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イブの秘密
54話 イブの秘密
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パリ、オペラ座の界隈にある日本人街に車で向かい、3週間前に行けなかった、日本の定食レストランにやっとたどり着いた。今回はもめごとなく、お店の中に入ることができて、皆で久しぶりの日本食を楽しんでいた。
「はあ~、やっぱり日本食は落ち着きますね」
「そうですね。食べた後の感触がとても、体に優しいというか、本当に落ち着きますよね」
「ポーラさんはどうですか」
「マリさん、実は私は、よく来るんですよ。この辺は、前はお寿司にはまってましたけど、今はやっぱりラーメンですね。あの味、本当、やみつきになりますよ」
イブはその隣でしぶい顔をして、
「私は、フランス料理の方が好き、とても芸術的でお店の雰囲気なども断然上だと思う」
「そっかあ。無理に付き合わせちゃってごめんね。でも、たまにしか来れないから」
ユウキはそれを聞いていて
「イブ、いつも思うんだけど、もうちょっとさ、オブラートに包むような話し方できないのかな、なんでも正直に言えばいいってもんじゃないでしょ」
「はは~ん、お前はそうやって、いつもマリにウソをついているのか」
「そういう意味じゃない。マリに気を使えと言ってるんだ」
「なんだ、じゃ~お前は今食べている日本ごはんがまずいというのか」
「僕は、日本生活が長かったから、今日はとてもおいしいごはんを食べれて幸せだよ」
「もう、2人ともやめて、みんな好き嫌いはあるんだから、正直に言ってかまわないから、それより、イブとユウキはもう少し仲良くできないの?」
「僕は、これからのことを考えると、いいチームになれたらと思ってはいるけど、何しろ、我々は永い間サターン人のことを悪魔のような存在としての認識が根強くあるから、急には難しいよ」
「はん、こっちも同じ気持ちだね」
イブがそう言った時、マリはまたかと、ため息を付いた。
「え~と、ごはんを食べ終わったら、この近くにあるルーブル美術館に徒歩で行って、周り始めますよ」
「葉子さん、私、一番、ルーブル美術館に行きたかったんです。美術館ってとても広いじゃないですか。もしかしたら、そこで時間が来て、終わってしまうかもしれないですよ。ユウキやイブは博物館に行きたいみたいだから、ここで別々になった方がいいんじゃないのかな」
それを聞いたユウキは
「別に大丈夫だよ。マリ、基本的に博物館の展示品はだいたい理解しているから」
イブも
「マリと一緒に回るから、楽しいんじゃない。美術品の芸術的アドバイスはできないけど、博物館なら、いろいろと教えてあげることができると思っただけよ。いいから、マリが好きなところに行けばいいから」
「二人ともありがとう]
マリ達がルーブル美術館を観ている時に、国立博物館ではかつてない人達が古代の遺物を見たさに集まってきていた。
「押すと危ないですから、順番に入場していますから、もうしばらくお待ちください」
かつてない、博物館への入場希望者に誘導員や係員は必死になって動き回っていた。なにしろ、世界で発見された遺物では最古のもので、その棺の材質もこの世界にないものだということで、世界中から観光客が押し寄せてきていた。パリの街どころか、パリ近郊のホテルまで、すべて満室になり、オリンピックや万博でもこんな観光客は経験したことないほどだった。
そんなことを知らずにマリは美術館を楽しんでいた。
「すごいよね。本当にどれもこれも、信じられないくらいうまいし、あの大きな絵を一人で書き上げるんだから、とても、私にはマネできそうにないな」
「でも、マリさん今日は、すごい空いてますよ。普段なら、かなり、並びますから」
「そうなんですか」
「そりゃあ、そうですよ。モナ・リザを始め、ここにはミロのヴィーナスやサモトラケのニケなど、世界でも有名な画家の作品の宝庫ですから、今日から始まる博物館の古代展のおかげですね」
「葉子さん、そんなにその古代展ってすごいんですか?」
「はい、世界中でニュースになっているのもそうですが、1万二千年以上前の海底の地層からでてきたこともあって、今までは古くても5000年前で棺は石製でしたが、今回は金属製で地球上にない材質だそうですから、巷では宇宙人の物だとか、超古代文明の物だとか、大騒ぎですよ。それに棺に刻まれている文字は見たこともない文字なんですから」
「へえ~、それは私も見てみたいですね」
「さっき、如月から連絡ありましたが、最後尾は150分待ちだそうです」
「え、如月さん、行ってるんですか?」
「そうなんですよ。如月はあれでも大学では歴史を専攻してたみたいだから、久しぶりに血が騒ぐとか言ってましたけど」
「これは博物館は今日はやめた方が良さそうですね」
近くにいたイブが葉子の話に反応したように
「ちょっと待った~葉子、今なんて言った?」
「だから、博物館が混んでいると言ったけど」
「博物館に古代の遺物館がどうのって」
「あ~、3週間前にホラ、例の海底から出てきた1万年以上前の古代の棺よ。世界中のニュースでやってたじゃない。あれをフランス政府が買い取って、国立博物館に現物を展示するのよ。今、テレビでも大騒ぎじゃない」
イブは急に顔つきが変わって、葉子をにらむように
「それは棺じゃないわ。宇宙船よ。しかも私のなんだけど」
近くにいた、ユウキやポーラも何を言っているのかわからずに
「私の?」
「地球人が海底深くの地層から棺を引き上げてくれて、私はこの世界に出ることができた。だから、感謝の気持ちもあったから、特に棺に関しては何も言わなかったけど、見せ物小屋に入れるのなら話は別。もう、勝手なことはさせないわ」
イブは先ほどとは打って変わって、高貴な顔立ちに変わり、天井を見上げた。
「私たちの星では、一人一人に任務があり、その重要性が高ければ高いほど、身分が高い者が担当するわ。私は、星でも最高の身分であり、とても重要性の高い任務に就いていたわ。そして、地球人で言う、この棺はその身分を表す象徴として、とても高貴で誇り高いな物なの」
イブはかつて見たことがないくらい、震えるように怒り出していた。
「そうね。地球で言えば、例えば、自分の大事な亡くなった、おばあさまを博物館に展示してお金を取って、みんなで笑ってそれを眺めるみたいな感じかしら」
それを聞いたマリも一緒になって怒り出した。
「それは絶対許せいないわね」
「どうするの?イブ」
「取り返すわ」
それを聞いたユウキが
「ちょっと待てよ。イブ、こんな大勢人がいるのに、まずいだろ」
「マリ、協力してくれる!」
「当たり前じゃない。なんでも言って!」
「二人とも聞いているのか!」
ユウキはこれからとんでもないことになると思い、マリの腕を掴み
「マリ、強引なことをしたら、我々はまともな生活ができなくなるよ」
「ユウキも文句ばっかり、言ってないで、協力して、これは命令よ」
ユウキはサターン人に協力することはしたくないが、マリの命令では動くしかないと思い、
「わかったよ。マリ、僕に任してくれないか」
「どうするの?」
「瞬間移動でパクッてくるよ」
「なるほど~それはナイスアイディア」
「じゃあ~私達は博物館の電気を切って、暗がりのうちにユウキが瞬間移動で持ってくる、こんな感じかしら」
「それでいいよね。イブ」
「おい、ユウキ、別にお前に感謝することはしないが、とりあえず、それが一番いいようだから、よろしく頼む」
ユウキは素直にありがとうと言わないイブに苦笑いしながら、
「でも、イブ、この宇宙船はこれから必要なのか?必要でなければ日本のマリが所有する倉庫に保管しておくが、それでいいか」
「う~ん、この宇宙船は私の手元に置いておきたいわ。さっきも言った通りこの宇宙船は私の分身のような物、そして、永い歴史ある、高貴な誇り高い物だから」
マリは困ったように
「そっかあ、でも今滞在しているホテルに置いておくわけにいかないし、困ったな~」
「マリ、また、アベルさんに相談してみたら?」
「あの人なら、いいところを知っているかもしれないよ」
「わかった。連絡してみる」
「葉子さん、とりあえず、博物館の方に移動したいので、車で送っていただけますか」
「承知しました」
マリは車での移動中にアベル大臣に連絡した。
「はあ~、やっぱり日本食は落ち着きますね」
「そうですね。食べた後の感触がとても、体に優しいというか、本当に落ち着きますよね」
「ポーラさんはどうですか」
「マリさん、実は私は、よく来るんですよ。この辺は、前はお寿司にはまってましたけど、今はやっぱりラーメンですね。あの味、本当、やみつきになりますよ」
イブはその隣でしぶい顔をして、
「私は、フランス料理の方が好き、とても芸術的でお店の雰囲気なども断然上だと思う」
「そっかあ。無理に付き合わせちゃってごめんね。でも、たまにしか来れないから」
ユウキはそれを聞いていて
「イブ、いつも思うんだけど、もうちょっとさ、オブラートに包むような話し方できないのかな、なんでも正直に言えばいいってもんじゃないでしょ」
「はは~ん、お前はそうやって、いつもマリにウソをついているのか」
「そういう意味じゃない。マリに気を使えと言ってるんだ」
「なんだ、じゃ~お前は今食べている日本ごはんがまずいというのか」
「僕は、日本生活が長かったから、今日はとてもおいしいごはんを食べれて幸せだよ」
「もう、2人ともやめて、みんな好き嫌いはあるんだから、正直に言ってかまわないから、それより、イブとユウキはもう少し仲良くできないの?」
「僕は、これからのことを考えると、いいチームになれたらと思ってはいるけど、何しろ、我々は永い間サターン人のことを悪魔のような存在としての認識が根強くあるから、急には難しいよ」
「はん、こっちも同じ気持ちだね」
イブがそう言った時、マリはまたかと、ため息を付いた。
「え~と、ごはんを食べ終わったら、この近くにあるルーブル美術館に徒歩で行って、周り始めますよ」
「葉子さん、私、一番、ルーブル美術館に行きたかったんです。美術館ってとても広いじゃないですか。もしかしたら、そこで時間が来て、終わってしまうかもしれないですよ。ユウキやイブは博物館に行きたいみたいだから、ここで別々になった方がいいんじゃないのかな」
それを聞いたユウキは
「別に大丈夫だよ。マリ、基本的に博物館の展示品はだいたい理解しているから」
イブも
「マリと一緒に回るから、楽しいんじゃない。美術品の芸術的アドバイスはできないけど、博物館なら、いろいろと教えてあげることができると思っただけよ。いいから、マリが好きなところに行けばいいから」
「二人ともありがとう]
マリ達がルーブル美術館を観ている時に、国立博物館ではかつてない人達が古代の遺物を見たさに集まってきていた。
「押すと危ないですから、順番に入場していますから、もうしばらくお待ちください」
かつてない、博物館への入場希望者に誘導員や係員は必死になって動き回っていた。なにしろ、世界で発見された遺物では最古のもので、その棺の材質もこの世界にないものだということで、世界中から観光客が押し寄せてきていた。パリの街どころか、パリ近郊のホテルまで、すべて満室になり、オリンピックや万博でもこんな観光客は経験したことないほどだった。
そんなことを知らずにマリは美術館を楽しんでいた。
「すごいよね。本当にどれもこれも、信じられないくらいうまいし、あの大きな絵を一人で書き上げるんだから、とても、私にはマネできそうにないな」
「でも、マリさん今日は、すごい空いてますよ。普段なら、かなり、並びますから」
「そうなんですか」
「そりゃあ、そうですよ。モナ・リザを始め、ここにはミロのヴィーナスやサモトラケのニケなど、世界でも有名な画家の作品の宝庫ですから、今日から始まる博物館の古代展のおかげですね」
「葉子さん、そんなにその古代展ってすごいんですか?」
「はい、世界中でニュースになっているのもそうですが、1万二千年以上前の海底の地層からでてきたこともあって、今までは古くても5000年前で棺は石製でしたが、今回は金属製で地球上にない材質だそうですから、巷では宇宙人の物だとか、超古代文明の物だとか、大騒ぎですよ。それに棺に刻まれている文字は見たこともない文字なんですから」
「へえ~、それは私も見てみたいですね」
「さっき、如月から連絡ありましたが、最後尾は150分待ちだそうです」
「え、如月さん、行ってるんですか?」
「そうなんですよ。如月はあれでも大学では歴史を専攻してたみたいだから、久しぶりに血が騒ぐとか言ってましたけど」
「これは博物館は今日はやめた方が良さそうですね」
近くにいたイブが葉子の話に反応したように
「ちょっと待った~葉子、今なんて言った?」
「だから、博物館が混んでいると言ったけど」
「博物館に古代の遺物館がどうのって」
「あ~、3週間前にホラ、例の海底から出てきた1万年以上前の古代の棺よ。世界中のニュースでやってたじゃない。あれをフランス政府が買い取って、国立博物館に現物を展示するのよ。今、テレビでも大騒ぎじゃない」
イブは急に顔つきが変わって、葉子をにらむように
「それは棺じゃないわ。宇宙船よ。しかも私のなんだけど」
近くにいた、ユウキやポーラも何を言っているのかわからずに
「私の?」
「地球人が海底深くの地層から棺を引き上げてくれて、私はこの世界に出ることができた。だから、感謝の気持ちもあったから、特に棺に関しては何も言わなかったけど、見せ物小屋に入れるのなら話は別。もう、勝手なことはさせないわ」
イブは先ほどとは打って変わって、高貴な顔立ちに変わり、天井を見上げた。
「私たちの星では、一人一人に任務があり、その重要性が高ければ高いほど、身分が高い者が担当するわ。私は、星でも最高の身分であり、とても重要性の高い任務に就いていたわ。そして、地球人で言う、この棺はその身分を表す象徴として、とても高貴で誇り高いな物なの」
イブはかつて見たことがないくらい、震えるように怒り出していた。
「そうね。地球で言えば、例えば、自分の大事な亡くなった、おばあさまを博物館に展示してお金を取って、みんなで笑ってそれを眺めるみたいな感じかしら」
それを聞いたマリも一緒になって怒り出した。
「それは絶対許せいないわね」
「どうするの?イブ」
「取り返すわ」
それを聞いたユウキが
「ちょっと待てよ。イブ、こんな大勢人がいるのに、まずいだろ」
「マリ、協力してくれる!」
「当たり前じゃない。なんでも言って!」
「二人とも聞いているのか!」
ユウキはこれからとんでもないことになると思い、マリの腕を掴み
「マリ、強引なことをしたら、我々はまともな生活ができなくなるよ」
「ユウキも文句ばっかり、言ってないで、協力して、これは命令よ」
ユウキはサターン人に協力することはしたくないが、マリの命令では動くしかないと思い、
「わかったよ。マリ、僕に任してくれないか」
「どうするの?」
「瞬間移動でパクッてくるよ」
「なるほど~それはナイスアイディア」
「じゃあ~私達は博物館の電気を切って、暗がりのうちにユウキが瞬間移動で持ってくる、こんな感じかしら」
「それでいいよね。イブ」
「おい、ユウキ、別にお前に感謝することはしないが、とりあえず、それが一番いいようだから、よろしく頼む」
ユウキは素直にありがとうと言わないイブに苦笑いしながら、
「でも、イブ、この宇宙船はこれから必要なのか?必要でなければ日本のマリが所有する倉庫に保管しておくが、それでいいか」
「う~ん、この宇宙船は私の手元に置いておきたいわ。さっきも言った通りこの宇宙船は私の分身のような物、そして、永い歴史ある、高貴な誇り高い物だから」
マリは困ったように
「そっかあ、でも今滞在しているホテルに置いておくわけにいかないし、困ったな~」
「マリ、また、アベルさんに相談してみたら?」
「あの人なら、いいところを知っているかもしれないよ」
「わかった。連絡してみる」
「葉子さん、とりあえず、博物館の方に移動したいので、車で送っていただけますか」
「承知しました」
マリは車での移動中にアベル大臣に連絡した。
応援ありがとうございます!
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