72 / 177
フランス治安情報局
68話 情報局の仕事
しおりを挟む
翌朝、透き通るような青空の下、パリ市内中心地から少し外れたところにあるここ治安情報局にある情報部棟は3階建て、延べ床面積は600㎡はある建物で、1階は事務室、応接室、備品置き場、ロッカールームなどがあり、2階は局員用職務室、機材専門室、調査分析室、ミーティングルーム、3階は局長室、副長室、役員室、モニタールームなどがある。現在は機材はもちろん、備品もほとんどなく、2階には机とイスなどが職務室にあるぐらいだった。
9時過ぎにチーム5人は自宅から車でそれぞれ勤務時間通り出勤して、まだ何もない、職務室で昨日の出来事を話していた。
「はあ~、昨日はびっくりしたよな、マリさんが局長なんてさあ」
「そうですね。ユウキさん達は、今年で16歳になると言ってましたが、政府はいったい何を考えているんですかね」
「たしかにマリさんの強さはすごいと思ったが、それだけで局長になんかしないだろ」
「でも、レモンド中佐が言うには、政府の方からこの組織と協力関係にしたいとお願いしたみたいですよ」
「でもな~どんな仕事をするのかも昨日は聞けなかったし、どうなるんだろうな」
「とにかく、ここで、ごちゃごちゃ、言っても始まらないさ、14時になればすぐにわかるだろう」
「それより、局長は備品など、必要なものがあれば、何でも頼んでいいと言っていたが、ダニエル中尉、機材で必要な物をリストアップしてくれるか。どんな仕事だろうと、ネット環境や衛星や調査、無線など連絡を取るのに必要だからな」
ダニエル中尉はニヤ~として
「大尉、あの、私は最新型のハイスペックな機材を揃えたいのですが、よろしいですかね。かなりの金額になりますけど・・・それと、政府のサーバーに入る承認コードなんかも必要です」
「昨日は、ユウキさんは必要な物は遠慮なく、注文できますので、注文するものやあとで納品明細など必ず提出してくれれば、良いと言っていたな、その承認コードは14時に聞いてみる」
「アンナ軍曹、とりあえず、銃関係の通常装備分をまとめてくれるか。軍用車両や、一般用の車両も1台ずつはいるだろう。ここは駐車スペースもかなりあるし問題ないだろう」
「大尉、私も最新型の装備を注文したいのですが、いいですよね」
カミーユ大尉はまた、頷いた。
「ベルナール、その他、特殊科学部隊で使用していた、同じ備品や物資もまとめてくれるか」
「はい、任せてください」
「ドニーズ中尉、なんとなくでよいから、この組織が政府で認知されているか、いくら独立組織とはいえ、どこの所属扱いになっているか、その辺を調べてくれるか。あくまでも、問題にならないように穏便にたのむ」
「承知しました」
「とりあえず、皆、14時までにまとめて、注文する前に、もう一度ユウキさんに確認してから発注をかけよう」
「わかりました」
「あと、あの厳しい口調のイブさんが『あんた達、住居棟に食事ができる場所があるから、
12時なったら、そこに行きなさい。ベータって子にごはん出すように指示してあるから、
いい仕事をするには食事は大事だからね、あんまり、気軽にこの建物から出たり入ったりするのは、秘匿性の高い組織だから、控えてよ』なんて言ってたな」
「あの人はなんか偉そうな人だが、なぜか、人を使うことに妙に慣れているような感じだったな。どうすれば、人が最大限の力で働いてくれるか、わかっているようだ」
しばらく、各員は今できる準備を徹底的に行うこととした。お昼近くになり、ダニエル中尉が
「大尉、全員、手書きですが、簡単にリストアップしました。これが我々の必要なものです。それと、時間があったので、この建物以外にも、簡単にまわりましたが、どこも、現在、工事をしてきれいに整備をするような感じでしたが、防犯カメラや進入防止のセキュリティは全くないし、あと、モニータールームもアナログの設備だったり、局長室などもネット環境すらありませんでしたから、その辺もざっくり取り付けるとして軽く計算しても全部で140万ユーロ(1億7千万円)ぐらいになりますね。パソコン通信設備の環境がまるでないのが大きいですね」
「結構かかるな。まあ、一度確認しよう、ドニーズ中尉はどうだ?」
「大尉、この組織の件ですが、ほとんどの政治家や軍関係者は知らないようです。ですが、閣僚級の大臣以上には周知されているようです。それと、管轄は警察組織と同等の組織ということで、一応、国防大臣が統括されているようです。ですが、昨日、局長が言っていた通り、本当に独立組織というのは、間違いないようです。もっと細かく探りたかったんですが、これ以上、調べると、局長に連絡がいってしまいますので・・・」
「それで十分だ。なるほどな。どうやら、局長の言っていることは本当だったということか、みんな、ご苦労だった。12時になるし、そろそろ住居棟に昼ご飯にいくか!」
住居棟はこの敷地の一番奥にあり、各建物は連絡通路でつながっており、外に出なくても行くことができる、住居棟は体術運動体育館と並んでおり、局員がそこにあるスポーツジムなどを気軽に利用できるようになっているのだが、ジムに置いてあるものはアナログな古い物ばかりだった。
住居棟の扉を開けて、右奥に食事ができるレストランのような区画がある。
「ここみたいだな」
ビストロに入る扉をあけると、シェフのカッコウをした1人のかわいい少年が立っていた。
「ボンジョール」
「はい、みなさん、こちらに座ってください」
まるで、われわれがこの時間に来るのを待ち受けていたような感じだった。
「これ、メニュー、お客、あなた達だけ、この中から選んで」
こんな少年がこんな時間にここで働いているのがおかしいと皆、思ったが、アンナ軍曹が
「少年、小学校は行かないのか?こんな時間にこんなところで、親は心配するだろう」
少年は大きく首をかしげ
「小学校?私には必要ない。第一執政官の命令、絶大、任務最優先、いいから、メニュー選んで」
「第一執政官?だれなの、その人?」
「私、これ以上、答えられない。いいから、早く選んで」
皆は不思議に思ったが、それぞれが好みの物を選んだ。すると少年はニコっと笑い
「少々、お待ちください」
そう言って厨房の方に小走りで行ってしまった。
「大尉、あの子、なんか話し方がおかしいですよね」
「そうか、別に気にならなかったぞ」
アンナ軍曹は聞く相手を間違えたと思い
「中尉、変ですよね。なんか」
「かなり、変だろ。だいたい、あんな少年をこんなところで働かせて、局長達は何を考えているんだ。とりあえず、14時になったら、抗議するしかないな」
そんな話をしている最中にやはり少年のことが気になるベルナールが厨房の様子を見に行った。そこでは、シェフ顔負けの高速作業でみるみると食事が出来上がっていくのが見えた。しかも、
高級レストランに負けないぐらいの料理の仕上がりだった。ベルナールは急いで皆のところに戻り、
「すごい腕前ですよ。あれは、少年がどうのというより、あんなスピードで食事をつくるシェフ見たこともないですよ」
「本当か?あの少年が、はっきり言ってイブさんが言うから、今日は強制的にここに来たから、あまり期待はしてないんだけどな」
そんなことを言っている間に少年は厨房から、次から次へと出来上がった料理を皆に配り始めた。その出来栄えに皆びっくりした。まるで、高級レストランでもこんなすごいものはでてこないだろうというぐらいすごかった。
ダニエル中尉が出された料理を食べたら、こんなおいしい物を食べたことがないくらい、うまかった。
「すごい食事だ。こんなきれいで、うまい料理、パリの名店でも、ここまですごくないぞ」
「こんな短時間でなんて、精度だ。こりゃあ、イブさんが威張って進めるわけだ」
「ハハハ、ここでこんなおいしい物が食べられるなんて、こりゃあ、わざわざ、外に食べに行く必要なんてないよな」
皆、食事がおいしすぎて、とても、至福の時間が過ごせて、最高な気分になった。
「食後に飲み物、デザートある。選んで」
少年はまた、食後用のメニューを持ってきた。そこには、パリの店でもなかなか見ることができないほどの、内容だった。また、皆注文したら、少年はニコっと笑い厨房に戻った。そしてすぐに、食後の飲み物やデザートを持ってきた。それもまた、大変においしくて、見た目も素晴らしかった。
「はあ~、ここでこんなおいしい物を食べたら、よそで、もう食べれないぞ。すごすぎるぞ」
「その通りですよ。大尉、でも、あのイブさんのお進めだから、とんでもない、料金をとられんじゃないですか」
「あれ、そういえば、メニューに料金が書いてなかったな」
「そういえば、そうですね」
そこで、ドニーズ中尉が
「とてもおいしい料理をありがとう。少年、名前はなんていうの?」
「ベータ」
「ベータ?」
「そう、ベータ」
「不思議な名前だね、ベータくん、それで、この料理の金額はいくらなのかな?」
ベータは首を大きく傾げ
「お金?そんなものいらない、これは、任務、第一執政官より、皆、おいしい料理が食べれるのだから、素晴らしい仕事をしろと言ってた」
「ねえ、第一執政官って、もしかして、イブさんのこと?」
「そう、でもその呼び方、第一執政官に失礼、最高位にあたる偉大な人物、名前で呼べるのは
偉大な人のみ、あなた達、マリのように早く偉大になれ、そうでないと、ベータ許さない」
そしてまた、少年はニコっと笑った。
「メルシー」
「また、来てください」
そう言って、ベータは食事のあと片付けを始めた。
9時過ぎにチーム5人は自宅から車でそれぞれ勤務時間通り出勤して、まだ何もない、職務室で昨日の出来事を話していた。
「はあ~、昨日はびっくりしたよな、マリさんが局長なんてさあ」
「そうですね。ユウキさん達は、今年で16歳になると言ってましたが、政府はいったい何を考えているんですかね」
「たしかにマリさんの強さはすごいと思ったが、それだけで局長になんかしないだろ」
「でも、レモンド中佐が言うには、政府の方からこの組織と協力関係にしたいとお願いしたみたいですよ」
「でもな~どんな仕事をするのかも昨日は聞けなかったし、どうなるんだろうな」
「とにかく、ここで、ごちゃごちゃ、言っても始まらないさ、14時になればすぐにわかるだろう」
「それより、局長は備品など、必要なものがあれば、何でも頼んでいいと言っていたが、ダニエル中尉、機材で必要な物をリストアップしてくれるか。どんな仕事だろうと、ネット環境や衛星や調査、無線など連絡を取るのに必要だからな」
ダニエル中尉はニヤ~として
「大尉、あの、私は最新型のハイスペックな機材を揃えたいのですが、よろしいですかね。かなりの金額になりますけど・・・それと、政府のサーバーに入る承認コードなんかも必要です」
「昨日は、ユウキさんは必要な物は遠慮なく、注文できますので、注文するものやあとで納品明細など必ず提出してくれれば、良いと言っていたな、その承認コードは14時に聞いてみる」
「アンナ軍曹、とりあえず、銃関係の通常装備分をまとめてくれるか。軍用車両や、一般用の車両も1台ずつはいるだろう。ここは駐車スペースもかなりあるし問題ないだろう」
「大尉、私も最新型の装備を注文したいのですが、いいですよね」
カミーユ大尉はまた、頷いた。
「ベルナール、その他、特殊科学部隊で使用していた、同じ備品や物資もまとめてくれるか」
「はい、任せてください」
「ドニーズ中尉、なんとなくでよいから、この組織が政府で認知されているか、いくら独立組織とはいえ、どこの所属扱いになっているか、その辺を調べてくれるか。あくまでも、問題にならないように穏便にたのむ」
「承知しました」
「とりあえず、皆、14時までにまとめて、注文する前に、もう一度ユウキさんに確認してから発注をかけよう」
「わかりました」
「あと、あの厳しい口調のイブさんが『あんた達、住居棟に食事ができる場所があるから、
12時なったら、そこに行きなさい。ベータって子にごはん出すように指示してあるから、
いい仕事をするには食事は大事だからね、あんまり、気軽にこの建物から出たり入ったりするのは、秘匿性の高い組織だから、控えてよ』なんて言ってたな」
「あの人はなんか偉そうな人だが、なぜか、人を使うことに妙に慣れているような感じだったな。どうすれば、人が最大限の力で働いてくれるか、わかっているようだ」
しばらく、各員は今できる準備を徹底的に行うこととした。お昼近くになり、ダニエル中尉が
「大尉、全員、手書きですが、簡単にリストアップしました。これが我々の必要なものです。それと、時間があったので、この建物以外にも、簡単にまわりましたが、どこも、現在、工事をしてきれいに整備をするような感じでしたが、防犯カメラや進入防止のセキュリティは全くないし、あと、モニータールームもアナログの設備だったり、局長室などもネット環境すらありませんでしたから、その辺もざっくり取り付けるとして軽く計算しても全部で140万ユーロ(1億7千万円)ぐらいになりますね。パソコン通信設備の環境がまるでないのが大きいですね」
「結構かかるな。まあ、一度確認しよう、ドニーズ中尉はどうだ?」
「大尉、この組織の件ですが、ほとんどの政治家や軍関係者は知らないようです。ですが、閣僚級の大臣以上には周知されているようです。それと、管轄は警察組織と同等の組織ということで、一応、国防大臣が統括されているようです。ですが、昨日、局長が言っていた通り、本当に独立組織というのは、間違いないようです。もっと細かく探りたかったんですが、これ以上、調べると、局長に連絡がいってしまいますので・・・」
「それで十分だ。なるほどな。どうやら、局長の言っていることは本当だったということか、みんな、ご苦労だった。12時になるし、そろそろ住居棟に昼ご飯にいくか!」
住居棟はこの敷地の一番奥にあり、各建物は連絡通路でつながっており、外に出なくても行くことができる、住居棟は体術運動体育館と並んでおり、局員がそこにあるスポーツジムなどを気軽に利用できるようになっているのだが、ジムに置いてあるものはアナログな古い物ばかりだった。
住居棟の扉を開けて、右奥に食事ができるレストランのような区画がある。
「ここみたいだな」
ビストロに入る扉をあけると、シェフのカッコウをした1人のかわいい少年が立っていた。
「ボンジョール」
「はい、みなさん、こちらに座ってください」
まるで、われわれがこの時間に来るのを待ち受けていたような感じだった。
「これ、メニュー、お客、あなた達だけ、この中から選んで」
こんな少年がこんな時間にここで働いているのがおかしいと皆、思ったが、アンナ軍曹が
「少年、小学校は行かないのか?こんな時間にこんなところで、親は心配するだろう」
少年は大きく首をかしげ
「小学校?私には必要ない。第一執政官の命令、絶大、任務最優先、いいから、メニュー選んで」
「第一執政官?だれなの、その人?」
「私、これ以上、答えられない。いいから、早く選んで」
皆は不思議に思ったが、それぞれが好みの物を選んだ。すると少年はニコっと笑い
「少々、お待ちください」
そう言って厨房の方に小走りで行ってしまった。
「大尉、あの子、なんか話し方がおかしいですよね」
「そうか、別に気にならなかったぞ」
アンナ軍曹は聞く相手を間違えたと思い
「中尉、変ですよね。なんか」
「かなり、変だろ。だいたい、あんな少年をこんなところで働かせて、局長達は何を考えているんだ。とりあえず、14時になったら、抗議するしかないな」
そんな話をしている最中にやはり少年のことが気になるベルナールが厨房の様子を見に行った。そこでは、シェフ顔負けの高速作業でみるみると食事が出来上がっていくのが見えた。しかも、
高級レストランに負けないぐらいの料理の仕上がりだった。ベルナールは急いで皆のところに戻り、
「すごい腕前ですよ。あれは、少年がどうのというより、あんなスピードで食事をつくるシェフ見たこともないですよ」
「本当か?あの少年が、はっきり言ってイブさんが言うから、今日は強制的にここに来たから、あまり期待はしてないんだけどな」
そんなことを言っている間に少年は厨房から、次から次へと出来上がった料理を皆に配り始めた。その出来栄えに皆びっくりした。まるで、高級レストランでもこんなすごいものはでてこないだろうというぐらいすごかった。
ダニエル中尉が出された料理を食べたら、こんなおいしい物を食べたことがないくらい、うまかった。
「すごい食事だ。こんなきれいで、うまい料理、パリの名店でも、ここまですごくないぞ」
「こんな短時間でなんて、精度だ。こりゃあ、イブさんが威張って進めるわけだ」
「ハハハ、ここでこんなおいしい物が食べられるなんて、こりゃあ、わざわざ、外に食べに行く必要なんてないよな」
皆、食事がおいしすぎて、とても、至福の時間が過ごせて、最高な気分になった。
「食後に飲み物、デザートある。選んで」
少年はまた、食後用のメニューを持ってきた。そこには、パリの店でもなかなか見ることができないほどの、内容だった。また、皆注文したら、少年はニコっと笑い厨房に戻った。そしてすぐに、食後の飲み物やデザートを持ってきた。それもまた、大変においしくて、見た目も素晴らしかった。
「はあ~、ここでこんなおいしい物を食べたら、よそで、もう食べれないぞ。すごすぎるぞ」
「その通りですよ。大尉、でも、あのイブさんのお進めだから、とんでもない、料金をとられんじゃないですか」
「あれ、そういえば、メニューに料金が書いてなかったな」
「そういえば、そうですね」
そこで、ドニーズ中尉が
「とてもおいしい料理をありがとう。少年、名前はなんていうの?」
「ベータ」
「ベータ?」
「そう、ベータ」
「不思議な名前だね、ベータくん、それで、この料理の金額はいくらなのかな?」
ベータは首を大きく傾げ
「お金?そんなものいらない、これは、任務、第一執政官より、皆、おいしい料理が食べれるのだから、素晴らしい仕事をしろと言ってた」
「ねえ、第一執政官って、もしかして、イブさんのこと?」
「そう、でもその呼び方、第一執政官に失礼、最高位にあたる偉大な人物、名前で呼べるのは
偉大な人のみ、あなた達、マリのように早く偉大になれ、そうでないと、ベータ許さない」
そしてまた、少年はニコっと笑った。
「メルシー」
「また、来てください」
そう言って、ベータは食事のあと片付けを始めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる