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古代の悪魔
31話 パンドラの箱
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フランス近郊まで棺を乗せた飛行機が接近してきた。
「pari航空001便へ、こちら入域管制、高度3000フィートまで降下してください」
「了解、降下します」
「速度、220ノットまで減速してください。滑走路25R「ILS」方式による進入を許可します」
「了解」
飛行機はシャルルドゴール空港に無事着陸した。報道管制が敷かれた中、速やかに棺は専用の車に運び込まれ、パリ中心地から少し離れた、考古学中央研究所に向かった。
車は前後に警察の警備車両に囲まれ、さながら、どこかの国の政府首脳が来た時のような厳戒態勢で運搬された。運搬を任されたポールは運搬車両を運転しながら、たかが古い棺にここまでの警備をすることに不満をいだいていた。
「海から棺が出てきたぐらいで、何なんだ、この大騒ぎは」
「しょうがないですよ。最近、これといったニュースや話題がこの国にはありませんから、
このプロジェクトに資金提供した、スポンサー会社はこれみよがしに広告やCMなどをしてますから、TVの特番までやるらしいですよ」
「どうせ、大したものではないだろうが、ここまで騒いでしまったら、棺を開けて何もなかったなんて言えないよな」
ポールは笑いながら運転をした。
フランス時間の21時15分になる時、棺は研究所に到着した。研究所入口にはたくさんの関係者が待機して、瞬く間に研究所内奥の調査分析室へ運びこまれた。本来なら、遅い時間のため、調査確認は翌日から行うのが普通だが、今回は特例として、棺表面の汚れ除去と棺の材質の確認だけを本日行うこととして、本格的な分析は明日の10時からということになっていた。
調査分析室に運ばれた棺はまず、現状の写真を取り、大きさや重さ、それと細かい傷などを確認しながら、遺物の汚れなど、修復作業を専門とするチームが速やかに棺表面をきれいにしていった。
室外のガラス越しから、清掃作業の一部始終を関係者が見ている中
「いやあ~大したものですな、みるみる、棺がきれいになっていきますな。しかし、この棺は異様な形をして、うすい金のような光沢で、とてもこの地球上の物とは思えませんな」
レモンド中佐は楽しそうに話した。
「たしかにこれは見たこともきいたこともない、遺物ですね。中佐のおっしゃる通り、もしかしたら、地球外の物かもしれませんよ」
古代文明専門のロベールもレモンド中佐に同調した。
「調査して地球外の材質などで確定できたとしても、この国やこの世界では不思議なことに
地球外生命体のことは必ず隠ぺいするようになっていますから、軍に所属している私が言うのもおかしいですが、そうなった時には、軍がこの棺を接収しに駆けつけますよ」
「でも、ちょっと待ってくださいよ。棺に刻まれている文字ですが、全部ではないですけど、
メソポタミア文明の象形文字に似ている文字もありますよ」
古代文字専門のミッシェルは棺を見つめながら、興奮した様子で話した。
「まあ、いずれにしても、明日にならなければ、本格的な調査もできませんし、この棺を発見した、モーリス博士も立ち会うと言ってますから、もういいかげん、私は早く帰りたいですよ」
レモンドは相変わらず、興味がない様子でいた。
その時、棺をきれいにしている中で突起物のようなところがあり、清掃作業をしている者がそこについている付着物を丁寧にはがして、取り終わった瞬間、赤い光がそこから飛び出した、作業をしていた5人が作業の手を止めて、棺の上の空中に浮いている光の球体を見つめていた。
「なんだ!あれは」
レモンド中佐は大きい声を出して、その光を見つめた。
ガラス越しに見ていた関係者も信じられない様子でその光を見つめた。
その時、作業をしていた1人がその球体があまりにもきれいなため、その光に触ろうとした。
「さわるな!」
レモンドはさらに大きい声をあげた。室外からマイクで室内に声は聞こえるようになっていたため、一瞬作業員はこちらを見て動きが止まったが、しかし、その光に触りたい衝動は止められず、光に触ってしまった。その瞬間、赤い光は異常な光を発して、その女性作業員はその場で倒れてしまった。その後、すぐに光は天井に上がり、天井・建物をすり抜け、上空に上がった。レモンドはすぐに研究所の外に出て、その光を確認した。上空100mぐらいのところで
止まっている光はしばらくして、数mぐらいの直径になり、大きな花火のように爆発して
無数の赤い光の球体が放射線状に飛び散った。その様子を見て、レモンドは現在の世界の
状況を調査するために光は飛び散ったのではないかとすぐさま判断した。この状況において、
直ちに空軍に連絡、緊急スクランブルで赤い光の球体の動きを追うように指示を出した。
中央政府で軍を統括している、将軍にも緊急事態の連絡を入れた。
「レモンド、そんなに興奮するな、まだ、被害もなにも出ていない状況で光の球体が飛び回ったぐらいでは、まだこちらでは何もすることができん。空軍の調査が終わってから、また、検討しよう」
「わかりました。将軍、たしかにそうですね。これから、緊急で対策チームを立ち上げて、新しい情報が入りしだいすぐに対応できるようにします。よろしいですよね」
「わかった。そうしてくれ、また何かわかったら、すぐに連絡をくれ、首相にも情報だけは伝えておく」
パリは23時を過ぎようとしていたが、レモンド中佐は、
「我々は、どうやら、パンドラの箱を開けてしまったようだ。これから、なにも起きなければよいが・・・」
祈るような思いで、独り言をつぶやいた。そして、優秀な部下達を招集するために、スマホを強く握りしめた。
「pari航空001便へ、こちら入域管制、高度3000フィートまで降下してください」
「了解、降下します」
「速度、220ノットまで減速してください。滑走路25R「ILS」方式による進入を許可します」
「了解」
飛行機はシャルルドゴール空港に無事着陸した。報道管制が敷かれた中、速やかに棺は専用の車に運び込まれ、パリ中心地から少し離れた、考古学中央研究所に向かった。
車は前後に警察の警備車両に囲まれ、さながら、どこかの国の政府首脳が来た時のような厳戒態勢で運搬された。運搬を任されたポールは運搬車両を運転しながら、たかが古い棺にここまでの警備をすることに不満をいだいていた。
「海から棺が出てきたぐらいで、何なんだ、この大騒ぎは」
「しょうがないですよ。最近、これといったニュースや話題がこの国にはありませんから、
このプロジェクトに資金提供した、スポンサー会社はこれみよがしに広告やCMなどをしてますから、TVの特番までやるらしいですよ」
「どうせ、大したものではないだろうが、ここまで騒いでしまったら、棺を開けて何もなかったなんて言えないよな」
ポールは笑いながら運転をした。
フランス時間の21時15分になる時、棺は研究所に到着した。研究所入口にはたくさんの関係者が待機して、瞬く間に研究所内奥の調査分析室へ運びこまれた。本来なら、遅い時間のため、調査確認は翌日から行うのが普通だが、今回は特例として、棺表面の汚れ除去と棺の材質の確認だけを本日行うこととして、本格的な分析は明日の10時からということになっていた。
調査分析室に運ばれた棺はまず、現状の写真を取り、大きさや重さ、それと細かい傷などを確認しながら、遺物の汚れなど、修復作業を専門とするチームが速やかに棺表面をきれいにしていった。
室外のガラス越しから、清掃作業の一部始終を関係者が見ている中
「いやあ~大したものですな、みるみる、棺がきれいになっていきますな。しかし、この棺は異様な形をして、うすい金のような光沢で、とてもこの地球上の物とは思えませんな」
レモンド中佐は楽しそうに話した。
「たしかにこれは見たこともきいたこともない、遺物ですね。中佐のおっしゃる通り、もしかしたら、地球外の物かもしれませんよ」
古代文明専門のロベールもレモンド中佐に同調した。
「調査して地球外の材質などで確定できたとしても、この国やこの世界では不思議なことに
地球外生命体のことは必ず隠ぺいするようになっていますから、軍に所属している私が言うのもおかしいですが、そうなった時には、軍がこの棺を接収しに駆けつけますよ」
「でも、ちょっと待ってくださいよ。棺に刻まれている文字ですが、全部ではないですけど、
メソポタミア文明の象形文字に似ている文字もありますよ」
古代文字専門のミッシェルは棺を見つめながら、興奮した様子で話した。
「まあ、いずれにしても、明日にならなければ、本格的な調査もできませんし、この棺を発見した、モーリス博士も立ち会うと言ってますから、もういいかげん、私は早く帰りたいですよ」
レモンドは相変わらず、興味がない様子でいた。
その時、棺をきれいにしている中で突起物のようなところがあり、清掃作業をしている者がそこについている付着物を丁寧にはがして、取り終わった瞬間、赤い光がそこから飛び出した、作業をしていた5人が作業の手を止めて、棺の上の空中に浮いている光の球体を見つめていた。
「なんだ!あれは」
レモンド中佐は大きい声を出して、その光を見つめた。
ガラス越しに見ていた関係者も信じられない様子でその光を見つめた。
その時、作業をしていた1人がその球体があまりにもきれいなため、その光に触ろうとした。
「さわるな!」
レモンドはさらに大きい声をあげた。室外からマイクで室内に声は聞こえるようになっていたため、一瞬作業員はこちらを見て動きが止まったが、しかし、その光に触りたい衝動は止められず、光に触ってしまった。その瞬間、赤い光は異常な光を発して、その女性作業員はその場で倒れてしまった。その後、すぐに光は天井に上がり、天井・建物をすり抜け、上空に上がった。レモンドはすぐに研究所の外に出て、その光を確認した。上空100mぐらいのところで
止まっている光はしばらくして、数mぐらいの直径になり、大きな花火のように爆発して
無数の赤い光の球体が放射線状に飛び散った。その様子を見て、レモンドは現在の世界の
状況を調査するために光は飛び散ったのではないかとすぐさま判断した。この状況において、
直ちに空軍に連絡、緊急スクランブルで赤い光の球体の動きを追うように指示を出した。
中央政府で軍を統括している、将軍にも緊急事態の連絡を入れた。
「レモンド、そんなに興奮するな、まだ、被害もなにも出ていない状況で光の球体が飛び回ったぐらいでは、まだこちらでは何もすることができん。空軍の調査が終わってから、また、検討しよう」
「わかりました。将軍、たしかにそうですね。これから、緊急で対策チームを立ち上げて、新しい情報が入りしだいすぐに対応できるようにします。よろしいですよね」
「わかった。そうしてくれ、また何かわかったら、すぐに連絡をくれ、首相にも情報だけは伝えておく」
パリは23時を過ぎようとしていたが、レモンド中佐は、
「我々は、どうやら、パンドラの箱を開けてしまったようだ。これから、なにも起きなければよいが・・・」
祈るような思いで、独り言をつぶやいた。そして、優秀な部下達を招集するために、スマホを強く握りしめた。
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