平和への使者

Daisaku

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暗躍組織

76話 犯人逮捕

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「中佐!司令官を発見しました。前方100mの地点です」

「よ~し、みんな行くぞ!」

アメリカ軍は100人の兵が暗くなった、砂利道を歩いている老女のところに小走りで近づいて行った。そして

「司令官!」

どこにでもいるようなみすぼらしい服を着た老女とかわいい服を着た小さい少女が振り向いた。そこにはアメリカ軍兵士が隊列を組んで整列していた。

「全員、司令官に敬礼!」

オーネル中佐の掛け声で全員が老女に対して敬礼をした。

「司令官、ご無事でしたか?本国より、あなたのお役に立つように命令を受けております。ご指示願います」

老女はびっくりした様子でアメリカ兵士を見た。そして英語で

「そうか、みんなご苦労、老人のわがままで、こんなところまで来させて悪かったね、だが作戦は中止になったんだろ」

「そうです。この基地を占領する命令は取り消されました。そのため、それ以外の事でしたら、お役にたてます」

老女は孫娘を見て

「マリ、せっかくここまで来たんだ。今日はお前がこれから鍛錬を積む場所を見せたかったから、行ってみるかい」

マリはたくさんの兵士がばあちゃんに敬礼しているのを見て、自分も真似して敬礼をして笑いながら
「ばあちゃんのことだから、そこは、すごいところなんでしょ。行きたいよ私」

老女はその言葉を聞くなり、背筋を伸ばして、きりっとした顔になり、

「お前達~これから正門から入って北側奥の新しくできた施設に向かうよ。ここから約2キロほど離れたところだ。自衛隊が邪魔をするかもしれないが、全員、戦闘態勢を整え、そこまで、我らの警護を頼む。できるか」

アメリカ兵士は伝説の名誉司令官からの号令に誰1人臆することなく

「イエッサー」

と返事をした。

「先方隊、前方通路を確保しろ、側面と後方にも隊を移動、全員で司令官の盾になる様に進め!」

アメリカ軍兵士が正門から出て行ったと思ったら、今度は逆に老女と子供を囲う様にこちらに戻って来た。

慌てて阿部はゲートを閉めようとしたその時、後ろから大声で

「閉めるな!アメリカ軍に抵抗もするな!」

そこには、山本幕僚長が10人ほどの隊員とそこに立っていた。
阿部と武田はすぐに敬礼して

「宜しいのですか、基地に入れてしまっても」

「かまわん、あの方は、この国で、最も偉く、崇拝される雲の上の存在だ。総理大臣でもあの方に比べれば子供の様なものだ。私自信も何度か話をできたことを光栄に思っている」

阿部と武田は山本幕僚長の話を聞いたら、また、体が硬くなってきた。

「近々、お見えになると聞いていたが、お前達、まさか、失礼なことはしてないだろうな、
あの方が本気で怒ったら、この日本だって、どうなるかわからないからな」

武田はみかけによらず素直な男で

「報告があります。ひとろくいちまるに飛島様がこちらに来られ、わたくしと阿部陸曹が
ぼけ老人と勘違いをしてしまい、基地にいれませんでした。再三に渡り、飛島様は責任者を出す様にご指示されましたが、私達は無視をして、ぼけ老人として扱い、ばかにしてしまい、飛島様の逆鱗に触れてしまいました」

山本幕僚長は体が急に震えだして、気絶しそうになり、急に立ちくらみがした。

「お前達、その話しは本当なのか。頼む冗談だと言ってくれ」

山本は気がおかしくなる様な顔で必死に武田の体をゆすった。

「すみません。本当の話です」

山本はぶるぶると体を震わせて

「この~大バカ者が~、いったいお前達はあの方をだれだと思っているか!人声かければ、この日本どころか、この世で、できないことなどないほどのお力を持った方なんだぞ。そしてこの世界を救った救世主として、あらゆる国での称号もお持ちなんだ」

山本は、はあはあと息を荒くして興奮していた。そして、

「お前達、まさか、飛島様を怒らせたと言っていたが、今回のこの戦争さわぎはお前達2人が起こしたことなのか!」

阿部と武田は下を向いて何も答えなかった。

「お前達、今、この基地は世界中でニュースになり、日本政府とアメリカ政府も一触即発の状況だ。アメリカは侵略行為をしたことでこれから世界経済からつまはじきにされ、数千万単位の失業者や沢山の会社が倒産や破たんし、日本もアメリカとの同盟関係もなくなる恐れもある。また、アメリカだけでなく、今後、世界経済も大混乱して、数十億人以上の人達にも大変な影響が出ると予想される。お前達、とんでもないことをしてくれたな。これから、拘置所に入り、間違いなく、お前達は犯罪者として一生送る様になるだろう」

阿部と武田はさっきまでいた平和な世界から、世界的な犯罪者として収監され、人生がおわることを悟った。

「こいつらを連れてけ。上からの指示があるまで営倉に入れておけ」

阿部と武田はただちに連行された。そして、山本幕僚長は基地のスピーカーで

「アメリカ軍が現在、基地内を進行中だ。決して邪魔をするな。それとアメリカ軍は友軍である」

アメリカ軍の侵攻を止めようとしていた隊も指示通り撤退して、老女と少女を守りながら進むアメリカ軍は何の障害も無く、新しくできた施設にたどり着いた。そこには巨大なコンクリートでできた真っ白な建物がそびえ建っていた。飛行機の格納庫ぐらい大きな建物で、そこには窓が1箇所も無く、住居ではない様だった。そして、

「無事着いたか。皆、ご苦労、中に休めるところがある、全員ついてこい」

建物の大きな扉の横にタッチパネルがあった。

「マリ、ここに手を当ててごらん」

マリは言われた通りに手を当てると、自動で大きな扉が開いた。

「プシュ~」

中に入ると、まるで屋内訓練場のような設備になっていた。奥には外国の戦車やバズーカ砲やあらゆる国の武器という武器がずらりと並んでいた。

「うわあ~自動で開いた~」

マリはおおはしゃぎだった。マリ達に続いて、100人ものアメリカ軍兵士が建物に入った。
「お前達、あまり勝手にさわるなよ。向こうの部屋に休息できるところがあるぞ」

100人の兵士が建物に入っても余裕すらあるその建物は最新式の設備でできていた。少し奥に行くと、また、大きな扉があり、そこを開けると、大型レストラン並みの大空間にテーブルや椅子、リクライニングシートやカウンターなどアメリカのカフェやレストランやバーなども顔負けの設備が整っていた。

「みんな好きなところで休め、申し訳ないがまだ、ここにはまだスタッフがいないから、なにも出せないが、ゆっくりしてくれ」

孫のマリは物凄い設備の整ったこの建物に驚いて、あちこち笑いながら走り廻っていた。
オーネル中佐はこのとんでもない設備を見て、

「司令官、いったいここはなんの設備なんですか。本国でもこんなすごいところ見た事もないですよ」

その時、入口から

「ここは、ある方のために造られた訓練設備ですよ」

自衛隊の山本幕僚長が入って来た。
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