聞きいたします。それにしても、長官にそっくりですね。マリさんは」
「そうですか?若い時のおばあちゃんって、私あまり知らないんですよ」
「すごい人でしたよ。長官は」
レナードは先ほどの元気のない老人から、生き返ったような表情に変わり、自宅まで、とても楽しそうに歩いていた。
「お~い、じいさん、もう年も年なんだから、そんなに無理しちゃだめだろ」
「な~に、もう8月だ、とうもろこしがだめになっちまうから、収穫しないとな~」
「それにしたって、こんなにとうもろこしがなっているんだから、一人じゃ無理だろ」
「ふ~、ばあさんも、去年、亡くなっちまって、孫も街に出ちまったから、たしかに今年はきついな~」
「まったく、世話がかかるじいさんだ。こんなトウモロコシを取らなきゃ、生活できないのかい、待ってろ、午後から、手伝いをしてやるから、じいさんは家で少し休んでな」
「いつも、悪いな、ブライアン」
「何を言ってやがる。あんたには昔、うちの家族が世話になったからな、こんなことぐらい、気にしないでくれ」
「よっこらしょ」
そういって、運転してきた古いトラックの座席に座って、おじいさんは少し目を閉じて一休みをした。そうして、かつて、憧れた女性へ思いを巡らせていた。
『長官、もう、あれから、50年は経ちました。私もそろそろ、体も思うように動けなくなり、
長官のところへ行けそうです。わたしは、あなたのおかげで、本当にすばらしい人生を送れました。こうして、身分を隠して、人知れず農夫として、死ぬことが私の希望でしたから、この10年、楽しかったですよ。でも・・・あなたが亡くなる前に最後に一度お会いしたかった。そして、私の武勇伝をたくさん話して、昔のように笑顔で頭をなでて、「特攻隊長よくやった」と言ってほしかったな』
おじいさんは目から涙を流した。
そんな時だった、太陽の日差しがまぶしいこの時間だったが、それ以上に目の前が赤く光り、
目をあけると5人の男女がそこに立っていた。
「なんだ~、何が起きた」
おじいさんは車から、ゆっくりと降りて、その5人の前に立った。
「誰だ、あんた達は!」
「レナード元大統領ですか?」
「ちがう、わたしは、この畑をやっているもんだ」
マリはボロボロのつなぎを着た老人を見て
「ユウキ、この人が本当に元大統領なの?」
「そうだよ。身分を隠して、好きだった、畑仕事をしているんだ」
一緒に来た、イブや大介、ドニーズ中尉も驚いた様子でその老人を見た。
「おい、ユウキ、こんな農家のおじいさんが、元大統領なわけあるか、お前、間違えているんじゃないのか」
ごちゃごちゃ話している、若い連中にレナードは
「お前達、おれの畑から出て行け、今はとうもろこしの収穫で忙しんだ!」
ユウキはその様子を見てうれしそうに
「相変わらず、面白い趣味だな、レナード、いや、特攻野郎レナード」
ユウキは笑いながら、大きい声でレナードに声をかけた。
レナードはびっくりした顔でユウキを見て
「誰だ、お前は!」
「なんだよ~、現場じゃあ、こわいもの知らずのお前が長官の前では怒られるのが怖くていつも僕の後ろでこそこそしてたくせに」
レナードはまた、驚いて、ユウキに近づいて、その容姿を見て
「ユウキさんなのかい?」
「まったく、気が付くのが遅いんだよ、レナード、本当に久しぶりだな」
レナードは目から涙があふれでてきて
「ユウキ兄さんなのかい」
レナードはユウキに抱き着いた。それを見ていたイブが
「ユウキ兄さん・・・気持ち悪いな、その呼び方」
「兄さん、どうしたんだい、こんなところまで来て」
「ちょっと、お前の力を借りたくってさ」
「そうかい、その話は急ぎなのかい?」
「いや、そこまで、急ぎではないけど」
「だったら、このトウモロコシを収穫するまで、ちょっと、待っててくれるかな」
マリ達はちょっと待ってと言われたが、トウモロコシの収穫ってこんな広大な土地にいっぱいなっていてすぐに終わるように見えなかった。ダイスケが
「レナード、すぐに終わる量に見えませんが」
「この農耕機械でやるんだよ。午後には近所の人が手伝いにきてくれるんだけど、少しでも自分でやっておかないと悪いからね」
マリは農耕機械がとても大きくて、一緒に乗ってみたくなり
「レナード、私も一緒に乗って、教えてもらえませんか」
「お嬢ちゃんがやるような仕事じゃないし、子供の遊びじゃあないし、運転なんてできるわけないだろ。ユウキ兄さんと向こうの家で待ってな」
マリはなんか、少しバカにされたように感じて、負けじと
「教えてくれれば、できますよ。わたし、これでも、いろいろなことをおばあちゃんから教わってきたんだから」
「やさしいおばあちゃんに教わったか。そうか。かわいい孫を甘やかすのはおばあちゃんはうまいからな~」
マリはふくれた顔をして
「うちのおばあちゃんは鬼のようでした。頑張った時だけは、優しかったけど」
「ふ~ん、あんまりかかわりたくないおばあちゃんだな。それは」
レナードは笑いながら、黙々と農耕機械の準備をはじめて作業に入ろうとしていた。
「お~い、レナード!」
「なんですか?」
「あまり、その人を怒らせない方がいいぞ」
「どうしてですか?」
「その人は僕らの大将だ。たくさんの人たちがその人に従って、世界を救おうとしているからね」
「大将?」
「そう、ぼくも彼女の部下だからね」
「部下?」
レナードは目が悪く、近づかないと、人の容姿がまるで、見えなかった。そして、マリに近づいてきて、よ~く見た。
「ま・ま・まさか、長官!」
さっきまでなめた態度をしていた、レナードが急に直立不動になり、マリに敬礼をした。
「し・失礼しました。長官、私はてっきりどこか知らない子供かと思いました。ここのところ目の調子が悪くて、お顔が良く確認できませんでした」
ユウキはその様子を見て、大笑いをした。
「レナード、長官じゃないよ。彼女は」
「え、長官ではない。たしかにだいぶお若いですが、長官と容姿が全く変わりませんよ」
マリも少し笑いながら
「レナード、私は飛島マリ、ヤエおばあちゃんの孫ですよ」
「孫ですか、こんなにそっくりな人がいるんですか?」
レナードが目を細めて、自分を見ていることに気づき
「ユウキ、レナードの目を少し良くすることできないかな?」
「了解、直せるかやってみる」
そういうと、ユウキはレナードの目に手を当てて治療に集中した。
「あ~、農業を長くしていたせいで、目の中に細かいゴミや、日差しの影響で少し白内障を患っているね、これなら、直せそうだ」
ユウキの手が光り、1分もしないうちに治療は終わった。
「レナード、もう目を開けていいよ」
レナードは静かに目を開けた。
「兄さん、良く見えるよ。ありがとう」
レナードは周囲を見渡し、5人の来訪者の容姿を確認した。そして
「マリさん、さきほどは失礼しました。まさか長官のお孫さんだとは知らなかったもので、無礼をお許しください」
「いえ、かまいませんよ。私も、家でただ待っているより、なにか、手伝って、少しでも早く畑仕事を終わらせて、相談したいことがありましたから」
「そうですか、それならば、畑仕事は中断して、あちらの家でお話をお聞きいたします。それにしても、長官にそっくりですね。マリさんは」
「そうですか?若い時のおばあちゃんって、私あまり知らないんですよ」
「すごい人でしたよ。長官は」
レナードは先ほどの元気のない老人から、生き返ったような表情に変わり、自宅まで、とても楽しそうに歩いていた。
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