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フランス治安情報局
69話 マリ達の正体
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パスカル、マリの同級生で同じクラス、彼は、普通の中流家庭の家に生まれ、何、不自由なく、今まで、生きてきた。特に、特技もなく、学校での成績も普通でどこにでもいる、普通の16歳の男の子だ。だが、当たり前のように暮らしているこの環境が何ひとつ、刺激のあるものはなく、このまま、普通の人として、人生が終わってしまうのだろうと、いつも、考えていた。
ところが、この学校に彗星のごとく現れた、この三銃士ともいうべき存在がとても気になり、昨日、その力の片鱗を見せつけられ、自分の人生において、これ以上の刺激のある出来事はないだろうと、自らの心がマリ達の正体を突き止めたいという強い衝動にかられていた。
「姉さん、頼むよ、ね、今日の13時には学校が終わるからさ、車で調べたいことがあるんだよ」
「なによ、調べたいことって」
マリの同級生パスカルは今日こそは、マリの自宅を見つけ、あの三人が一体どういう素性なのか調べたいと考えていた。
「同級生で不思議な3人がいるんだ。いつも一緒にいて、人間とは思えない、すごい能力を
持っているんだ」
「はあ~?あんた、漫画やテレビの見過ぎじゃないの?高校1年生の子供がそんな力あるわけないじゃない、バカじゃないの?」
「本当だよ。しかも、その3人はいつも、学校から少し離れたところから、高級車でお迎えだってくるんだ」
「なによ、そんなのめずらしくないわ。親の稼ぎが多くて、忙しい親は人を雇って、お迎えに来てもらうなんて、よくあるじゃない。ましてや1台に3人が乗れば、経済的じゃない。あんたは本当に考えがまだまだ、子供ね。でも、まあ、いいわ、今日は特に予定もないし、あんたにつきあってあげる。そのかわり、あんた、今月はあんたはもちろんだけど、私の分も変わりに家事をやりななさい」
フランスでは、子供は、家の手伝いをするのは、当たり前で、毎日、子供たちができる範囲で家事を分担する。
「わかったよ。じゃあ、姉さん、13時に学校の前で待ち合わせ。たのむよ」
「わかったわよ」
パスカルは、姉の承諾が得られて、ホッとした。今日こそは、必ず正体を見破ってやると、朝ご飯をむしゃむしゃ食べながら、考えていた。
放課後、いつも通り、マリ達3人は学校から出てきた。パスカルは早めに学校から出て、プジョーでも小さめの車に乗っている姉の車に乗り込んで待機していた。
「姉さん、出て来たヨ。あの3人だよ!」
「ヒュー、男の子はすごいかっこいいじゃない、背が高くて、イケてるわね。その横の金髪の女の子もとんでもない美人でスタイル抜群じゃないの。一番前に歩いている黒髪の女の子はなんか、日本のお人形みたいで、こっちもなかなかプリティじゃない。あんた、どの子がねらいなのよ」
「そんなんじゃないよ」
「いいのよ、とぼけなくったって、そうねえ、あんたは、意外と普通の美人は避けるだろうから、たぶん前を歩いているプリティガールね。でも、あんた、これって、ストーカーじゃない、
あんたも男なら、直接聞けばいいじゃない。こんなこそこそして、カッコ悪い」
「だから、そんなんじゃないよ。学校でも聞いたさ。そりょあ、そしたらさ『パスカル、別に私達は普通の高校生だよ。だから、そんなに警戒しなくても大丈夫だよ』なんて言われて、何も聞き出せなかったんだ」
「あら、そうなの。まあ、いいわ、しばらく、後ろから離れて付けてみましょ」
3人は学校から100mぐらい離れたところから、迎えにきた、黒の高級車に乗り込んだ。
「たしかに、あんなすごい高級車、ちょっと普通じゃないわね」
「あ、姉さん、走り出しちゃったよ。早く、跡をつけて」
急いで、パスカル達はその車の跡をつけた。しばらくして、前の車が何回か交差点を曲がった時に運転をしている松田葉子が
「マリさん」
「どうしました葉子さん?」
「2台後ろの車につけられていますよ、間違いありません」
助手席に座っている国土監視局のポーラも
「あれは、学校の前に止まっていた車ですね。恐らく、学校の生徒だと思います」
ユウキはその言葉を聞き、後ろに目を向けて、観察した。
「マリ、運転手は誰かは、わからないが、助手席に座っているのは、同じクラスのパスカルだね」
「パスカル?そういえば、昨日の午後から、数回、私達のことを聞いてきてたよね」
「あ、そうだったね」
「全く、気持ち悪い男だね。こそこそ、隠れて付いてくるなんて、正々堂々と自宅を見たいとか、言えばいいじゃない」
イブはこそこそ、する人が大嫌いな性格でいつも、はっきりと物を言わない人にしかりつけている。
「マリさん、どうしますか?このままですと、治安情報局の場所や、少なくとも我々の素性がばれることになりますよ」
「う~ん、困ったな、どうしよう~」
ポーラがうれしそうに
「マリさん、それなら、この近くにある、私の家に寄りませんか。一度、車から降りて、私の家に入り、裏口から出て、また、葉子にピックしてもらえば、かわせるんじゃないですか」
「お~、いいですね。それ、そうすれば、普通の家の子だと思われるし、3人一緒でも、そのうちの一人の家に帰りに寄ったことにすればいいですからね」
「はい」
「それじゃあ、向かいましょう」
「葉子、次の交差点、左に曲がって」
「了解」
イブは少しイライラした様子で
「ポーラの家に着いたら、私が、あいつにはっきり言ってくるよ。もう着いてくるなって」
「イブ、今日は14時から、治安情報局の局の全員ではじめてのミーティングをするから、
こんなことで、時間を取られたくないの、無視して、さっさと局に戻りましょう」
「マリが、そういうんなら、承知しました!」
イブはまだ、不服そうだったが、マリの指示なので、がまんした。
「あ、見えてきましたよ。ここが、パリで使っている家ですよ~」
マリ達がポーラはどんな家に住んでいるのかな~と車内から家を見たら、そこは、お城のような、どでかい家でポーラが胸からリモコンのようなものをポチっと押したら、大きな門が開いた。
「葉子、このまま行って、あの家の前で降ろして」
「了解、ポーラ、ここがあなたの家なの?」
「う~ん、家はあちこちにあるけど、ここは、勤め先が一番近い家だから、今はここから通っているわ」
そこでマリが
「ポーラさん、親は何をしてるんですか?」
「あ~うちですか、うちは、警備会社をやってるんですよ」
ユウキが
「でも、こんなすごい家に住めるくらいなのに、なんで国土監視局に努めるんですか?」
「うちは、父がかなり厳しくて、『現場を知らない人間はろくな人間にならない、しばらくはこの家には住んでいいが、自分の給料で生活して、世の中の厳しさを学んでこい』なんて言われて、結構いつも金欠なんですよ。だから、本当はマリさん達と一緒に住んで、ベータのごはんを食べて、食費を浮かしたいぐらいなんです」
そして、家の前に着いた。
「どうぞ、こちらです」
ポーラと3人は言われた通り車から降りて、大きな階段を数段あがり、大きな扉をポーラが指紋と静脈認証のような機械に触れ、すぐに扉が開いた。それを見て、マリは
「すご~い」
ユウキが、
「マリ、ウチの局も全く防犯設備がないから、ポーラの会社に頼んだ方がいいんじゃない」
「本当、そうだね。そうしたら、すごく安心だよね」
皆は室内に入り、圧倒された、バロック様式で造られたこの建物は、宮殿のような面持ちで
マリ達を包み込んだ。イブはすぐに
「マリ、本当は私、こういう家に住みたいんだよね。今度、みんなで、泊まろうよこの家、ポーラ1人じゃ、大きすぎるでしょ」
「え~、いつでも来てください。使用人もいるんですけど、お客様が来られる時は、食事から、何から何まで、すべて対応してもらえるようになっているので、私も助かります」
「あら、そうなの、じゃあ、気が向いたら、利用させてもらうわ」
相変わらず、イブは偉そうな態度で話した。
「皆さん、あそこが裏口の扉です。遅れそうですから、急いで行きましょう」
そう言って、マリ達は裏口から葉子が待機している車に乗り込んだ。
「あんた、この家、たしか、フランスの民間警備会社の社長の家じゃない」
「姉さん、知ってるの?」
「知ってるわよ。だってこの建物、ブルボン王朝から続く、元貴族の有名な建物だもの」
「本当!」
「たしかにあんたの言った通り、只者じゃないわね。あの3人、フフフ、なんだか、私もあんた以上に興味が湧いてきたわ。今度、私に紹介してよ。あの3人」
「姉さんじゃなくて、僕が知りたいんだよ。あの3人を」
「いいじゃない、別に、紹介してくれれば、この私が聞き出してあげるわよ。あの3人の秘密をね」
やはり、姉弟、よく似ている。そんな話をしている時、マリ達はなんなく裏口から車で
走り去った。さらにパスカルと、その姉の疑問を深めたことも知らずに・・・
ところが、この学校に彗星のごとく現れた、この三銃士ともいうべき存在がとても気になり、昨日、その力の片鱗を見せつけられ、自分の人生において、これ以上の刺激のある出来事はないだろうと、自らの心がマリ達の正体を突き止めたいという強い衝動にかられていた。
「姉さん、頼むよ、ね、今日の13時には学校が終わるからさ、車で調べたいことがあるんだよ」
「なによ、調べたいことって」
マリの同級生パスカルは今日こそは、マリの自宅を見つけ、あの三人が一体どういう素性なのか調べたいと考えていた。
「同級生で不思議な3人がいるんだ。いつも一緒にいて、人間とは思えない、すごい能力を
持っているんだ」
「はあ~?あんた、漫画やテレビの見過ぎじゃないの?高校1年生の子供がそんな力あるわけないじゃない、バカじゃないの?」
「本当だよ。しかも、その3人はいつも、学校から少し離れたところから、高級車でお迎えだってくるんだ」
「なによ、そんなのめずらしくないわ。親の稼ぎが多くて、忙しい親は人を雇って、お迎えに来てもらうなんて、よくあるじゃない。ましてや1台に3人が乗れば、経済的じゃない。あんたは本当に考えがまだまだ、子供ね。でも、まあ、いいわ、今日は特に予定もないし、あんたにつきあってあげる。そのかわり、あんた、今月はあんたはもちろんだけど、私の分も変わりに家事をやりななさい」
フランスでは、子供は、家の手伝いをするのは、当たり前で、毎日、子供たちができる範囲で家事を分担する。
「わかったよ。じゃあ、姉さん、13時に学校の前で待ち合わせ。たのむよ」
「わかったわよ」
パスカルは、姉の承諾が得られて、ホッとした。今日こそは、必ず正体を見破ってやると、朝ご飯をむしゃむしゃ食べながら、考えていた。
放課後、いつも通り、マリ達3人は学校から出てきた。パスカルは早めに学校から出て、プジョーでも小さめの車に乗っている姉の車に乗り込んで待機していた。
「姉さん、出て来たヨ。あの3人だよ!」
「ヒュー、男の子はすごいかっこいいじゃない、背が高くて、イケてるわね。その横の金髪の女の子もとんでもない美人でスタイル抜群じゃないの。一番前に歩いている黒髪の女の子はなんか、日本のお人形みたいで、こっちもなかなかプリティじゃない。あんた、どの子がねらいなのよ」
「そんなんじゃないよ」
「いいのよ、とぼけなくったって、そうねえ、あんたは、意外と普通の美人は避けるだろうから、たぶん前を歩いているプリティガールね。でも、あんた、これって、ストーカーじゃない、
あんたも男なら、直接聞けばいいじゃない。こんなこそこそして、カッコ悪い」
「だから、そんなんじゃないよ。学校でも聞いたさ。そりょあ、そしたらさ『パスカル、別に私達は普通の高校生だよ。だから、そんなに警戒しなくても大丈夫だよ』なんて言われて、何も聞き出せなかったんだ」
「あら、そうなの。まあ、いいわ、しばらく、後ろから離れて付けてみましょ」
3人は学校から100mぐらい離れたところから、迎えにきた、黒の高級車に乗り込んだ。
「たしかに、あんなすごい高級車、ちょっと普通じゃないわね」
「あ、姉さん、走り出しちゃったよ。早く、跡をつけて」
急いで、パスカル達はその車の跡をつけた。しばらくして、前の車が何回か交差点を曲がった時に運転をしている松田葉子が
「マリさん」
「どうしました葉子さん?」
「2台後ろの車につけられていますよ、間違いありません」
助手席に座っている国土監視局のポーラも
「あれは、学校の前に止まっていた車ですね。恐らく、学校の生徒だと思います」
ユウキはその言葉を聞き、後ろに目を向けて、観察した。
「マリ、運転手は誰かは、わからないが、助手席に座っているのは、同じクラスのパスカルだね」
「パスカル?そういえば、昨日の午後から、数回、私達のことを聞いてきてたよね」
「あ、そうだったね」
「全く、気持ち悪い男だね。こそこそ、隠れて付いてくるなんて、正々堂々と自宅を見たいとか、言えばいいじゃない」
イブはこそこそ、する人が大嫌いな性格でいつも、はっきりと物を言わない人にしかりつけている。
「マリさん、どうしますか?このままですと、治安情報局の場所や、少なくとも我々の素性がばれることになりますよ」
「う~ん、困ったな、どうしよう~」
ポーラがうれしそうに
「マリさん、それなら、この近くにある、私の家に寄りませんか。一度、車から降りて、私の家に入り、裏口から出て、また、葉子にピックしてもらえば、かわせるんじゃないですか」
「お~、いいですね。それ、そうすれば、普通の家の子だと思われるし、3人一緒でも、そのうちの一人の家に帰りに寄ったことにすればいいですからね」
「はい」
「それじゃあ、向かいましょう」
「葉子、次の交差点、左に曲がって」
「了解」
イブは少しイライラした様子で
「ポーラの家に着いたら、私が、あいつにはっきり言ってくるよ。もう着いてくるなって」
「イブ、今日は14時から、治安情報局の局の全員ではじめてのミーティングをするから、
こんなことで、時間を取られたくないの、無視して、さっさと局に戻りましょう」
「マリが、そういうんなら、承知しました!」
イブはまだ、不服そうだったが、マリの指示なので、がまんした。
「あ、見えてきましたよ。ここが、パリで使っている家ですよ~」
マリ達がポーラはどんな家に住んでいるのかな~と車内から家を見たら、そこは、お城のような、どでかい家でポーラが胸からリモコンのようなものをポチっと押したら、大きな門が開いた。
「葉子、このまま行って、あの家の前で降ろして」
「了解、ポーラ、ここがあなたの家なの?」
「う~ん、家はあちこちにあるけど、ここは、勤め先が一番近い家だから、今はここから通っているわ」
そこでマリが
「ポーラさん、親は何をしてるんですか?」
「あ~うちですか、うちは、警備会社をやってるんですよ」
ユウキが
「でも、こんなすごい家に住めるくらいなのに、なんで国土監視局に努めるんですか?」
「うちは、父がかなり厳しくて、『現場を知らない人間はろくな人間にならない、しばらくはこの家には住んでいいが、自分の給料で生活して、世の中の厳しさを学んでこい』なんて言われて、結構いつも金欠なんですよ。だから、本当はマリさん達と一緒に住んで、ベータのごはんを食べて、食費を浮かしたいぐらいなんです」
そして、家の前に着いた。
「どうぞ、こちらです」
ポーラと3人は言われた通り車から降りて、大きな階段を数段あがり、大きな扉をポーラが指紋と静脈認証のような機械に触れ、すぐに扉が開いた。それを見て、マリは
「すご~い」
ユウキが、
「マリ、ウチの局も全く防犯設備がないから、ポーラの会社に頼んだ方がいいんじゃない」
「本当、そうだね。そうしたら、すごく安心だよね」
皆は室内に入り、圧倒された、バロック様式で造られたこの建物は、宮殿のような面持ちで
マリ達を包み込んだ。イブはすぐに
「マリ、本当は私、こういう家に住みたいんだよね。今度、みんなで、泊まろうよこの家、ポーラ1人じゃ、大きすぎるでしょ」
「え~、いつでも来てください。使用人もいるんですけど、お客様が来られる時は、食事から、何から何まで、すべて対応してもらえるようになっているので、私も助かります」
「あら、そうなの、じゃあ、気が向いたら、利用させてもらうわ」
相変わらず、イブは偉そうな態度で話した。
「皆さん、あそこが裏口の扉です。遅れそうですから、急いで行きましょう」
そう言って、マリ達は裏口から葉子が待機している車に乗り込んだ。
「あんた、この家、たしか、フランスの民間警備会社の社長の家じゃない」
「姉さん、知ってるの?」
「知ってるわよ。だってこの建物、ブルボン王朝から続く、元貴族の有名な建物だもの」
「本当!」
「たしかにあんたの言った通り、只者じゃないわね。あの3人、フフフ、なんだか、私もあんた以上に興味が湧いてきたわ。今度、私に紹介してよ。あの3人」
「姉さんじゃなくて、僕が知りたいんだよ。あの3人を」
「いいじゃない、別に、紹介してくれれば、この私が聞き出してあげるわよ。あの3人の秘密をね」
やはり、姉弟、よく似ている。そんな話をしている時、マリ達はなんなく裏口から車で
走り去った。さらにパスカルと、その姉の疑問を深めたことも知らずに・・・
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